リスクマネジメントに対する認識不足と対策の遅れが日本の課題!?パンデミックや紛争、災害など、どんな時でも世界中で働く従業員の健康と安全をサポートするには

世界中で働く従業員の健康と安全を支えるインターナショナル SOS ジャパン株式会社は、グローバル企業における安全配慮義務の最新動向や、日本と海外のリスクマネジメントに対する認識と対策の違い、実際の危機対応事例と企業の持続可能な成長戦略に関するラウンドテーブルを開催。世界90カ国で企業・団体の従業員の健康と安全を支えるインターナショナルSOS の創業者であり最高経営責任者であるアノー・ヴェシイエ氏が来日した。

インターナショナルSOSグループはロンドンとシンガポールに本社を置き、駐在員など世界中で活躍する従業員を健康と安全の脅威から守る役割を担っている。災害や紛争、怪我や病気などあらゆるトラブルが起こっても組織の持続可能な事業実現のため、安全、医療、ロジスティクスおよびデジタルの専門家が90カ国1200ヵ所以上で24時間365日、顧客をサポート。

近年、社員の安全確保は、単なる福利厚生の枠を超え、経営上の重要課題として位置づけられるようになっている。特に、海外で勤務する駐在員に対しては、組織的かつ計画的な支援体制の構築が、グローバル企業における「人的資本経営」の要となっている。しかしながら、多くの日本企業では、現地対応が依然として「現場任せ」となっているケースもあり、リスクマネジメントに対する認識不足と対策の遅れが課題となっている。

駐在員が個人の裁量で危機対応を迫られることで、心身の不調をきたす事例も報告されており、企業の人的資本が損なわれるリスクが顕在化している。さらに 2025年を通じて、米国の政権交代や中東情勢の緊迫化など、地政学的リスクの高まりが企業活動に直接的な影響を及ぼす場面が増えた。突発的な政策変更や退避勧告など、予測困難な事象に対して企業は即応性の高い危機管理体制を求められている。今回、このような背景のもと、アノー氏が来日し、ラウンドテーブルが開かれた。

インターナショナルSOSグループは日本では大手企業はじめ約350の企業にサービスを提供。世界においては9000以上の企業をサポートしている。例えば、駐在先で事故が起きた時にどの従業員が危険に晒されているかなど瞬時にわかるよう動いたり、携帯電話のアプリによって何かあった時に従業員の位置をすぐに知らせるようなアシスタントをしている。

世界の企業を例に挙げてみるとインターナショナルSOSグループの顧客にはあの有名なウォルト・ディズニー・カンパニーがある。アメリカ・カリフォルニアで山火事があった時に、交通網が遮断されて移動できない従業員に宿や食事などの確保、安全面のサポート含めて速やかに対処した事例なども見られる。

また、別の事例ではイスラエルでの戦争の際は顧客の目となって代わりに現地の調査を進め、出張の差し止めをするべきか、駐在員を退去させるべきかなどの判断のための情報を提供している。もし危険な状況のため移動が必要な場合は移動する際に陸路の安全面の確認や乳幼児がいる家庭や持病がある従業員にとっての退避先の医療機関のサポートまでも行う。このように怪我や病気などの健康面だけではなく、安全面の調査や情報提供など細やかなサポートをしているのだ。

インターナショナルSOSグループのミッションは企業がいかなる状況の時も事業を大きく停滞させず集中できるようにサポートすること。例えば、インドネシアで鉱山開発を遂行していたアメリカ企業がコロナ禍で従業員もコロナにかかって働けないなど生産性が落ちてしまった。この時もインターナショナルSOSグループが調査やテストを行い、いかに生産性を上げるかを考えてサポートした。

このような細やかなサービスが提供できるのは、インターナショナルSOSグループに医療の専門家、セキュリティの専門家、移動などに関わるロジスティクスの専門家が在籍し、連携を取って対応しているためである。

日本においては人の危機管理は人事が中心。世界では総務や人事など他部署の連携が日本よりもしっかりしてるが、日本はその部分が少し足りない。日本の企業がさらに発展するには、部門間をまたいで、しっかり連携が取れるクロスファンクショナルなリスクマネージメントにアプローチしていくのが大切とアノー氏は話す。

現在、様々な災害や問題が起こる中で地政学的リスクは世界中のCEOに取って脅威である。これは日本も同じだ。そのため、今後、インターナショナル SOS ジャパン株式会社の事業規模は4年で約2倍になると予測。大手企業だけではなく、中小企業や留学生なども多いグローバル組織の一つでもある大学などにもサービスが提供できると考えている。

パンデミックや戦争、災害など何が起こるかわからない世の中だからこそ、企業や大学も世界規模で危機管理ができるようになっていることが大切。また、その対策が経済力の活力にもつながると今回のラウンドテーブルで知ることができた。

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