有給休暇の買い取り解禁?その真相は?
給与アップの施策として有給休暇の買い取り解禁が注目されたが…
先日、ポータルサイトのニュースに「有給休暇買い取り解禁すれば取得日ゼロの人は年収37万円増も」という見出しの某週刊誌の記事が掲載されていました。年次有給休暇の買い取り解禁について政府で検討しているような誤解させてしまうようなタイトルでしたが、決してそうではありません。また、安倍首相が演説したという事実もありません。確かに安倍首相は会社員の収入を上げようと必死ですが、そのような中でサラリーマンの給与アップが可能な施策として「年始有給休暇制度の買い取り制度の解禁」が手っ取り早い方法ではないかという一部の有識者の意見とともに記事が記載されたのです。
年次有給休暇の取得率は50%前後。中小企業では低い傾向に
年次有給休暇については、出勤率8割以上という要件はありますが、入社6か月で年間10日、勤続6年6か月以上の社員には20日の法定年次休暇が付与されます。しかしながら実際のところ、「忙しくて取得できない」「取得できる雰囲気がない」といった様々な理由で、労働者は思う通りに取得できていません。この法定の年次有給休暇の時効は2年となっていますが、取得率はおよそ50%前後。特に大企業に比べ、中小企業は取得率が低く問題視されています。
買い取りを解禁すれば、有給休暇の趣旨から外れる
しかし、問題を解決しようと買い取りを実際に解禁するとなると、年次有給休暇のそもそもの趣旨から外れてしまうことになります。年次有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることを目的として設けられたものです。「お金で解決すれば良い」となると、買い取りが優先される可能性があります。
現在でも、年次有給休暇については、次のような場合、例外として買い取りしても違法になりません。
<買い取りの例外>
1、法定付与日数を超えて付与している日数分について
2、時効の2年を経過して消化できなかった日数分について
3、退職によって権利を行使できなかった年次有給休暇(引き継ぎなどで会社の都合で無理やり出勤をお願いした場合の日数分について)
買い取り単価については法律での定めがありませんので、全員一律1日8,000円などと会社が事前に規定しておくと労使ともにわかりやすいでしょう。
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