2024年の大谷翔平選手は、あまりにも驚異的すぎた。2年連続、さらにメジャーリーグ史上4人目となるナショナルリーグとアメリカンリーグの両リーグでのホームラン王獲得。そして史上初のホームラン50本、50盗塁の「50-50」。安打数も200安打に迫る197本で、これまでの自己最多だった2022年160本を大幅に更新。打者に専念したとはいえ、すべての部門においてキャリアハイを達成し、異次元すぎる数字を残した。
しかし、そんな異次元の男でも歴代トップ10にすら入れていない記録がある。それは「メジャーシーズン塁打記録」。野球ファンでも意識することはあまりない「塁打」。シングルヒットを1塁打とし、ツーベースヒットだと2、スリーベースヒットだと3、ホームランだと4塁打を足していく(進んだベースの数を数える)という指標。例えば1試合でシングルヒット1本とホームラン1を打った場合、「5塁打」が加算されていく。
2024年の大谷選手の塁打数はリーグトップの411。内訳はシングルヒット98本、ツーベース38本、スリーベース7本、ホームラン54本。シーズン400塁打の達成は23年ぶり、メジャー史上19人目、30回目の達成で、長い球史の中でも一握りどころか“ひとつまみ”の超人たちしか成し遂げていない大記録だ。ただ、411塁打は2001年のバリー・ボンズと並んで歴代16位タイ。史上初の50-50を成し遂げても歴代トップ10には遠く及ばない(ちなみに2004年にシーズン最多安打となる262安打を放ったイチローさんの塁打数は320)。
歴代10位はルー・ゲーリック、ルイス・ゴンザレスの419塁打。このあたりだと“惜しかった”と思えるくらいの差だが、3位のルーゲーリック(1927年)は447塁打、2位ロジャース・ホーンズビー(1922年)450塁打、そして1位はベーブ・ルース(1921年)の457塁打と歴代最多を更新しようとすると50以上もの差がある。この年のベーブルースは504打数204安打、ホームラン59、ツーベースが44、スリーベースが16と打ちまくっている。
とんでもないアンタッチャブルレコードであることに間違いはないが、ホームランをあと5~6本、ツーベース10~11、スリーベースを5~6本打てば更新することができる。大谷選手ならこの数字は達成できるのではないかと、イチ野球ファンとしてどうしても期待してしまう。
【メジャーリーグシーズン塁打記録】
1位ベーブ・ルース 457(1921年)
2位ロジャース・ホーンズビー 450(1922年)
3位ルー・ゲーリック 447(1927年)
4位チャック・クライン 445(1930年)
5位ジミー・フォックス 438(1932年)
6位スタン・ミュージアル 429(1948年)
7位サミー・ソーサ 425(2001年)
8位ハック・ウィルソン 423(1930年)
9位チャック・クライン 420(1932年)
10位ルー・ゲーリック 419(1930年)
10位ルイス・ゴンザレス 419(2001年)
12位ジョー・ディマジオ 418(1937年)
13位ベーブ・ルース 417(1927年)
14位ベーブ・ハーマン 416(1930年)
14位サミー・ソーサ 416(1998年)
16位バリー・ボンズ 411(2001年)
16位大谷翔平 411(2024年)
18位ルー・ゲーリック 410(1931年)
19位ロジャース・ホーンズビー 409(1929年)
19位ルー・ゲーリック 409(1934年)
19位ラリー・ウォーカー 409(1997年)
(Written by 大井川鉄朗)
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