釈明会見で号泣、与える印象のデメリット
釈明会見は、最後のチャンス
年間195回の日帰り出張費を政務活動費から支出していた兵庫県議会議員の釈明会見での一幕。画面いっぱいに映し出される男性の号泣シーンに、いったい何事かと、度胆を抜かれた方も多かったのではないでしょうか。今回問題視されたのは、2日に1回以上の出張を繰り返し、しかも、その訪問相手や目的がまったく記載されていない収支報告書だといいます。会見では、説明責任を果たさぬまま、本人の「幼稚性」だけを露呈する結果に終わってしまいました。
公の立場にある人が問題を起こした時に開かれる釈明会見や謝罪会見。「釈明」や「謝罪」の言葉通り、それは最後に与えられた挽回のチャンスです。何が何でもその機会を活かし、名誉回復に努めなくてはいけません。しかし、今回の会見では、挽回どころか恥の上塗りとしか言えません。ましてやネット社会の現代、情報の共有は一瞬です。実際、この映像はたった1日で話題となり、海外メディアからも「フルスロットルの謝罪」などと揶揄される始末です。
「資料」「理性」「見た目」がポイント
ではこの釈明会見、どのような点に注意するべきだったのでしょう。ポイントは次の3つです。
【1】資料を準備
相手に理解してもらうためには、数字やデータの裏付けが効果的。そのための資料が必要です。今回のケースでは、出張費の正当性を主張するため、「日時」「訪問相手」「目的」「金額」についての資料が準備されるべきでした。証明できる資料なしに、ただ「適切だった」の言葉だけでは社会人として通用しません。
【2】理性でコントロール
まずは問題の原因が自分、もしくは自分のした事にあると認識することが大事です。人間は感情の動物と言われますが、その感情を理性でコントロールするのが社会人です。追及する側の質問は厳しいかもしれません。込み上げる思いがあったとしても、それを露わにするのは間違いです。冷静に説明し納得させる。これが信頼回復の第一歩です。
【3】見た目のイメージ
多くの人にとって見た目のイメージはそのまま、その人自身の人となりを連想させます。名誉や信頼の回復を目指すなら、いつも以上に見た目のイメージ作りが大切です。今回気になったのは、髪型と上着。清廉潔白だと訴えるには、額にかかる前髪はNGです。全体に髪も長すぎますが、特に前髪は上にあげて額を出すべきでした。上着はそのサイズが問題です。座った時に襟や肩が浮いていた原因は、大きすぎるサイズです。その見た目はそのまま、軟弱でゆるい人という印象を与えます。
人は時に、間違いを犯すもの。その後どのようにリカバリーするかが重要です。志を持ち、やっとの思いで得た職にもかかわらず、その進退にかかわるところまで発展してしまったのは残念です。問題発生時には、火が小さいうちに消すのが鉄則。もし、釈明会見で泣かずに論理的な説明ができていたら、多くの人にとっては殊更注目することもなく過ぎた事件のひとつだったでしょう。
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