むかしの製造業の現場は力があった?

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むかしの製造業の現場は力があった?

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

むかしの製造業の現場は力があった?

「なぜ昔の製造業の現場は力があったのか – 遅澤 秀一(ニッセイ基礎研究所)」 2013年07月17日 『BLOGOS』
http://blogos.com/article/66399/

いいかえると今の製造業の現場は力がなくなった?これってハロー効果とかいうやつなのではなかろうか。儲かっている会社の社員はみんな優秀そうにみえるし、斜陽な会社の社員は下っ端の社員もダメ社員に見える。

MicrosoftやGoogle、Apple、Sun Micorsystems、どの企業も飛ぶ鳥を落とす勢いの時は、その社員もかっこよく見えたし、彼らの発言は賢そうに見えた。業績が落ち目になったからといって、社員が急に馬鹿になったわけではないだろう。その産業のピークが過ぎたというだけ。

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現場の社員にかぎらず経営トップに関する評価だって同じだと思う。そういう企業を作ったのだから優秀なのはもちろんだろう。しかしタイミングや機会も重要な要素。同じぐらい優秀な経営者が二人いたとして、たまたまその位置にいたというのが明暗をわける。

だからトレンドが変化すれば、成長企業の順位も入れ替わる。それは別にそれまでトップだった企業が慢心して、怠けるようになったというわけではない。よく「新しいものを生み出す力がなくなった」と批判する人がいるけれど、宝くじに続けて2回当たるのは難しい。

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日本の製造業の凋落も、現場の責任ではないと思うけどね。たとえば日本のソフト開発産業は1980年代の8bitパソコンの頃はすごく元気だった。いまは見る影もない。でも1980年代と比べていまのソフト開発者が優秀でないとは思えない。

やっぱ産業構造の違いだと思うけどね。日本政府は国内産業を保護しなければならなかった。中国とかがいまやってるようにね。それを自由競争こそが正しいと無邪気にアメリカのいいなりになってしまった。

アメリカのいう「フェア」ってのは、アメリカに都合のいいフェアなんだよね。フェアじゃない(苦笑)。正確に言えばアメリカは「フェア」を主張すると自分に都合のいい時しかフェアを主張しない。

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そういうのを無視して、むかしの製造業の現場は~とかいうのは、結局は精神論に陥る気がするのだけどね…。大学への進学率とかの話を交えているけど、なにが言いたいのかさっぱりわからない。ようするに一流大学の学生がどんどん製造業の現場に就職すれば、日本の製造業は復活するということなのだろうか?

ならば日本のソフト開発産業も一流大学の人材を集めれば、おおいに発展するということなのか。俺にはそうは思えないんですけどね。実際に現場の人間の資質が成長のネックになっているという根拠があるなら別だけどね。この人の理屈だと農業とか漁業とか林業とか、なんでも優秀な人材さえ集めれば復活しそう。

リスクについても、なんか今の若者はリスクを取らないから製造業を敬遠してるみたいなことを言ってるけれど、むかしは製造業に就職するのがリスクだったんですかね?あまりそうは思えないけど。むかしだってオイルショックとかでバタバタ中小企業は倒産したよね…。

いろんなことを書いているけど、きちんとつながってなくて、ただ感じられることは「今の若者がもっと頑張るしかない」と言ってるだけに読めてしまう。問題なのは社会の(産業の)構造であって、個々の人間が、若者であれ中高年であれ、原因ではない。

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グローバル化や自由競争を否定しがたいので、そうなると結局は個々の人間が頑張るしかないという精神論にしかならない。グローバル化を否定し、自由競争を制限すべき。自国の産業の保護を第一に考えるべき。それが日本経済が復活する方向。それが嫌な人は精神論で頑張ればいいよ。

グローバル化&自由競争「信仰」というのは、戦前の「日本は神国」というのと変わらん。とにかく批判したら非国民らしい。困ったものだ。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年07月22日時点のものです。

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