平成生まれの「ゆとり」女子、30年前のマナー本を読んでみました

 礼儀がなっていない、世間知らず……などなど、世間からバッシングを浴びやすい「ゆとり世代」。
 そんなゆとり世代の人間が、30年前のマナー本を読んでみたらどんな感想を持つのでしょうか?
 そんな素朴な疑問を解消すべく、新刊JPライターである私、浅田由妃が、30年前のマナー本を読んでみることにしました。当方、平成2年生まれ、現在23歳。典型的な「ゆとり」世代の社会人2年目です。

 今回読むのは、『礼儀作法 これだけ知っていれば十分』(川上源太郎/著、日本実業出版社/刊)。昭和59年(1984年)発行ということで、ぴったり30年前です。
 著者はなんと昭和14年(1939年)生まれ。戦前ということで、時代を感じますね……。それではさっそく読んでいきましょう。

■お墓参りはレジャーではない!
 著者が声高に主張しているのは、お墓参りはレジャーではないということ。
「どれだけ社会の表面が都市化しようとも、私たちの心のかたちは昔の農民のままである。(中略)日本人であれば、世代を超えて永続する「家」によって、自分につらなる過去の時代感覚――過去の深さの実感――を持つのである。(中略)年回忌の法事にしても、お彼岸のお墓参りにしても、そのほかに現れる形式が、まるでレジャーの一つでもあるかのように俗化、粗略化されている。このままでは古来の形式に対する私たちの共同体の意識は薄れていくだろう」(本書31ページより)と著者は述べています。
 葬儀が多様化し、「低価格化」「シンプル化」がうたわれ、自然葬や共同墓地なども出てきている昨今からすると、ちょっと時代を感じる記述かもしれません。でも、旅行気分でお墓参りに行ってしまっていた私は、著者に一喝された気分になりました……。

■上司に「なぜですか?」「どうしてですか?」と訊き返すな!
 「なぜ?」「どうして?」などを気軽に口にするのは礼儀に反すると著者は主張しています。
「目上の人にむかって、これを発するのは無礼である。上司に命じられた仕事に『なぜやるのか』とか『どうしてしなければいけないのですか』と絶対に訊き返してはならぬ。仕事に対する疑問は、それを出すことが許されている会議などで、教えを乞うように謙虚にたずねるべきである」(本書68ページより)と著者は述べています。
 ちょっとわからないことがあると、すぐ「なぜ?」「どうして?」と訊いてしまいがちな、私たちゆとり世代。著者が見たら、卒倒することでしょう……。
 
 時代を感じる記述もあったけれど、「毎朝自分から晴れやかに挨拶しよう」「言葉の扱いに気をつけよう」など、本書に書かれていることの大半は、今でも当たり前のマナー。
 なかには、「感謝する時は頭を下げると気持ちが伝わりやすい」「贈り物は理由のあるものだけにするべし」といった、思わず「なるほど……!」と唸ってしまうようなものもありました。
 ゆとり世代の私でも、意外と、30年前のマナーを分かっているのでは!? なんて、ちょっと自信が出てきちゃいました。
(新刊JP編集部/浅田由妃)



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