ネット選挙は失敗?目指すべき今後の方向性

ネット選挙解禁後の投票率は最低水準に

ネット選挙は失敗?目指すべき今後の方向性

今回の参議院選挙が終わり、「ネット選挙の効果は得られなかった」という評価やコメントが多数発表されています。

ネット選挙の目的は「情報の拡散」にありました。多くの国民が政治に関心を持ち、主体的にかかわるきっかけとなり、その結果として投票率の向上が期待されていたのです。しかし、ネット選挙解禁後に初めて行われた選挙の投票率は、近年でも最低水準でした。「投票率向上の切り札」と銘打たれ、鳴り物入りで解禁されたこともあり、投票率だけを見れば「期待外れ」との烙印を押されても仕方のないことかもしれません。

「有権者との距離を縮めること」をネット選挙の最大の目標に
しかし、選挙活動にインターネットを活用したからといって、それだけで投票率は上がるのでしょうか?投票に行かない人の多くは、政治や選挙を身近に感じておらず、無関心です。その層に対して、候補者が呼びかける場所を駅前や商店街からネットに変えたからといって、「投票に行こう」とならないことは明らかです。根本的な問題は、選挙活動にネットを使うかどうかではなく、その活用方法にあります。では今後、どのように進めればいいのでしょう?

まずは「有権者と政治家・候補者との距離を縮めること」を「ネット選挙における最大の目標」と位置付けるべきです。例えばFacebookを見てみても、遊説日程や「私はこんなに頑張っています!」という自己アピールの写真ばかりで、有権者とコミュニケーションを取っている場面はほとんど見当たりませんでした。

地道な「ネット演説」や「対話」がファンを作り「口コミ」を生む
ダイヤモンド社が運営するWebサイト「メンター・ダイヤモンド」に、「若者はフォローしている対象の82%が『友達・知人』であるため、若者にとっては、立候補者や政党の情報に触れるチャンスには至っていないようだ」との考察が掲載されていました。つまり、ネット選挙が解禁になったからといって、すぐに結果が出るものではないということです。

選挙の時だけではなく、日常的にさまざまな情報を提供し、政治家や候補者が有権者ひとりひとりとコミュニケーションを取りながら、自身や政策の認知度を上げていくことが最も重要だといえます。地道な「街頭演説」ならぬ「ネット演説」や「SNSでの対話」を繰り返すことで、ファンを作っていくわけです。やがて、有権者による「口コミ」が生まれ拡散していきます。それは、ネットショップを繁盛させていくプロセスに似ています。

そして、その「口コミ」をもとに、また新たな政治が生まれてくる。このようなサイクルが実現し始めれば、国民の政治に対する距離感がより身近になってくるのではないでしょうか。それで初めて、投票率の向上につながっていくものと思われます。

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