【石川県珠洲市・輪島市・能登町】能登半島地震の被災者の憩いの場となる、「能登みんなの家」プロジェクトに注目
HOME-FOR-ALLは、能登半島地震の被災地である石川県珠洲市・輪島市・能登町の3市町において、復興を見据えた持続可能な「憩いの場」となる計6棟を建設する「能登みんなの家」プロジェクトの計画を進めている。
「みんなの家」について
「みんなの家」は、2011年の東日本大震災を受けてはじまったプロジェクト。被災地で家を失った人々のために、建築家と住民が対話を重ね、人々が集まり、ともに居心地よく過ごせる、もうひとつの家を目指してつくられた。
その活動は自治体や全国の企業、団体の支援によって広がり、11月現在東北では16棟、地震や水害に見舞われた熊本では、規格型を含む約130棟以上が建設されている。
被災者の憩いの場となる「能登みんなの家」
1月に発生した能登半島地震は、奥能登を中心とする地域に甚大な被害をもたらした。10か月以上が経過し、復旧は段階的に進んでいるものの、9月の豪雨災害で大きな被害を受け、さらに時間を要す見込みだという。
そのような状況で、インフラに頼らず自らの力で復旧を行い日常生活を再開した人がいたり、廃材を利用した薪で銭湯を再開した若者がいたり、自宅の一角で仮設風呂を提供する住民もいたようだ。ある集落では、自主的に復興ビジョンを協議していたとのこと。
HOME-FOR-ALLは、地元の人々の力と想いを手がかりとして、被災者の憩いの場になるとともに、被災者の将来に寄り添う「能登みんなの家」プロジェクトをスタートした。
「狼煙のみんなの家」の工事がまもなく着工予定
11月現在、珠洲市・輪島市・能登町で設計者と運営者が一体となり、「狼煙のみんなの家」「鉢ヶ崎のみんなの家」「大谷のみんなの家」「飯田のみんなの家」「深見のみんなの家」「鵜川 みんなの番屋」の計6棟の計画が進められている。
8月から基本設計、実施設計、運営法人設立準備を開始。今回、奥能登日置らいが運営する「狼煙のみんなの家」が、日本財団の「みんなの憩いの場プロジェクト」に採択され、工事がまもなく着工する見込みだ。
ほか5棟についても同様に申請が進められており、採択されれば2026年頃までのオープンが目標になるという。また、2025年4月からは、運営準備やワークショップが実施される予定だ。
計6棟のそれぞれの特色については、下記の「能登みんなの家」詳細ページをチェックしよう。
「能登みんなの家」3つの共通指針
「能登みんなの家」の設計にあたっては、能登にふさわしい「みんなの家」のかたちとして、大きく3つの共通の指針を掲げている。
1つ目は、「地元の人の想いをかたちにする」こと。「みんなの家」を運営するのは、自身も被災者である有志の人々が集う団体だ。今なお日常生活すらままならない状況のなかで、能登の未来を見据えた活動をはじめている。
個性ある運営者のビジョン、例えば馬と触れ合う場、漁業団体の活動の場、公園のようなまちづくり、囲炉裏やかまどのある食堂、大きなキッチン、風呂、コワーキングスペースなどのビジョンを設計に反映。そうすることで、その地域で中長期にわたって活用され、地元の人々の手で成長させていけるような柔軟な「みんなの家」を目指しているという。
2つ目は、「持続可能な自立した建築にする」こと。豊かな自然環境のなかに集落が点在する能登半島では、コンポストトイレや太陽光発電、井戸水の活用、薪ストーブ・薪風呂といった薪の活用、瓦による環境負荷低減など、震災以前よりメガインフラに依存しない自給自足生活の土壌がある。
能登における「みんなの家」は、災害に強く、自然環境を味方につけるようなオフグリッドな施設計画とし、その価値を発信する場になることを目指しているという。また、その地域独自のなりわいを担う拠点にもなることで、自立した運営体制をつくる考えだ。
3つ目は、「能登の文化を未来に継承する」こと。能登では、救出した能登瓦の再利用、下見板貼り、番屋の保存活用、里山の食文化の継承など、そこで育まれてきた特色ある文化があり、地元の人々の多くはそれに誇りをもっているという。
被災によって建物は壊れ、産業も存続の危機に瀕しているが、「みんなの家」はそうした文化を後々に伝えていく場を目指している。
建物に用いる材料の選定や、既存施設や地域活動との連携によって、個性豊かな「みんなの家」をつくることで、建物の意匠や用いる素材、既存の施設の利用や連携、運営に反映させ、個性豊かな「みんな」の家を目指す考えだ。
能登の被災者の将来に寄り添う、「能登みんなの家」プロジェクトの今後の取り組みに注目だ。
「能登みんなの家」詳細:https://www.home-for-all.org/blog/2024/11/18
(yukari)
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