「100億ドルの新たな寄付を生み出す」Virtuous、CRMアプローチのパーソナライズ化で非営利団体の寄付拡大を支援
米国アリゾナ州フェニックスを拠点に、非営利団体の寄付拡大を支援するプラットフォームを提供するVirtuousが今年9月、Susquehanna Growth Equity(SGE)が主導するシリーズCラウンドで1億ドルを調達したことを発表した。
Virtuousは、従来の画一的な資金調達方法とは異なり、寄付者一人ひとりの行動にもとづいて、個別化された最適なアプローチを行う「レスポンシブ・ファンドレイジング・ソフトウェア」を通じて、非営利団体と寄付者の信頼関係構築を支援している。
寄付者の好み・行動データにもとづいたアプローチ
Virtuousのプラットフォームは寄付者の管理、資金調達の自動化、マーケティング、ボランティアの動員など、非営利団体を幅広い領域からサポートしている。
なかでも特徴的なのが、非営利団体向けにカスタマイズされたCRMアプローチである。各寄付者の寄付履歴やソーシャルメディア・プロフィール、資産データ、さらにはWebアクティビティやEメールエンゲージメント、ボランティア活動などの情報にもとづき、高度な行動分析から次の最適なアクションを提案する。
既存顧客へのアプローチだけでなく、たとえば大口寄付者(一般的な寄付者よりも高い金額を寄付する人)のポートフォリオを追跡し、潜在的な寄付者を特定することも支援する。寄付者のことをより深く理解するためのデータ分析によって、各寄付者にパーソナライズされたアウトリーチを実現し、さらにそれらを自動化することで、より多くの寄付者との関係を深める機会を創出することにつなげている。
Virtuousのプラットフォームでは、寄付者それぞれにパーソナライズされた電子メールやSMSを自動で配信することが可能だ。寄付者の好みや行動データをもとに関連性の高いキャンペーンを適切なタイミングで送信し、応答率を高める。さらに寄付の謝礼や、寄付者の誕生日を祝うメッセージなどを送ることで、寄付者とのつながりを強化する。
Virtuousの公式サイトでは、プラットフォームを導入した団体の具体的な事例が紹介されている。ネブラスカ州オマハを拠点に病気と闘う子どもたちの福祉向上を支援するRMHCは、従来のCRMシステムの非効率性を課題視し、わずか4か月でVirtuousへの移行を完了。コスト減と効率化を実現したほか、寄付者全体とリピーターの両方の維持率を向上し、平均寄付額15%増加、リピーター維持率68%を達成したという。
1億ドル調達するも「“買収”されたわけではない」
Virtuousの創業者兼CEOであるGabe Cooper氏は同社のブログにて、今回のSGE主導による1億ドルの資金調達について触れている。
Cooper氏によると、テクノロジー系の非営利団体への投資が増え続けているという。これらの投資の一部は真のイノベーションをもたらし、その結果、非営利団体はソフトウェアオプションの品質を大幅に向上させることができた。しかし一方で、非営利団体コミュニティに悪影響を与えた投資もあり、場合によっては廃業や買収を強いられる事例もあった。
こうした背景を踏まえつつも、Cooper氏は今回の資金調達について「私たちは“買収”されたわけではありません。私たちの企業文化、製品ロードマップ、そしてリーダーシップ・チームを深く信じてくれる新しい少数株主が加わったのみです」とコメントしている。
AIツールの開発、統合機能の拡充などを計画
同社はプレスリリースで、SGEとのパートナーシップは“非営利団体が世界中で100億ドルの新たな寄付を生み出すことを支援する”というVirtuousの使命を後押しするものだと伝えている。Virtuousは今回調達した資金をもとに、今後AIツールの開発、統合機能の拡充、ユーザーのニーズにもとづくプラットフォームのアップグレードなどに取り組む方針を示している。AIの活用によって自然言語クエリ、Eメール/手紙のコピー作成、寄付者の行動予測などが可能になるとのことだ。
またサービス強化に加えて、Virtuousは顧客関連チームの拡大へも投資し、拡大する非営利団体ユーザーに比類のないサポートとプレイブックを提供する意向を見せている。
(文・五条むい)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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