うっかり使うと失礼になる「まちがった敬語」
「言葉の乱れは生活の乱れ」などと言いますが、「自分は正しい日本語を使っている」という自信を持っている人というのは、案外少ないのではないでしょうか。
しかし、言葉づかいに関していえば、社会人になると「まちがっていた」では済まされないことも出てきます。特に敬語は、まちがえると自分が恥をかくだけでなく、相手を怒らせてしまうかも…。
『日本語の練習問題』(出口汪/著、サンマーク出版/刊)は、国語が弱っているといわれる日本人に、正しく美しい日本語の使い方を教えてくれます。
たとえば、敬語にまつわる次の3つの例文はどれも日常的に使ってしまいそうなものばかりですが、正しく日本語が使われているのは1つだけ。
どれだかわかりますか?
1.課長、今度の企画、存じ上げておられましたか?
2.あなたのご意見について、申し上げたいことがある。
3.名物のお菓子なので、皆さんでいただいてください。
1.は「おられましたか?」から、「課長」は目上の人だということがわかります。それなら尊敬語を使わないといけないのですが、「存ずる」は「知る」の謙譲語で、「相手を上げるのではなく自分を下げる」言葉。目上の相手の行動や状態について言う時に使うとかなり失礼な表現になってしまいます。
この場合は「ご存じでしたか?」が正しい表現です。
2.の「ご意見」は「あなた」の行為です。それに対して敬語を使っているので、例文の他の箇所でも「あなた」に敬意を表さなければなりません。
「申し上げる」は謙譲語で自分を下げる表現なので、例文のような使われ方は適切。これが正解です。
3.の「いただいてください」がポイントです。「いただく」は「食べる」の謙譲語なので、やはり敬意を表さなければいけない相手である「皆さん」の行動に使うのは不適切。
正しくは「召し上がってください」です。
今回紹介した問題はほんの一例。
本書には、「正しい日本語」であることはもちろん「美しい日本語」を使えるようになるための問題と解説が揃えられています。
「言葉の乱れは生活の乱れ」が本当ならば、言葉づかいを磨くことで生活も人生もいい方向に向かうはず。
普段使っている日本語がまちがっていないかチェックする意味でもぜひ活用してみてください。
(新刊JP編集部)
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