後藤まりこ、SHIBUYA-AXで神々しいほどの全力ライヴ―OTOTOYライヴレポ
5月27日(火)、SHIBUYA-AXで後藤まりこのワンマン・ライヴ〈510mariko Party @ SHIBUYA-AX〉が開催され、フロアの隅々にまで体を運び歌を届け、神々しいほどの全力ライヴで観客を熱狂させた。
「みんな緊張してるよね 僕もいっぱい緊張してます 眠れなさそうです」前夜にツイッターでつぶやいていた後藤。1週間ほど前にはチケットが売れていないと自ら告白して話題になったものの、この日のAXには熱い期待を胸に多くのファンが詰めかけていた。ステージは向かって左手からドラム、キーボード、ベース、キーボード、ギターと半円を描くように楽器が並んでおり、中央には後藤のギターとマーシャルアンプが置かれていた。
開演時間ちょうど、手拍子に乗って後藤が登場するとエレキギターで「世田谷区桜新町2丁目」の弾き語りを開始。歌い終えるとまるでエンディングを迎えたかのような万雷の拍手が起こる。続けて「好き、殺したい、愛してる」で絶叫すると、先程まで手拍子していた観客が静まり返った。上はセーラー服風、下はフリフリスカートの衣装は後藤の現在と過去が交差しているかのようだ。
次々と曲を歌って行くうちに、二階席も埋まってきた。「299792458_TOKYO-U」ではループさせたコーラスと観客の手拍子から打ち込みのリズムが流れギターを置いてハンドマイクで歌う。間奏では観客に背を向け、指揮者のように両手をヒラヒラとさせている。本人のエキセントリックなイメージを増幅させる歌とアクションに注目していると、「大人の夏休み」の途中でバンドのメンバーが登場。AxSxE(G)、仲俣“りぼんちゃん”和宏(B)、マシータ(Dr)、坂井キヨヲシ(Key)、中村圭作(Key)が繰り出すサウンドはのっけから激しく観客を煽る。
「行こうか! AX! 」と客席にダイヴすると、堰を切ったかのように爆発的に盛り上がるフロア。観客の頭上をクラウドサーフしながらもまったく歌声が途絶えることのない後藤。まだまだライヴは序盤だが、ペース配分などお構いなしといった感じでバンドと共に音の塊となって飛ばしていく。「ままく」「M@H U少女。。」と続きパンキッシュな「Hey musicさん!」ではステージに戻り飛び跳ねながら歌う後藤に合わせて観客もジャンプ。怒涛の爆音がさらにテンションを上げた「すばらしい世界」を終えるとMCへ。
「みんなありがとう、来てくれて! 最初はどうなることかと思った(笑)チケットが全然売れてなくて。でもこんなに来てくれてありがとう! 」と感謝の気持ちを伝えると、再び客席にダイヴした「4がつ6日」から、客席で立ち上がりシングル曲「sound of me」へ。赤いタンバリンを手に歌った「ふれーみんぐりっぷす」ではジミヘンを彷彿とさせるフィードバックの中でかき鳴らされるギターが心地よく耳を刺激する。百戦錬磨のバンドメンバーが奏でるサウンドはひたすら力強い。ファンシーな「浮かれちゃって、困っちゃって、やんややんややん」を歌い終えると「ちゃんと1人になれました。リブートしました。秋頃に、CD出します! 」と高らかに新たなスタートを宣言。「新曲やらせてください! 」と始まったのは野太いベース・ラインと二台のピアノから繰り出されるリフレインが耳に残るハードなダンス・ナンバー。新しい後藤まりこの世界の一片を垣間見せてくれた。ギターを持ちパワーコードを刻みながら歌い出した「m@u」ではギターを何度も抱え上げ狂ったようにステージ上を動き回った。
バンドのメンバーが引き揚げ1人なると「今日はありがとうございました! 」と火花が散るような打ち込み音とシンセのロングノートが流れる中、ハンドマイクで「す☆ぴか」を歌い本編終了…となるはずだったようだが、「アンコールにいくはずだったけど、このままやる」との言葉に観客は大喝采。ギターを抱えるもストラップが切れたらしくステージ前のモニターに腰掛けて「ゆうびんやさん」を弾き語り。途中バンドが加わり演奏しているといったん袖に戻った後藤は白いワンピースに衣装をチェンジしてステージに登場すると、ドライヤーで頭を乾かして演奏に復帰。「ドローン」では音の洪水の中で照明に照らされる後藤の姿が神々しく見えた。
「これからもよろしくお願いします! 」と深々と客席に向かいお辞儀をする後藤に大きな拍手が贈られ「最後の曲です! 」と歌われた「あたしの衝動」では観客に支えられつつ二階席からは見えなくなるほど客席後方まで行き立ち上がる後藤。大きな“まりこコール”に包まれると「お前らみんな死ね! みんな一回死んで生還ろう! 」と叫び、PAブースまで足をのばしアカペラで「HARDCORE LIFE」を歌い、AXでの最後のライヴを終えた。終了後も長い間、手拍手が鳴り止まず。しばらくして客席後方に姿を現した後藤が改めてライヴの終了を告げるとようやく観客たちは帰途についた。
観客の中に何度も飛び込みながらも決して歌うことをおろそかにせず全力でワンマン・ライヴをやりきった後藤まりこ。今後どのような形で新たな音楽活動をおこない、発信していくのか? より一層注目したくなるライヴだった。(岡本貴之)
〈510mariko Party @ SHIBUYA-AX〉
2014年5月27日(火) SHIBUYA-AX
OPEN 18:00/START 19:00
〈セットリスト〉
1. 世田谷区桜新町2丁目
2. 好き、殺したい、愛してる
3. シンデレラタイム
4. 触媒
5. 299792458_TOKYO-U
6. ラブロマンス
7. 大人の夏休み
8. ままく
9. M@HΦU☆少女。。
10. Hey musicさん!
11. すばらしい世界。
12. 4がつ6日
13. sound of me
14. ふれーみんぐりっぷす
15. 浮かれちゃって、困っちゃって、やんややんややん
16. 新曲
17. ユートピア
18. m@u
19. す☆ぴか
アンコール
20. ゆうびんやさん
21. ドローン
22. うーちゃん
23. あたしの衝動
24. HARDCORE LIFE
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