2025年マンション価格は新築・中古ともに高騰続く。要注意は金利よりも社会保険料の負担増【マンション市況】
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マンション価格の上昇は一体どこまで続くのでしょうか? 東京23区の新築マンションの平均価格は、2024年には6年ぶりに前年比がダウンしたものの、1億円を超えているのは変わらず、高嶺の花状態が続いています。この先の動向はどうなっていくのでしょうか。不動産市場、不動産投資を研究・専門分野とするニッセイ基礎研究所 金融研究部の渡邊布味子(わたなべ・ふみこ)さんに、2024年の振り返りと、2025年のマンション購入にあたって注視したい点について、お話をうかがいました。
マンション価格の上昇は今後も続きそう
渡邊さんによると、新築マンションの価格は2013年ごろから上昇の一途。その背景には、物価高騰や円安により鉄筋などの資材費が上がっていることに加え、働き方改革の影響などによる人手不足も大きいといいます。
「日本全体で人手が足りないというマクロ的な事情があるなかで、今は大阪・関西万博直前ということで、人材の取り合いが続いているような状況。大きなプロジェクトでも、スーパーゼネコンから断られてしまったという声も聞くほど。人手不足解消の目処は立っていません」
![ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子さん(写真提供/ニッセイ基礎研究所)](https://getnews.jp/aimg/wauto/extimage.php?21f272bd86dc35cb9913f000022ddb92/https%3A%2F%2Fsuumo.jp%2Fjournal%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2025%2F01%2F207525_sub01.jpg)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子さん(写真提供/ニッセイ基礎研究所)
資材費は、木材価格はコロナ禍の影響で高騰したウッドショックのころよりは下がってきているものの、コンクリートはまだ上がるなど予断を許さない状態です。マンション価格は、主に建築費と土地代で決まるもの。建築費はまだ下がる要素がないようです。
![不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年(1~12月)」](https://getnews.jp/aimg/wauto/extimage.php?22ee49263436731a3efd2c816d2f1ab8/https%3A%2F%2Fsuumo.jp%2Fjournal%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2025%2F01%2F207525_sub02.jpg)
( )内は前年同月比、△はマイナス、契約率のPはポイント
出典:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年(1~12月)」
「不動産経済研究所『首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年(1~12月)』によると、2024年の首都圏における新築マンションは、前年同月比で供給戸数が14.4%減少。東京23区で30%以上減少したことが要因で、1973年以降で最少戸数となりました。逆に千葉県では20%強と大幅にアップしています。
2025年の供給については、2.6万戸と前年比で13.0%増える見込み。ただし、2023年も2024年も実際は予測に比べて少ない供給戸数になりました」と渡邊さん。
ちなみに2024年の東京23区の平均価格が下がっていますが、渡邊さんによると、総事業費数十億円の高級マンションが一棟できれば平均値がぐんと引き上がるので、これを指標にするには難しいところ。一つ一つのエリア、物件を鑑みれば、価格が下がっているとはいえないといいます。
![(写真/PIXTA)](https://getnews.jp/aimg/wauto/extimage.php?a0d78aeec3de17bb41b7eabbc36d5409/https%3A%2F%2Fsuumo.jp%2Fjournal%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2025%2F01%2F207525_sub03.jpg)
(写真/PIXTA)
特に大型物件になると着工から販売まで4~5年ほどかかります。現在の建設費は約4年後の分譲価格に転嫁されることになり、しばらく新築マンションの価格上昇は続くと見られています。
ホテルとの用地取得競争で、好立地マンションは供給減&高騰の兆し
「マンション価格は全国的に上がっているのですが、とりわけプロジェクトが重なるエリアは価格の上昇が顕著です。首都圏のターミナル駅やプライム立地といわれるようなところは特にそうですね」と渡邊さんはいいます。
新築マンションの分譲価格は、土地の仕入れ価格に大きく左右されます。人気のエリアでは土地価格が高いため分譲価格も高いですが、継続的に人口流入が見込めれば、売却の際にも一定の価値をキープでき、地価が上がれば購入時よりも売却価格が上回ることも期待できますよね。
そうしたプライム立地以外で注目したいのは、どんなエリアでしょうか。
「古くから商業地域としてにぎわっていたものの、いわゆる住宅街ではなかった新宿の北側エリアや秋葉原、池袋など。複数路線を利用できる利便性のよさで、住宅地としての人気も高まってきています」と渡邊さん。
「大阪ならJR梅田駅の隣の福島駅。徒歩で梅田まで行くことができ、住宅地としてはここ5年くらいで特に評価が高まった印象。マンションも増えていますね」
![JR福島駅前の様子(写真/PIXTA)](https://getnews.jp/aimg/wauto/extimage.php?d9b6a9e7594c69adf2df6db7a55cfa28/https%3A%2F%2Fsuumo.jp%2Fjournal%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2025%2F01%2F207525_sub04.jpg)
JR福島駅前の様子(写真/PIXTA)
こうした背景には、大都市圏でマンションの分譲用地が減っていることが挙げられます。
「駅近エリアはインバウンド向けのホテル用地としても人気があり、土地価格が高騰しています。2024年はオーバーツーリズムも問題になりましたが、ホテルも足りない状況で、外資系ホテルも続々参入しています。用地取得に関してはマンション業者間の競争に加えて、特に駅近などの好立地はホテルとの競争も。理論上ではありますが、2025年以降、新築マンションはもっと高くなることが予想されます」(渡邊さん)
都心部ではコンパクトマンションも続々
こうした中、首都圏で新築マンションを購入しているのは、どんな人たちなのでしょう。渡邊さんによると、年収が安定しているパワーカップル、パワーファミリーだといいます。パワーカップルとは、ニッセイ基礎研究所の定義では「夫婦ともに年収700万円以上の世帯」。パワーファミリーとは日経ビジネスが定義した言葉で、「インフレ下でも消費意欲が衰えず、高い購買力が見込める世帯年収1,500万円以上の共働き家庭」のことを指します。
![(写真/PIXTA)](https://getnews.jp/aimg/wauto/extimage.php?a48d7be41d7a05ea7c5551146bdacc6e/https%3A%2F%2Fsuumo.jp%2Fjournal%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2025%2F01%2F207525_sub05.jpg)
(写真/PIXTA)
一方、2024年4月に不動産経済研究所が発表した「首都圏・近畿圏コンパクトマンション(専有面積30m2以上50m2未満)供給動向」によると、東京23区ではマンション発売戸数に占めるコンパクトマンションの割合が15.7%と、2000年以降で過去最高を記録しています。
特に都心7区(※)は地価が高いため、最多価格帯が3501万円~4000万円のコンパクトマンションは、新築マンション市場において値ごろ感があるといえます。夫婦二人暮らしやシニア世帯からの人気が高まっているようです。
※千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区、豊島区、文京区
広さも求めたい人は、郊外に目を向けてみましょう。2024年、新築マンションの供給数が増えたのは千葉県、神奈川県、東京市部エリア。企業の働き方改革の一環として定着したテレワークが今後も可能なのであれば、都心から離れるという妥協点もあります。マンションの生活利便性にこだわるのなら、宇都宮(栃木県)やつくば(茨城県)などの北関東エリアを選ぶ人も増えているとか。
「思い切って一戸建てにして、葉山(神奈川県)や軽井沢(長野県)といった2拠点生活者に人気のエリアを選ぶ人もいるようです」(渡邊さん)
中古マンション価格も、新築同様上昇傾向に
首都圏の中古マンション市場はどうでしょうか。
「東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、成約価格は2020年6月から2024年7月まで50カ月連続で前年同月比プラスを継続した後、上昇と下落を繰り返す一進一退の動きとなっています。その一方で、2024年12月の成約価格は4,935万円と、前年同月比+3.2%と上昇しています」と渡邊さん。
![(写真/PIXTA)](https://getnews.jp/aimg/wauto/extimage.php?3dbb8a28b369c7d4cd4605c6ff389b9b/https%3A%2F%2Fsuumo.jp%2Fjournal%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2025%2F01%2F207525_sub06.jpg)
(写真/PIXTA)
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金利よりも、負担増が予想される社会保険料に目を向けて
最後に、2025年にマンション購入を検討している人に向けて、アドバイスをうかがいました。
「これから日銀が金利を上げていきますが、住宅ローンに対しては大きなインパクトはなく、借入金利もそこまで上がらないのではないかと思います。それよりも考慮したいのは、社会保険料。15年後の2040年には、現在の1.4倍になるともいわれています。ローンは年収計算で借りるものですが、実際の手取りは税金と社会保険料が引かれるので、これからさらなる負担が考えられます。『本当にこのマンション価格、このローンを払うべきか』、一度冷静に考えてみる必要があるでしょう」
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(写真/PIXTA)
確かに、長期間ローンを組む中で、社会保険料の負担が増えると、生活を圧迫しかねません。せっかく憧れのマンションを手に入れたのに、あまりにもギリギリの生活で余暇や趣味を楽しむ余裕がなくなってしまうのも本末転倒です。マンションに求める価値を見つめ直し、長期的な目線で見て、無理のない返済計画を立てることが重要といえそうです。
●取材協力
ニッセイ基礎研究所
金融研究部 准主任研究員
渡邊 布味子(わたなべ・ふみこ)さん
東海銀行(現三菱UFJ銀行)、総合不動産会社を経て、2018年よりニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員。
前職では不動産担保融資、マンションや商業施設などの建築開発、オペレーショナルアセット運用など、不動産に関わるさまざまな業務を担当し、現在は不動産市場、不動産投資に関する調査分析を行っている。
不動産鑑定士、宅地建物取引士、不動産証券化協会認定マスター、日本証券アナリスト協会検定会員の資格を持つ。
●関連サイト
首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024 年のまとめ
「首都圏・近畿圏コンパクトマンション(専有面積30m2以上50m2未満)供給動向」
![](https://px1img.getnews.jp/img/archives/2015/05/2b4cad7383fa51b89f1f0ca19b235383.png)
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