年2回だけの特別な誓い、河童のガジロウが祝う文化財ウエディング
兵庫県神崎郡福崎町。山々に囲まれたこの町に、少し風変わりで、どこか温かい結婚式プランが登場した。主役の一人は、地元の人気キャラクター「河童のガジロウ」。辻川山公園の池に棲むとされる彼は、町の子どもから大人までに親しまれ、いまや“福崎の顔”ともいえる存在だ。そんなガジロウが、“きゅうり代稼ぎ”を理由に年2回だけ結婚式に立ち会うという、ユーモアあふれる企画が始まる。
会場は、県指定文化財「大庄屋三木家住宅」をリノベーションした「NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館」。重厚な梁と木の香りが漂う空間で、伝統と遊び心が共存する時間が流れる。形式ばらない、でも記憶に残る結婚式を望むカップルにとって、この“ガジロウウエディング”は唯一無二の選択肢になるだろう。
河童のガジロウが祝福する、“きゅうり代稼ぎ”の結婚式
このプランの最大の魅力は、地元で愛され続けるガジロウが新郎新婦の誓いを見守ることだ。彼が登場するのは年に2回だけ。過去に一度だけ参加した結婚式では、式場が笑いと感動に包まれたという。そんな好評を受けての正式復活だが、あくまで「きゅうり代を稼ぐために帰ってきた」という設定が、福崎らしい遊び心を感じさせる。
当日はガジロウが新郎新婦のそばで祝福し、会場全体を温かいムードに包み込む。緊張がほどけ、自然と笑顔があふれるその空気は、一般的な挙式では味わえない。地域キャラクターが単なる“演出”ではなく、“もう一人の立会人”として存在している点に、このプランの特別さがある。また、料金は挙式と会食を含む365,000円に、ガジロウの「きゅうり代」3万円を加えた税込価格。衣装レンタル、ヘアメイク、装花、写真撮影、コース料理(6名)などが含まれており、少人数婚にぴったりの内容だ。問い合わせ後に“ガジロウのスケジュール確認”を経て日程が確定するという流れも、ファンタジーと現実が交差するようで心くすぐられる。
<ウエディングプラン概要>
■料金
365,000円(挙式+会食)+30,000円(ガジロウのきゅうり代)※税込価格
■含まれる内容(6名様分)
挙式料(オリジナル人前式)、挙式進行、衣裳レンタル(ウエディングドレス&タキシード)、小物一式、新婦ヘアメイク/新郎新婦着付け、式場装花(アートフラワー)、スナップ写真(200カット)、結婚誓約書、コース料理(6名様)+フリードリンク(6名様)、ガジロウのきゅうり代
■実施概要
年間実施組数:年2組限定(先着順)
受付期間(2025年度):2025年9月~2026年3月
結婚式実施期間:2026年1月~12月
■お申込みの流れ
1.「ガジロウウエディング企画を申し込みたい」と、NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館へお問い合わせ
2.ガジロウのスケジュール確認
3.調整後、NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館より日程確定のご連絡
■お問い合わせ先
NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館(兵庫県神崎郡福崎町西田原1106)
TEL:0790-24-3565
URL:www.nipponia-fukusaki.jp
歴史ある文化財が舞台、“保存から活用へ”の結婚式

この特別なウエディングの舞台は、江戸時代の風情を残す「大庄屋三木家住宅」。2019年の文化財保護法改正で掲げられた「保存のための活用」という理念のもと、ホテルとして再生されたのが「NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館」である。かつて人々が暮らしを営んでいた建物で、いま再び“人生の節目”を迎える場として新たな物語が紡がれている。
この建物では、宿泊者が文化財の空間に泊まり、食事をし、“暮らしの体験”を通して歴史に触れることができる。そうした日常と非日常が混ざり合う場所で、ガジロウが立ち会う結婚式は一層印象深い。伝統を守りながら、そこに現代的なユーモアを加える。その絶妙なバランスが、福崎という町の魅力そのものを象徴している。
<複合型ホテル「NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館」概要>
施設名:NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館(にっぽにあ はりまふくさき ぞうしょのやかた)
所在地:兵庫県神崎郡福崎町西田原1106
Webサイト:https://nipponia-fukusaki.jp/
妖怪文化が息づく町が描く、新しい地域のかたち
福崎町は、民俗学者・柳田國男の出身地として知られ、町全体で妖怪文化をテーマにした観光まちづくりを進めている。神戸や姫路からもアクセスが良く、観光地としてのポテンシャルは高い。そんな中で生まれた「ガジロウウエディング」は、地域資源を“遊び心”で再構築した試みといえる。地元に息づくキャラクターと文化財という、一見相反する要素を結びつけたこのプランは、地域の誇りと創造性の結晶だ。笑いに包まれた結婚式を通して、訪れた人が町の魅力を再発見する。ガジロウのユーモラスな姿は、福崎の人々の“楽しむ力”を象徴しているようでもある。
結婚式を通じて文化財を守り、地域の物語を次世代に伝える——その舞台に立つガジロウは、単なるマスコットではない。伝統とユーモアをつなぐ、福崎の“文化の語り部”なのだ。

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