【ライヴレポ】これは、二ノ宮ゆいの歴史の新たな始まり──ワンマン・ライブ〈未明〉
これは、二ノ宮ゆいの歴史の新たな始まりである。
2025年3月28日。渋谷チェルシーホテルにて、声優・アーティストとして活躍する、二ノ宮ゆいのワンマン・ライブ〈未明〉が開催された。さまざまなアニメやゲームなどの作品に出演し、「
ピアノの旋律が印象的なSEが響き、二ノ宮がステージへ現れると、万雷の拍手で迎えられる。ライヴの幕開けを告げたのは、ポエトリーリーディングのようなセリフが印象的な“ヒロイン”。1曲目からハードなロックサウンドを届けると、オーディエンスを巻き込んで掛け声が飛び交っていく。ライブはスタイリッシュなサウンドが魅力的な“Fixer”、“主役のあの娘は友達”へと続き、力強くもキュートなヴォーカルを響かせた。
続いてのブロックは、二ノ宮の楽曲のなかでも、ダークな雰囲気を放つゾーンへ。ジャジーな“メロディー”、トリッキーな展開が印象的な“picture frame”、そして“呪いを背負って生きたいよ。”の3曲を立て続けに。こちらはチェルシーホテルという独特の雰囲気の会場に合わせた選曲とのこと。まるで楽曲を「演じる」かのように、さまざまな歌声を使い分け、オーディエンスを魅了していた。ライヴはそこから「音を楽しんでいく」ブロックへと突入する。「ジャンプしますよ!」と煽ってはじまった“No attention”で、フロアを飛び跳ねさせると、会場のヴォルテージは最高潮に達していく。続く“サイセンタン・コンフュージョン”では、大きなスタジアムの応援席のような声が客席から響いた。二ノ宮はさらに、BPMの速い“みっともない私なんて”を披露。ステージとフロアで生み出す熱い熱い空気が、渋谷チェルシーホテルに充満していた。
ライヴのヴォルテージをMAXまで引き上げたところで、二ノ宮は「大好きなアーティストさんの曲です」と、さユりの“花の塔”をカバー。リスペクトを込めた真摯なヴォーカルにオーディエンスたちも一気に惹き込まれていく。二ノ宮は、以前、イベント出演をかけた予選でさユりの“航海の唄”を歌ったことがあり、自分にとっても大切なアーティストであるとのこと。歌というものは、こうやって歌い継ぐことで、縁が紡がれていくのだと思った。
ここでステージに置かれたピアノに注目が集まるなか、スペシャルゲストとしてfhánaのメンバーである佐藤純一がステージへ。会場が、大きなざわつきと歓迎ムードに包まれていた。ちなみに佐藤は今回のライヴにおいて、サウンドの調整とマニピュレーターなども担当していたとのこと。そんな裏話も披露しつつ、ここから二ノ宮ゆいfeat.佐藤純一で、RADWIMPSの“愛にできることはまだあるかい?”を熱唱。音数が少ないからこそ、二ノ宮の歌唱力の高さが際立つパフォーマンスだった。
二ノ宮と佐藤は、二ノ宮のアーティストデビューのことからの知り合い。佐藤は、二ノ宮の資料に「闇系」や「陰キャ」といったイメージのことが書かれていて、会う前から「どんな人なんだろう?」と思っていたとのこと。しかし実際に会ってみると、「すごく良い歌声だった」と当時のことを回想した。ふたりは続いて、デビュー・アルバム『愛とか感情』に収録されている、佐藤提供の楽曲“光なくても”を披露。佐藤が奏でる美しいピアノの旋律に、二ノ宮の温かい歌声が重なり合い、極上の時間が流れていた。
佐藤がここでステージを後にすると、ライヴは一気にクライマックスへと向かう。「渋谷といえば?」という煽りから“わたしを離さないで”を力強く歌うと、バッキバキのベースのスラップが光る“運命論”へと展開。さらにキュートさと力強いヴォーカルが耳を支配する、テレビアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season』エンディングテーマ“今世大革命”、そして、ディストーションの効いたギターとタイトな譜割りが特徴的な“Dark seeks light”(テレビアニメ『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』主題歌)へと繋ぎ、再びオーディエンスを熱狂の渦に巻き込んだ。
終盤のMCでは、「なんだかんだで時間があっという間に過ぎて、気づけばもう3月末。この前まで『1月が終わらない!』って思ってたのに、もう4月目前ですね」と、時間の流れの早さを実感しながらも、年度末の忙しさに触れた二ノ宮。ちなみに確定申告が終わったことを告げると、客席からは謎の大歓声が上がっていた。
二ノ宮はここでYouTubeチャンネルを開設することを発表。そんな中での大きな発表に、ファンからは驚きと喜びの声が上がった。さらに、第一弾の投稿として「歌ってみた」動画を公開することも明かし、その第一弾の楽曲がこのライヴで披露したさユりの“花の塔”であることを発表。「チャンネル登録、高評価、コメントがとても大切らしいので、ぜひみんなよろしくお願いします!」と、ファンに向けて積極的な応援を呼びかけた。
二ノ宮は最後に“愛とか感情”を熱唱。「本当に今日は来てくれてありがとうございました! みんなのおかげで楽しい時間を過ごせました」と感謝を述べ、ライヴは大盛況のうちに幕を閉じた。二ノ宮ゆいの新たな挑戦が、これからどのように広がっていくのか。その夜明けの瞬間を、じっくりと見届けたいと思った
取材&文:ニシダケン
撮影 : “SUGI” Yuya Sugiura
フォトギャラリー
フォトギャラリーはこちらからご覧いただけます
ライヴ情報
ワンマン・ライブ〈未明〉
2025年3月28日 渋谷チェルシーホテル
セットリスト
1ヒロイン
2Fixer
3主役のあの娘は友達
4メロディー
5picture frame
6呪いを背負って生きたいよ。
7No attention
8サイセンタン・コンフュージョン
9みっともない私なんて
10花の塔(さユり カバー)
11愛にできることはまだあるかい(RADWIPS カバー) ※佐藤純一ゲスト参加
12光なくても ※佐藤純一ゲスト参加
13わたしを離さないで
14運命論
15今世大革命
16Dark seeks light
17愛とか感情

- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。