エルニーニョ冷夏を逆手に取ったビジネス戦略

エルニーニョ現象で「冷夏」に?景気にマイナスの影響が懸念

エルニーニョ冷夏を逆手に取ったビジネス戦略

気温と商売には綿密な関係があり、例えば、「気温が22度を超えるとビールが売れ始める」というようなデータが多く存在します。昔から、消費を促すという点では「夏は暑い方が良く、冬は寒い方が良い」と言われていますが、どうやら今年は雲行きが怪しいようです。

その原因は、今年の夏はエルニーニョ現象の発生が予測されているからです。エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で、海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象です。これにより、地球全体の大気の流れが変わってしまいます。

そのエルニーニョ現象が発生すると、日本では「冷夏」と呼ばれる現象が起こり、夏季に低温や長雨の日が多くなる傾向があります。そうすると農作物の成長に悪影響を与え値段が高騰したり、天候不順によるレジャーへの意欲がそがれたりして、人の消費意欲が抑制されるため、例年よりも売上が落ち込み、景気にはマイナスの影響が出ると懸念されています。

エルニーニョ冷夏への3つの対応策

そのため、「夏には暑くなってほしい」と祈るだけではなく、売上減少を抑えるためにも、あらかじめ冷夏になった場合の対策を用意することが重要です。しかし、「冷夏の特効薬」というものは存在しないため、手探り状態というのが企業の本音です。

エルニーニョ冷夏への対応策を考える際のポイントは「夏の時期に、夏季商品が売れない。では、どうすれば良いだろうか?」という視点で考えることです。

①前倒しする
「夏に夏季商品が売れないのなら、夏前に夏季商品を売る」というように、販売する時期を前倒しする方法です。夏に秋季商品を売るということもできます。単に「夏期商品が売れないから秋季商品を前倒しで投入する」ということではなく、「夏でも涼しい日が続くから、夏でも温かいものを提供する」というように、「お客さまに必要とされるから投入する」ということがポイントです。

②予約を活用する
冷夏によって消費行動が低下する前に、利用者を確保するという方法です。単純に「割引します」というような特典で予約を受けつけるのではなく、「夏季の時期に、お客さまが前もって予約をしたくなるような工夫」が必要となります。「なぜ、お客さまが、その時期に予約をしなければならないのか?」という視点がポイントになります。

③売り方を変える
「暑い日には冷たいビールが美味しいですよ!」という売り方から、「夏の○○料理には、ビールがすごく合うんですよ!」というように、買う理由を変えてしまうという方法です。同様に「暑いから、避暑地に行く」を「夏しか見れない○○があるから、それを体験しませんか?」というように「お客さまが行動する理由」を変えることも有効です。従来から定着している「暑いから~」や「夏だから~」という理由を、あえて使わないということを前提に考えてみてください。

「お客さまに、どのようなメリットがあるのか?」という視点で

ただし、どの方法も「お客さまに、どのようなメリットがあるのか?」という視点を軸にして戦略を立てていることが大前提となります。これは冷夏対策に限ったことではありませんが、そのことが抜けていたり、きちんと伝えることができなければ、せっかく立案した戦略も不発に終わってしまいます。

これから冷夏対策を考える場合は、「お客さま」のことをしっかりと理解した上で、悦ばれるメリットを含んだ対策を考えてみてください。

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