120秒のCGアニメを90分で制作! 台湾発の次世代メディア「TomoNews」編集部に行ってきた
皆さんは「TomoNews」というニュースサイトを知っていますか? TomoNewsとは、約1分のアニメーションを通して事件や芸能ニュースを分かりやすく伝える次世代のメディアです。こちらのサイトは、台湾大手メディア「ネクスト・メディア・アニメーション」が立ち上げ、4月より日本に本格参入したもの。Youtubeチャンネルを始め、スマートフォンとタブレット向けの無料アプリもリリースしています。
この「アニメーションでニュースを伝える」というTomoNews最大の特徴。「一からアニメを作るのってものすごく手間がかかるのでは?」って思いますよね。しかし、TomoNewsでは、120秒のCGアニメーションを最速90分で制作するという、驚きのスピード運用を行っています。今回、筆者は台湾にあるTomoNews編集部に潜入。どの様にアニメやニュースが完成するのか写真と共にレポートをご紹介します。
まず最初に……「TomoNews」ってこんなサイト!
ズバリ、ニュースの常識を覆し、時間を要するCGアニメ技術を使ってニュース配信に挑んだ、とんでもないニュースサイト。「なぜわざわざCGアニメに!?」と疑問を抱く人は多いと思いますが、一度動画を見ればその理由が分かるはず。
例えば、卑劣な交通事故のニュースがあった時にCGアニメで立体的にその状況を再現する事で、その悪質さがより分かりやすくなったり、先日起こった「ジャニーズファンによるデマ騒動」であれば、よりこの出来事の“トンデモさ”や衝撃度が伝わってくる……というワケ。ニュースと事実の間に埋められないギャップを動画で補っているという事です。
これらの動画ニュースはすでにアメリカ、香港、台湾で配信されており、タイガーウッズなど有名人スキャンダルの挑発的な報道で注目を浴び、すでに数多くのメディアに取り上げられ、ロイターなどのメジャーなメディアとコンテンツの提携するなどの実績が。
新たにはじまった日本版の制作の為、台湾本社のスタジオにおよそ18人の日本ニュースチームを配置し、業界最大規模ともいわれる500名のアニメ人材と組むという実に大規模なプロジェクト。現在は1日に8本程度のニュース配信ですが、今後は15本に増やす予定だそうです。
ニュースからCGアニメ作成までの過程
「よし、このニュースをアニメにしよう」そこから完成までのフローは、上記の図のとおり。いくつかの過程を同時に行う事で、9最短90分でアニメが完成するというわけ。これらの工程にはそれぞれ約20分という制限時間があり、細かくデッドラインを引いておく事が、このスピード感が守られる理由の一つ。
実際にアニメ制作の流れを見せてもらった!
■コンテンツオフィス
ニュースをどの様にCGアニメにして、どの様にモーションキャプチャーを利用するか、企画会議の様なもの。1つの会議室いっぱいに人が入って、左右の壁についたモニターで別々のニュースの会議をしていました。
その場で絵コンテを見ながら話し合ったり、香港オフィスを電話で話しながら進める事も。
■モデル
CGアニメ作りがスタートすると、まずニュースに合わせた人物や背景を用意します。こちらでゼロから用意するのでは、到底「完成まで90分」に間に合いません。事前に作っておいた7万パーツにも及ぶ素材の中から選んで、加工、微調整をして使用します。例えば「太目の中年男性」というオーダーがあった時、見本の写真(右モニター)を見ながら、モデルを加工していきます(左モニター)。
こちらにいかにたくさんのパーツをストックしておけるのかが、スピーディなアニメ作りのポイントの一つ。話題になりそうなタレントやキャラクターは事前に作成してあるという事で、剛力彩芽さんとピカチュウを見せてもらいました。そっくり。
■モーションキャプチャー
「モデル」という工程と同時に進行しているのがモーションキャプチャー。監督の指示に従って演技します。
黄色の骨組みはモーションアクターの動きを読み取っていて、隣にいるキャラクター(ジョーカーとネクスト・メディア・アニメーションの社長!)も同じ動きをしています。
つまり、ここで「モデル」工程で制作した人物とモーションキャプチャーの動きを組み合わせれば、事件の動きを再現出来るというわけ。
小道具やモーションアクターが着ているスーツの改修などは手作り。工夫がたくさんつまっています。
■アニメーション
こちらでは、これまで出来上がってきたアニメの“ベース”を調整して、仕上げていきます。背景を組み合わせたり、小物の位置を調整したり。写真ではスマートフォンを持つ手の角度を自然に見える作業を行っています。
ちなみに、デスクを取材させていただいたスタッフさんのPCには「コップのフチ子さん」が!
■音響効果
アニメに大切なのが、音響効果。TomoNewsでは特におもしろニュースや変態ニュースが人気の1つ。酩酊して転んだ時の「ほわほわわぁ~ん」と言った、まさにアニメ! という音付けは、ニュースを直感的に分かりやすくする為に必要不可欠です。
■編集
編集でいよいよCGアニメの仕上げに。アニメ、音響がニュースの概要に合っているかをチェックしながら、編集をしていきます。「コンテンツオフィス」から「編集」ここまでの流れで1つのアニメが完成。それぞれの工程の担当スタッフがとても素早く、かつ丁寧に仕事に打ち込んでいて、そのスピード感は近くで見いていて本当に驚きでした。皆さんお忙しい所、お邪魔しました!
↑完成したニュースはこんな感じ! 「矢口真里 別居の理由は不倫か」http://www.youtube.com/watch?v=sVyfb_46cb0
潜入取材で感じたこと
ネクスト・メディア・アニメーションを擁する「ネクスト・メディア」は、香港・台湾などで大手日刊紙『アップル・デイリー』を発行するほか、雑誌・テレビ事業などを幅広く手がけているメディアグループ。
台湾は総統の任期が4年と決まっている事から選挙への意識が強く、老若男女全ての人が政治への関心が高いのだとか。『アップル・デイリー』は食品偽造を行った企業を強く糾弾するなど、国民にニュースを伝えるという強い使命感にあふれた媒体であり、この報道に対するこだわりこそが、TomoNewsという次世代メディアを生み出したパワーの源なのだと感じました。
TomoNewsの名前の由来は、「Tomo=友」と英語の「Tomorrow」を組み合わせた言葉から。政治ニュースからおもしろニュースまで、CGアニメで伝えるTomoNewsをぜひチェックしてみてくださいね。現在TomoNewsでは、ユーザーからニュースを募集するキャンペーンを実施中。投稿した映像が選ばれればTomoNewsがCGアニメーションと組み合わせてサイトにアップロード、ニュースとして発信する他、採用されれば報酬が30万円という超太っ腹な企画です。詳しくはキャンペーンサイトまで。
次回は、TomoNewsが次に挑む挑戦「YouTubeでの生放送番組配信」に密着したレポートをお届けします。
TomoNews
http://www.tomonews.net/
ネタハンター
http://www.tomonews.net/neta-hunter/[リンク]
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。