「悲惨指数」1位はスペイン
「Misery Index(悲惨指数)」というものがあるのですね。財政赤字と失業率、ともに問題となっている今、日本も他人事ではないですね。今回はEiichirohさんのブログ『果てしないカオス』からご寄稿いただきました。
「悲惨指数」1位はスペイン
国際的格付け機関ムーディーズが、スペインを、財政赤字と失業率を加えた「Misery Index(悲惨指数 *1)」 の1位にランクした。アイルランドは4位。スペインに続くのは、ラトビア・リトアニア・アイルランド、ギリシャにイギリス。そしてアイスランドを経てアメリカは8位。
*1:この記事においての悲惨指数はムーディーズが開発した新しい悲惨指数(財政赤字+失業率)のことを指す。
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Moody’s Misery Index ranks Spain at No. 1; Ireland gets a fourth ranking (Dec 16, 2009)*2
Moody’s, the international ratings agency has ranked Spain as top of its Misery Index – – a metric which adds a country’s fiscal deficit and the unemployment rate – – and Ireland gets a fourth ranking. Spain, is followed by Latvia, Lithuania, Ireland, Greece and the UK. The US is eighth – – just after Iceland.
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*2:『Finfacts Ireland』 2009年12月16日 「Moody’s Misery Index ranks Spain at No. 1; Ireland gets a fourth ranking」 より引用
http://www.finfacts.ie/irishfinancenews/article_1018682.shtml
ちなみに、財政赤字GDP比と、政府債務残高GDP比は違う *3。
*3:『ロイター』 2009年12月16日「ギリシャ・イタリア・ポルトガル・スペインの財政赤字・債務残高比率」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJS854968220091216
記事の内容以外で気になるところは、6位のイギリス。イギリスの財政赤字拡大(赤のゲージ)も注目するところではある。
『ロイター』の記事にも、「11月の公的部門の財政赤字は161億9000万ポンド。11月としては記録のある98年4月以来、単月としては09年5月以来、過去最大」*4 とあるが、ロンドン五輪なんて本当に大丈夫なんだろうか?
*4:『ロイター』 2009年12月19日「11月の英公的部門純借入額は約203億ポンド、同月として過去最大」
http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPJAPAN-13023520091218
失業率(青のゲージ)は国によってカウントの仕方が違うというのは周知の事実なのだが、この指標も細部までは統一されていないと思われる。U3は10.2、U6は17.5%(10月統計)*5 など。
*5:『果てしないカオス』 2009年11月8日 「激化する「米中貿易紛争」」
http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-10382529881.html
しかしスペイン、ギリシャの他にバルト諸国・東欧・イギリス・フランスがランクインし、「デフォルトサイクル」*6 を裏付けるような内容となっている。それだけ信憑(しんぴょう)性があるという事だろう。
*6:『The Market Oracle』 2009年12月15日 「Sovereign Government Debt Defaults Come Full Circle」より引用
http://www.marketoracle.co.uk/Article15826.html
客観的デフォルト指標を悲惨指数とするならば、主観的指標はCDS *7。 悲惨指数上位をCDSに変えてみると以下のようになる(判明する国のみ)。
Market Data -Sovereign Risk Monitor – Friday, 18 December 2009 — 23:30
Spain 109.38bp
Latvia 554.09bp
Lithuania 321.27bp
Greece 279.58bp
US 36.83bp
France 30.44bp
Hungary 240.48bp
そして、その他「懸念される国々」
Dubai 446.15bp
Iceland 420.20bp
Poland 130.26bp
Turkey 192.33bp
Russia 189.97bp
Slovakia 79.83bp
客観的指数とマーケットではやはり違う。大まかに“小国”はマーケット(CDS)ではどうしても上に振れやすいが、“大国”は実際よりも過大評価(低数値)されやすいと個人的に思う。マーケットでは有事の度にオーバーシュートする。バルト諸国などはマーケット上では終わっているが、この現象は株式市場でも変わらない市場の原理だと言える。そう考えると、「悲惨指数」が最近注目されているのもうなずける。
ちなみにCPD *8 値で16位の日本は、2010年度の名目GDPは475.2兆円となっていて、国債発行額が44.3兆円。“埋蔵金”の10.6兆円を除外して考えると、日本の財政赤字GDP比は要するに9.3%という事になる。それに失業率(11月/5.2%)を加えてみると、日本の悲惨指数は14.5%で、日本はハンガリーとドイツの間の14位となる。
CDSを参考にしたCPD値からでも16位、“ムーディーズの悲惨指数”でも14位。世界一の債権国という日本だが、返ってくるかどうかよく分からない“机上の債権”は置いておくとして、デフレ下での税収不足とGDP縮小は進み、政府による借金は積み上がる一方。ソブリン・リスク *9 は欧州だけの問題ではない。
*7:CPDとは、Cumulative Probability of Default(累積債務不履行確率)の略。今後5年間に債務不履行(デフォルト)になりうる確立(%)。CMEグループのCMA DataVisionがCDS市場などを元に算出。
*8:CDSとは、Credit default swap(クレジット・デフォルト・スワップ)」の略。企業(または国家)の債務不履行(デフォルト)に備えた保証契約を金融商品化したもの。
*9:ソブリン・リスク(Sovereign risk)とは、銀行等の金融機関が外国政府や政府機関、中央銀行など国に対して融資をした際の債務不履行の可能性(信用リスク)。
執筆: この記事はEiichirohさんのブログ『果てしないカオス』より寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信
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