コバンザメを食う

みなさま、「コバンザメは美味しい」とよく聞きませんか?

コバンザメは実はサメやエイなど軟骨魚類の仲間ではなく、スズキ科の硬骨魚類の仲間なのです。

コバンザメは「スギ」の近縁種で姿形もよく似ています。

スギは以前くら寿司で「うまスギるブランド魚」として、沖縄県産の「琉球スギ寿司」が限定販売されていました。

そんな美味しい魚と近縁種であるコバンザメは当然美味しいはず! 食べてみたい!

ということで行きつけの魚屋「海鮮市場マルモト」(神奈川県伊勢原市伊勢原1-3-37)の田中店長に入荷してもらいました!

コバンザメ

今回田中店長が入荷してくれたコバンザメは45cmほどの小型の子です。

大きい子も食べてみたいけど、一般的には70~80cm、中には1m以上にまで成長する子もいて、なかなか家庭のキッチンで捌くのは難しいので、丁度良いサイズで嬉しい(∩´∀`)∩ワーイ

この頭の小判(吸盤)をサメやクジラなど大型の生き物に貼り付けてくっつきます。

そして下あごが長く受け皿のようになっており、吸着先の生き物の餌のおこぼれをこの下あごでキャッチして食べます。

コバンザメは一般的に「他の生き物にくっついて楽に移動し、お相伴にも預かる怠惰でズルい生き物」というイメージがありますが、実は彼らも仕事をしているようです。

サメやクジラなどのエラや口、肛門に入り込み、寄生虫や腐敗した表皮組織を食べ、くっつき先の生き物の皮膚をきれいにすべくせっせとお掃除をしているようです。

また、コバンザメの幼魚はサンゴ礁域で掃除魚として生活することもあるそうです。

でも養殖場近くでは何もしなくてもご飯が流れてきて食べられるので、海底でゴロゴロ寝てるだけでぶくぶくに肥えた子たちや、ジンベエザメの口の中に大量に貼りついてる子たちを見ると、「やっぱり怠惰でズル賢いやんけ」と思ってしまいますw

コバンザメを捌く

うっかり仰向けに寝かせて小判がまな板につくと離れず厄介なので、先に小判を削ぐか頭を落とします。

皮の表面は粘液でヌメヌメしてしており、このヌメヌメは洗っても洗っても延々と出てきます。

スメルチェックをすると、洗っていないドブ化した水槽の中に入れられたゴムタイヤのような匂いがします。

まぁまぁ臭いけどちゃんと嗅がなければ分からない程度の臭さです。

ウロコは極めて細かくビッシリと生えているため、もはやゴワゴワした硬い皮のようにしか思えません。

こんな密集したウロコどうやって落とすんだろうか……今回は皮を食べる予定はないので、ウロコつきのまま捌いていきます。

お腹を開くと内臓が膜に包まれて収納されていました。この膜が身に強固にくっついており、剥がすのがちょっと大変でした(・ω・;)

コバンザメは信じられないぐらい内臓が臭い個体もいるみたいです。アイゴやニザダイ系の激くさギャンブルイベントが発生するタイプですね。

今回は特に内臓の臭みはなかったので当たり個体だったようです。

3枚におろすと綺麗な白身をしていました。

コバンザメは大トロのようにビッシリと脂のサシが入ってるのが特徴とも言われるのですが、今回は小型だからなのか夏だからなのか、特に脂はなさそうです。

そして皮を扱った後にまな板を洗わずに切り身を置いてしまったため、身にドブタイヤの匂いが移ってしまいました……。

匂いがつかないように、皮を扱った後はしっかりまな板を洗ってから切り身作業に移ったほうが良さそうです。

ドブタイヤ臭を消すために塩をふって5分ほど放置し、洗ってキッチンペーパーで包み、臭み水分を抜いてから調理をします。匂い、とれるといいなぁ……。

なお小判は漢方薬になるそうなので干してまた別で食べようと思います。

コバンザメを食べる

今回は小型だし歩留まりも悪く少量しかないため、刺身とソテーの2品だけでいきます!

コバンザメの刺身

透き通る白身に赤身が映えてめちゃくちゃ綺麗! これは美味しそうです!!

(。・н・。)パクッ まずは血合い骨が邪悪すぎる。口にめちゃくちゃ刺さる。

身にしっかり食い込んでいるので骨抜きを使ってもなかなか抜けません。ただでさえ可食部が少ないのでもったいないですが、血合い骨を落として柵取りするのが無難です。

味はハマチに似ていて、上品な旨みが口の中に広がります。うま味が豊かで白身魚として上位クラスに美味しい魚だと思います!

この個体は脂が非常に少ないのですが、それでも微かに甘味を感じます。

これは脂がノッっている個体だったらとんでもなく美味しいのではなかろうか?

食感は身が締まっていてサクサクしつつ、ちょっとモッチリした弾力もあり、歯ごたえも魅力的で美味しいです!

柑橘類を混ぜた醤油で食べると上品さにパンチと爽やかな香りがのっておススメです!

ただやっぱり後からちょっとゴム臭さが鼻を抜けます……一度皮の匂いがついたらもう落ちないのかも(; -y-)

コバンザメのソテー

ソウダガツオのアヒージョを作った時のオリーブオイルで焼き上げました。

なんか焼いたらすごい小さくなっちゃった……一番小さい醤油皿にすっぽり収まっちゃったよ……

これはかなり旨い!!!!!!!!

まず邪悪な血合い骨は火を入れたら気にならなくなりました! 匂いは飲み込む時にそこはかとなく微かに謎の石鹸臭を感じるけど、注意深く探さなければ気にならない程度です。

身はアジのように繊維を感じる歯ごたえでありながら、非常に柔らかく口の中でホロホロと溶けてしまいます。

加熱したらものすごい縮みはしたけど、全然全く硬くならない!

そしてうま味がめちゃくちゃ強い!!!!!! 熟成させまくったかのようにうま味が複雑で濃厚です!!!!!!!!

これは焼き魚系ではトップ3に入る美味しさかもしれない……! これでお腹いっぱいにしたい……!!

と感激したものの、冷静に考えるとオリーブオイルに浸みこんだソウダガツオのうま味が効いているだけなのでは……? という疑惑も湧いてきました。

だとしたらソウダガツオ万能すぎるよ。このオリーブオイルを使ったらどんな料理も激ウマになるよ!

結局コバンザメが美味しいのかソウダガツオが美味しいのかよく分からない……普通のサラダ油で焼けば良かったな……反省(ノ_< ;) !!

評価

星4 ☆☆☆☆

アイゴやニザダイのように激クサな個体もいるのでギャンブル性が高いものの、当たり個体は上品でうま味も強くとても美味しい魚です。

もし見つけたら即買いをおススメします。ぜひご賞味あれ(・∀・)

次は成魚で脂のノッた個体を食べてみたいです!

※画像は全て筆者撮影

海鮮市場マルモト
https://www.0-to.com/[リンク]

<参考>
くら寿司
https://www.kurasushi.co.jp/author/002729.html[リンク]
長崎大学
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/guidance/kouhou/publicity/file/c061-7.pdf[リンク]

(執筆者: ゆずくん)

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