その会社は大丈夫!?労働保険未加入のブラック企業を見分ける方法

※写真と本文は関係ありません

去る参院選では、ネット界隈(かいわい)で『ブラック企業』という言葉に注目が集まった。
『ブラック企業』とは、法令を遵守せず、度を超えた長時間労働を不当な賃金で従業員に強制するなど、色々な意味で入社をおすすめできない企業のことである。

何はともあれ、Googleで「××株式会社 ブラック」と検索する。そんな就活生の方も多いのではないだろうか。かく言う筆者も数年前はその一人であった。もしかすると、今この記事を読んでいるあなたもその一人かもしれない。あるいは、もうブラック企業に入社してしまい、抜け出せなくなっているだろうか?いや、もしかすると、あなたはまだブラック企業に入社してしまったことに気付いていないだけなのかもしれない。

しかし、ある会社がブラック企業であるか否かを見抜くことは容易ではない。ブラック企業のウワサで有名な大手企業であればともかく、WEBサイトすら存在しないような中小企業の情報を入手することは不可能に近い。

そこで、皆様にご紹介したいのは、労働保険(労災保険と雇用保険の総称)への加入状況を調べるという方法だ。法令により、一人でも雇用が発生すれば少なくとも労災保険への加入義務が発生する。しかし、その義務を守っていないとすれば、その企業は法令を遵守しないという意味でブラックである。地域や業種にもよるが、このような企業は5~10%程度の割合で存在しているようだ(岐阜県高山市「労働実態調査 平成23年調査結果」より)。

では、どのようにすれば労働保険への加入状況を調べられるのだろうか? 答えは、厚生労働省がWEBで公開している『労働保険適用事業場検索』を使用することである。

 

労働保険の加入状況を検索できる『労働保険適用事業場検索』

『労働保険適用事業場検索』(*URLは、この記事の最後に掲載)には、次のように説明が記載されている。

労働保険の加入に必要な手続を事業主の皆様が行っているか、この検索機能により、どなたでも確認することができます

それでは、例として『アッテムト鉱山株式会社』(注:架空の企業)を検索してみよう。

1. まず『労働保険適用事業場検索』(*URLは、この記事の最後に掲載)にアクセスする。

注意が必要なのは、この検索ページは、IEにのみ対応しているという点である。FirefoxやChromeなどでアクセスすると、次のステップでご丁寧にもエラーとなる。さすが、お役所といったところだろうか。

2. ページ下部の『検索ページへ』の画像リンクをクリックする。

3. 『労働保険適用事業場検索』画面が開いたら、検索条件を入力する。

ここでは例として都道府県に「13 東京都」、検索方法に「漢字で検索する」、事業主名に「アッテムト鉱山株式会社」と入力した。

4. 「検索実行」をクリックすると、検索結果がポップアップウィンドウで表示される

なお、ポップアップウィンドウが表示されない場合は、ポップアップブロックを一時的に無効に設定する必要がある。

検索結果は、0件。つまり、東京都の『アッテムト鉱山株式会社』は労働保険に加入していないということが明らかになった。

もし、これが実在の企業であり、そこに事業場が存在しているのにもかかわらず、検索結果が0件であれば、それはブラック企業であると判定して良いだろう。(ただし、検索条件の入力ミスや、適用外の事業所、または、従業員数が0名の会社という場合も考えられる)

労働保険に加入していないとどうなるか

労働保険に加入していない場合、以下のデメリットが存在する。

・労働災害が発生したときに、スムーズに保険給付を受けられない。
・失職したときに、スムーズに保険給付を受けられない。

上記の場合でも、面倒な手続きを行えば保険給付を受けることは可能だ。しかし、会社側には遡って加入手続きを行うことが求められるため、その費用の一部を負担するよう会社に求められたという事例もあるようだ。

いずれにせよ、いざというときのリスクを考えれば、入社を避けるのが無難であろう。しかし、もし既に入社してしまっていたなら、加入手続きを行うよう地道に会社側に求めていくしかない。これには、高度な対人スキルや社内政治スキルが要求されることは間違いない。

もちろん、ブラック企業「ではないこと」は確認できない

この方法はあくまでも企業が労働保険に加入しているかどうかを判断するものである。

「ある企業が労働保険に加入していないならば、その企業はブラック企業である」という命題が成り立つとしても、「ある企業が労働保険に加入していれば、その企業はブラック企業ではない」という命題は必ずしも成り立たない。したがって、この記事で紹介した方法でセーフ判定だったとしても、安心することはできない。事実、ブラック企業だとウワサされている有名企業の中では、労働保険未加入の企業を見つけることができなかった。

ブラック企業ではないことを認定する制度として、2013年度から、中小企業向けに『若者応援企業』認定制度も始まっている。しかし、すべての企業がこの制度により審査されるというわけではない。さらに、審査は企業の自己申告に基づいて行われるため、効果に疑問符が残る。

全企業のブラック度が簡単に調べられるようになることが理想だが、そんなユートピアのような時代が訪れるのはまだまだ先のようだ。

労働保険適用事業場検索 (厚生労働省) http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_1a.htm

※この記事はガジェ通ウェブライターの「Butameron」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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