【ライヴレポ】電音部、第2部完!!そして物語は新たな局面へ──〈電音部 4th LIVE – MUSIC FOR LIBERTY-〉
2025年3月8日〜9日の2日間にかけて、バンダイナムコエンターテインメントが仕掛ける本格的なダンスミュージックを中心とした、音楽原作のキャラクタープロジェクト〈
アイドル感溢れる〈IDOL FORCE HARMONY〉、バッキバキでハードスタイルな〈–FORTRESS OF CHAOS〉、DJプレイで盛り上がる〈電魂祭〉と、異なるコンセプトの公演を2日間に分けて開催してきた〈電音部 4th LIVE〉。そのトリを飾るのは、「アキバエリア」「ハラジュクエリア」「アザブエリア」「シブヤエリア」、そして「カブキエリア」の5つのエリアのキャストが出演する、〈MUSIC FOR LIBERTY〉と題された公演だ。
事前に公開されていた公演イメージには、「電音部ストーリーを知らなくても楽しめるLIVE!※ただ…電音部ノベルを読んでいる人には分かる何かが起きるかもしれません。」という記載があり、「もしかしてストーリーになにか変化があるのでは?」と、会場に集まった電音部ファンは期待に胸を膨らませていた。
定刻を迎えると、心情風景を映したような雨音が鳴る。そこから幻想的な雰囲気を醸し出すコーラスが響くなか、赤いレーザー光線が輝き、壮大なダークな気配が会場を覆い尽くす。これから一体どんなステージが始まるのか、そんな高揚感が最高潮に達したとき、ステージに立っていたのは、「アザブエリア」灰島銀華役の澁谷梓希だった。澁谷は2023年12月以降、声優活動の無期限休止を発表しており、今年1月に活動を再開。ファンの前で歌唱をするのは復帰後初だったこともあり、会場は大きなどよめきと驚きの声が響いた。澁谷は 劇中の銀華の空白の時間を表現するかのように圧巻の“C+”を熱唱。銀世界のようなペンライトの輝きに包まれるなか、〈MUSIC FOR LIBERTY〉は温かな空気で幕を開けた。
と、ここでカブキのオリジンを表現するかのような、「カブキエリア」のりむる役のをとは、安倍=シャクジ=摩耶役のSONOTA、大神纏役の吉田凜音がひとりずつステージに上がり、ソロ曲を立て続けに。2023年7月に開催された電音部のナンバリングLIVEである〈電音部 3rd LIVE -SOUL EVOLUTION-〉では、まだ新エリアとして存在していた「カブキエリア」。今回の〈電音部 4th LIVE〉においてはしっかり本編にも絡んでおり、そのヴィランとしての風格を全開にしていた。
「カブキエリア」のアグレッシヴな猛攻撃のあとで登場したのは、「シブヤエリア」鳳凰火凛役の健屋花那。ここでGigaが手がけたキラー・チューン“CHAMPION GIRL”を歌い上げるかと思いきや、なんと途中から先ほど登場した大神纏役の吉田凜音が乱入。同一のトラックに“神パラサイト”のリリックを載せるという、リアルタイムマッシュアップを展開。その姿は、まさに「違法DJ」。まるでバトルでもしかけているかのような圧巻のパフォーマンスで、序盤のハイライトを作り出した。
ライヴは、次のブロックへ。続いてステージに現れたのは、「ハラジュクエリア」より水上雛役の大森日雅と犬吠埼紫杏役の長谷川玲奈。ふたりはYunomi謹製の“Full Moon”を、大きな満月を背景にエモーショナルに熱唱した。続く、「アキバエリア」東雲和音役の天音みほと「シブヤエリア」瀬戸海月役のシスター・クレアは“Holy Moly”で、エリアを超えた共演を果たす。そして「アザブエリア」からは、黒鉄たま役の秋奈と白金煌役の小宮有紗が登場し“探す獣”をパフォーマンス。強力なシンセサウンドの中に激しい暴れ回る低音サウンドの中に煌びやかなふたりのヴォーカルが鳴る、まさにアザブらしいステージングだった。
デュオブロックを終えると、再びソロ曲へ。物語が動いていくように小宮がダンサーを引き連れて“0:00”で魅了すると、「アキバエリア」日高零奈役の蔀祐佳が、リルネードをはじめ様々なアイドル楽曲を手がけているヤマモトショウが作り上げた“どうせ”をパフォーマンス。すると今度は大きな時計をバックに、シスター・クレアが“月読のダンス”を歌い上げ、しっとりとした空気感を演出した。
次にステージに現れたのは、美々兎役の小坂井祐莉絵。彼女は“teardrop moonlight mix”をパフォーマンス。こちらは序盤は切なく歌うのだが、途中から暗闇から復活した美々兎の心情へと移り変わっていく。ひとつのセクションのなかで、真反対の感情の動きを表現した小坂井の演技は本当に素晴らしかった。彼女は最後は全てが吹っ切れたような、笑顔を見せて、覚悟を決めたように「よしっ!」と叫びステージを後にした。
続いて登場した「アキバエリア」の3人が新曲“Brighter Starlight”を初披露すると、今度は「ハラジュクエリア」がファンシーでカワイイな衣装とは裏腹に、凶悪なブレイクと刺激的なサウンドが印象的な“Infinite Colour”を叩き込む。さらに黒いマントを羽織った「アザブエリア」の秋奈と小宮は、“Resist”を美しいハーモニーで歌唱。ブレイクでは派手なシンセサウンドが会場に響いた。
ライヴはさらに「この手で取り戻してみせます!」という小宮のセリフから、「アザブエリア」の“MY STAR”へとなだれ込む。するとステージには「アキバエリア」「ハラジュクエリア」「シブヤエリア」のメンバーが集結。マイクリレーで一体感を感じさせると、小宮は大きな旗を振りかざし、これからはじまる戦いへの高揚感を高めた。
と、ここで「大勢で迎えてくれるなんて、歓迎されてるみたいだね」と今度は「カブキエリア」の3人が迎え撃つ。灼熱のフロアをさらに熱くするように、クラップが響くなか、「アザブエリア」の楽曲を“Make Some Noise”をまるで自分たちの楽曲かのようにパフォーマンス。渾身のシャウトと、圧巻の煽りは、「この曲ってカブキエリアの楽曲だったか?」と錯覚させるほど。3人は、ヴィランとして最高の姿を見せつけ、ステージを去った。
圧巻のパフォーマンスを繰り広げたあとは、いよいよラストパートへ。ここからはなんとリリースもされていない新曲も怒涛のように披露されていた。まず最初に現れたのは、「シブヤエリア」から大賀ルキア役の星川サラ。彼女は、「食べちゃうぞー」というカワイイフレーズを連発しながらも、強力なベース・ミュージックを叩き込んだ。次に登場した、りむる役のをとはは「あなたたちー?りむるのステージがはじまるよー!?」を叫び、“ハカハカイプリンセス”をExtended Hakai Versionとしてパフォーマンス。とにかく速いBPMに乗せて、情報量の多いリリックを届けた。
続いて登場した「アザブエリア」黒鉄たま役の秋奈が披露したのは、これは電音部のなかでも特に人気の高い“いただきバベル”を手がけたケンモチヒデフミによる新曲“Cat’s Meow”。キレッキレのケンモチサウンドでミラーボールを回すと、次にステージには「アキバエリア」東雲和音役の天音みほがスタンバイ。天音は、ブルーの衣装に身を包んで“メタモルフォシス”を歌唱。終盤にヘビーな高速キックをフロアに投下し、オーディエンスを沸かせた。続いても「アキバエリア」から、今度は茅野ふたば役の堀越せなが“わたあたチェンジャー”という曲を披露。この曲はファンシーなイントロからキュートなステージングが始まったかと思わせておいて、中盤には野太い声でシャウトが鳴り響く、超展開のアイドルソング。まさに茅野ふたばの真骨頂とも言えるパフォーマンスだった。
と、ここで「ここをクラブに変えるのを手伝ってくれよ」とステージには「カブキエリア」より安倍=シャクジ=摩耶役のSONOTAが登場し、人気曲“狐憑キ”を妖しく歌い上げる。そして「頭良いフリやめな!」の合図でドロップに入ると、「もっと治安悪くしようぜー!ウチらにルールなんかねえんだよ!ルールはぶち壊すためにあるんだよ!」と“過度な”ジャンプを煽り、まるで狐でも憑いているかのような極悪ヴィランぶりで、後半戦のひとつのハイライトを作った。
ライヴは今度は「ハラジュクエリア」のターンへ。まずは犬吠埼紫杏役の長谷川玲奈が扇子を持ったダンス部とともに、初披露の“月下乱舞”艶やかに舞い踊ると、黒を基調とした衣装へとチェンジした水上雛役の大森日雅が“フューチャコアー”へと繋ぐ。会場が彼女たちの色に染まるなかで、ここで3人が再び集まり、「ハラジュク」きってのキラー・チューン“Hyper Bass”へ。脳に直接語りかけてくるようなウィスパー・ヴォイスに、内臓を届くくらいえげつないサブベースが会場を包み込み、まさに圧巻の盛り上がりを見せた。
「ハラジュクエリア」の3人がステージを去ると、「カブキエリア」が再び登場。「ハラジュクエリア」の空気をぶち壊すかのように“CRUSH”を叩き込み、とにかく攻撃をしかけた。〈電音部 4th LIVE〉はここからさらにクライマックスへ。ステージには、零奈役の蔀祐佳と、美々兎役の小坂井祐莉絵が登場し魂の共鳴をすると、Neko Hackerが手がけた“ルララルララ”でポジティヴな世界を作り出す。さらに曲間には「ハラジュク」および「アキバ」の残るふたりもステージへ。晴れやかな心を照らすような温かな光が包んだ。
そして、ステージに現れたのは「シブヤエリア」鳳凰火凛役の健屋花那。彼女はピアノのイントロから“My Place”を熱唱。全ての絆を繋ぐような歌声が、絶望を希望へと変える。そのカリスマ性を感じさせる佇まいは、まさに「王の帰還」という風格だった。この日のラストチューンは、全エリアが登場する楽曲“You Are The Light”。曲間には「カブキエリア」も登場し、笑顔で歌を紡ぐ。このステージには、1曲目に登場した灰島銀華役の澁谷梓希の姿もあり、〈MUSIC FOR LIBERTY〉は大団円を迎えた。
エンドロールが流れたあとのステージには、なんと「カブキエリア」のりむる役のをとはが登場。なにやらポエトリー的なセリフを話し、「この刻を、ずっと待ってたよ」という言葉とともに、スクリーンの現れたのは、“電音部第3部「MUSIC FOR LIBERTY」”の文字。突然の新章の幕開けに、オーディエンスは歓喜に沸いた。こうして第2部を終え、また新たな物語がはじまる〈電音部〉。どんな音楽の世界が我々を待っているのか、目が離せない。
取材・文:ニシダケン
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