民間人も無視できない秘密保護法の脅威

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公務員だけではなく、民間人も処罰の対象に

民間人も無視できない秘密保護法の脅威

先の臨時国会で成立した特定秘密保護法が12月13日午前、公布されました。1年以内に施行されます。

特定秘密保護法案23条1項では、特定秘密の取り扱い業務に従事する人は、たとえ民間人であっても(たとえば、防衛省と契約している防衛産業の社員など)特定秘密を漏らしたときには処罰(10年以下の懲役など)の対象となるとされています。未遂や(故意に限らず)過失であっても例外ではありません。

また、秘密を漏らした当人だけではなく、共謀や教唆(そそのかした)、扇動(あおった)した人や(同法25条など)、特定秘密に不正アクセスをした行為なども処罰されることになります(24条1項)。たしかに条文上「目的犯」に限定してはいますが、解釈の幅が広い文言が多用されており、広範に及ぶ懸念は残ります。しかも、処罰される場合の刑事裁判においても、特定秘密の中身については明らかにされないでしょうから、自分の行為の何が罪とされているのかがわからないままに処罰される恐れすらあるのです。

プライバシー調査、対象者の家族や配偶者にも及ぶ

そして、特定秘密を取り扱う公務員や民間人は「適正評価」というプライバシー調査を受けることになります(同法12条など)。調査項目には、犯罪歴等だけではなく、病歴や飲酒の節度に関する事項、信用状態など経済的状況に関する事項も含まれています。

そのため、医療機関や金融機関なども行政機関から個人情報の問い合わせを受けることがあり、患者や顧客のプライバシーにかかわる情報でも回答を拒みにくくなるとされています。加えて、評価対象者本人だけではなく、その家族や配偶者の父母、同居している人などの氏名、国籍、生年月日までも調査されることになっています。

国民の知る権利が侵害される恐れも

このように、特定秘密を漏らした場合には厳しい処罰がなされること、解釈の幅が広い文言が使われていることなどから、特定秘密を取り扱う公務員や民間人が必要以上に萎縮して、国民に知らせるべき情報まで出さなくなる可能性があります。

「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」という条文が加わりましたが(同法22条1項)、「配慮」という大変あいまいな言葉が使用されていることや、報道機関にもガサ入れ(捜索)が入る可能性があることなどから、取材活動等が差し控えられてしまい、ひいては、秘密保護法によって、国民の知る権利が侵害されるかもしれません。

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