海のダイヤモンド「マツカサウオ」を捌いて食べてみた結果

みなさま、マツカサウオはご存じでしょうか? そう、魚界で一番硬く、そしてめちゃくちゃ美味しいと噂されるアイツです。

たまに行きつけの魚屋「海鮮市場マルモト」(神奈川県伊勢原市伊勢原1-3-37)の水槽で泳いでいるので、「いつか食べてみたいなー!!」とチャンスを伺っていました。

そんなある日、マルモトの水槽を見に行くと

マツカサウオいたーーーーーーーーーー!!!!!!

嬉しい!!!! さっそく購入し観察&調理していきたいと思います(`・ω・´)

マツカサウオ

キンメダイ目の魚で非常に硬い鎧のようなウロコに覆われており、松ぼっくりやパイナップルみたいな見た目をしております。

ゲームのモンスターみたいな造形でめちゃめちゃかわいい。

まん丸お目目の童顔で愛らしいお顔してます。

頭のウロコがまた分厚くて硬く、兜をかぶったようでカッコいいです。槍攻撃では倒せない感じですね。

全身バッキバキに硬くて基本的に可動部はないのですが、尻尾辺りは柔軟性があり、普通の魚のように動きます。

威嚇態勢に入ると背ビレと腹ビレが立つので自立します。

このヒレもめちゃくちゃ硬くて釘みたい。もし思いっきり握ったら余裕で手を貫通してくると思います。

▲威嚇状態のまま死なせてしまってごめんね……怖かったよね……

顎の先端には発光器があり、ここに住み着く発光バクテリアによって暗闇で光るらしいです。

外見のみならず機能面も凝ってて脱帽ですね。超オシャレ。

口はめちゃめちゃ開きます。下向きに広がるので、掃除機のように吸い上げて餌を食べるのでしょうか。

 

カッコよさと可愛らしさを兼ね備えたパーフェクトな容姿とは裏腹に

匂いはキツイです。端的に臭い。死んだ魚が浮いた生け簀の香水をまとっているかのような匂いがします。匂いを嗅がなくても生け簀臭が漂うので「くっせぇ」ってなります。

よくいえば海の香りをまとった魚ですね。

マツカサウオを捌く

見ていただいたとおり、マツカサウオは鎧のようなウロコに覆われバッキバキに硬く、普通の魚のようには捌けません。

なのでハサミを使って捌いていきます。

まずは背ビレをハサミで落とします。

肛門にハサミを入れてお腹側のウロコも切り開きます。

頭から腹ビレ辺りまで、側面にもハサミを入れます。

頭から包丁を落とし、背骨あたりまで切ります。

頭と胴体を持って引っ張り、頭ごと内臓を抜きます。

▲内臓が苦手な方のためにモザイクをかけております。

あとは手でベリベリベリっと皮をむしって剥がせばOKです。

白く透明な非常に美しい身をしています。

肝も立派で美味しそうです!

オーソドックスなマツカサウオの調理法

最も簡単でよくされる調理法はマツカサウオの丸焼きです。

何も処理せずに丸のまま火にかけ焼き上げます。

鋼のウロコも焼くと脆く柔らかくなるので、刺身にして不要になったマツカサウオのトゲやウロコも一緒に焼いておきます。焼いて柔らかくし割ってから捨てます。

焼いて脆くせずに硬いままゴミに出して、もしゴミ収集員さんにヒレやウロコが刺さりでもしたら大変ですからね!

ではマツカサウオの刺身と丸焼きが完成したので食べていきたいと思います(`・ω・´)!

マツカサウオの刺身

透き通る白い身に銀色の皮が映えてめちゃくちゃ綺麗ですねぇ。脂がキラキラ輝きまるで宝石のようです。

超美味しいとよく聞くので楽しみです! では頂きます(。・н・。)パクッ 

かっっっった!!!!!!!!!!!!!

新鮮だからか歯ごたえがすごいです。これは魚の歯ごたえじゃないぞ、獣の歯ごたえだ。

豚トロに似てますね。分厚い豚トロにかぶりついた時の食感だ、これは。

サクサクコリコリギチギチした歯ごたえで、噛むというよりも嚙みちぎるに近い食感のため、刺身ではなくサクのまま魚に噛り付いている気分になります。

硬すぎるので薄造りかイカのように糸造りにして食べたほうが良さそうです。

味のほうは……脂がのっているので甘味はあります。でも……うま味がない……

旨すぎる魚とよく聞くので期待してた分ズコーです……。

よく噛み締めると奥に繊細なうま味を感じる気もするけど……う~ん。

味がしない豚トロとかナタデココ食べてるみたいな感じです。

肝は濃厚なのにサッパリしていて美味しいです!! なので肝醤油で食べるのがおススメです。

歯ごたえも味のなさも新鮮なフグに似ているので、マツカサウオもフグ同様に何日か寝かせて熟成させたほうが美味しく食べられる魚なのかもしれないですね。

マツカサウオの丸焼き

何も手を加えずに焼き上げただけの1品です。

ビジュアルが良すぎて食べるのがもったいなくなりますね。玄関とかに飾っておきたい。でも食べます。

加熱によってバキバキだった殻は柔らかくなり、簡単に割れるようになりました。

まず驚くのは皮目にあるコラーゲンの量が凄まじく、殻の内側がネトネトです。

そのコラーゲンが加熱により溶け出して身に移るため、身にも少し粘り気があります。

焼くとうま味が100倍ぐらい濃くなり、またコラーゲンの粘りのおかげで舌に旨みが絡みついてきてとても美味しいです!!

上品でクセがなく、鯛とホッケを合わせたようなうま味豊かな白身魚です。さすがキンメダイ目。

硬いウロコのおかげで殻の中で蒸し焼きにされるので、身はしっとりジューシーでホクホク食感に仕上がってます! ウロコめっちゃいい仕事するやん。

新鮮な個体だったら刺身よりも丸焼きのほうが断然美味しいです!

評価

刺身は☆3(肝つきなら4)、丸焼きは☆4です。ビジュアルは☆5。

刺身はあんなに苦労したのに味がないし歩留まりも悪いので厳しめの評価になってしまいました(>人<;)

丸焼きはめちゃめちゃ楽なのに旨みたっぷりで美味しいので高評価です!

でも魚は時期によって味が全然違うので、今回がたまたま薄味だっただけかもしれません。

熟成させるとどれだけうま味は濃くなるのか? にも挑戦したいので、ぜひ次も入手したいお魚です!!!!

カッコよくて美味しい、しかも安い魚ですので、皆さまも見かけたらぜひ食べてみてください(・∀・)

※画像は全て筆者撮影

海鮮市場マルモト
https://www.0-to.com/[リンク]

(執筆者: ゆずくん)

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