子どもの免疫力、どう育てる? 専門家が「親の77%が知らない」対策を解説

「健康にアイデア」をコーポレートスローガンに掲げる明治は、新学期に向けて、小学校3年生以下の低年齢の子どもを育てる全国の父母1,000名と小児科医100名を対象に「子どもの感染と免疫力」に関する意識調査を実施。その結果、コロナ禍に子どもを持った親世代は「子どもの免疫力を育てたい」という想いが76%と強いにも関わらず、「育て方を知らない」が77%となり、想いに反して、免疫力を育てる具体的な方法を会得できていないという問題が明らかになりました。

■大半が子どもの発熱と家族への影響を経験

調査では、父母の81%が「直近1年で子どもが感染症による発熱」を経験し、そのうち74%が「子どもから家族に感染症がうつった」ことがあると判明。子どもが感染症にかかったことにより父母が受けた影響としては、「自身や配偶者の体調不良」(56%)、「突発的に仕事を休み、同僚に迷惑をかけたこと」(55%)が上位になりました。

また、回答した父母の1/3以上(37%)が「通常の生活に戻るまでに6日以上を要した」と答えており、1週間近く影響が続いてしまうことが多いようです。

子どもの感染により父母が負担に感じたこととしては、「子どもの付き添い・療養の負担」(45%)、「通院」(39%)、「家族内感染の予防策」(36%)が多く、「自身の体調管理」(34%)、「食事の準備」(32%)と続き、実際に負担に感じたエピソードとしては「親も体調不良になり、食事の用意などがしんどかった」「食べられるものを買いに行きたくても買いに行けずネットスーパーを利用した事により食費が上がった」など自身の不調や食事の準備に関する苦労が目立ちました。

■発酵食品と野菜の組み合わせが有効

父母が免疫力を育てるために子どもに積極的に食べさせているものは、1位:ヨーグルト(47%)、2位:納豆(36%)、3位:みそ汁(33%)が上位に。小児科医に対しても調査したところ、同じくそれらはポイントが高い食品でした。小児科医では、このほかに「緑黄色野菜」(48%)、「青魚」(31%)を挙げる割合が高くなりました。

この結果について、小児科医で子どもの腸内細菌叢や免疫系の発達に詳しい関西医科大学副学長・小児科学講座教授の金子一成先生は「免疫⼒を育てるため実践している対策として、親御さんからヨーグルトやみそ汁、納⾖が上位に挙がっており、医師の回答と共通して腸内環境の改善、腸管免疫の促進に有用な発酵食品をあげており、親御さんたちが医学的に正しい認識を持っていることが推測されます。さらに、医師が重視している緑黄色野菜や青魚などを含むバランスの良い食事が望まれます。発酵菌を含む発酵食品と食物繊維の豊富な野菜の組み合わせは、体にとって有用な細菌を摂るプロバイオティクスと、腸内細菌のエサとなる成分を摂るプレバイオティクスの組み合わせ(シンバイオティクス)であり、腸の免疫力を活性化させるのに有効です」と語りました。

コロナ禍以降に乳幼児を育てている父母にとっては「子どもの免疫力を育てたい」という想いが76%と強いにも関わらず、「育て方を知らない」が77%という結果でした。実際に、「乳幼児期に様々な病原体と戦うことで免疫力が育つことを知らない」が58%、「乳幼児期に風邪にかかることでアレルギー疾患にかかりにくくなることを知らない」が65%と、想いに反して、免疫力を育てる具体的な方法を会得できていないという実態が浮き彫りになりました。

■外遊びが免疫力を育てる?

小児科医向けの調査では、クリニック等で実際に感染症にかかった子どもを日々診察する一次医療機関に勤務する医師のうち、コロナ禍に乳幼児期を過ごした子どもの免疫力が弱い・育っていないと感じる医師は、半数近い42%にのぼりました。そのように感じている医師に対し、子どもの免疫力低下の原因を聞くと「コロナ禍での一般的感染症の未感染」81%、「過度な除菌」57%、「外遊びなど外出機会の減少」50%という回答でした

また、乳幼児期の衛生環境の改善と感染機会の減少など、病原体と触れる機会の減少がアレルギーの発症に関わるという、いわゆる「アレルギーの衛生仮説」について、61%の医師が認める結果となり、病原体を過度に遮断しないほうが良いと考える医師が多いことが示されました。小児科医に対する「子どもの免疫力は育てる(成熟させる)ことができるか」という質問では、「そう思う」「ややそう思う」という回答が合計67%になりました。

父母に「お子さまの免疫力を育てる(強化する)ため、実践していること」を尋ねると、「十分な睡眠を取らせる」(62%)、「規則正しい生活を送らせる」(57%)、「食事の栄養バランスに気を配る」(50%)が上位に。医師が薦める対策方法と乖離が大きかったのは、「適度な運動をさせる」(医師の回答より父母の回答が26%低い)、「予防接種(ワクチン)を積極的に受けさせる」(同・25%低い)となりました。

この結果を受けて、金子先生は「親御さんは皆さん、睡眠・規則正しい生活・食事の栄養バランスなどよく気を付けておられると思います。運動については、ぜひ親子での外遊びの機会をもっていただき、さまざまな異物や微生物に触れる機会を創っていただきたいと思います。幼いうちに免疫細胞に経験を積ませることを意識しましょう。また、ワクチン接種は予想よりも低い結果でした。定期接種のワクチンは、重症化しやすい感染症からお子さんを守る術として確立されていますので、漏れがないよう接種しましょう」と解説してくれました。

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