Laura day romance、新曲「渚で会いましょう」Vo井上が監督として参加したMV公開
2024年三作目となる本作は、前作「透明 / リグレットベイビーズ」から約4ヶ月ぶりとなる楽曲。配信に合わせてMVも公開された。ボーカルの井上花月も監督として参加したこだわりの作品となっている。
また、各メンバーからのセルフライナーノーツと、石角由香氏によるライナーノーツも到着している。
セルフライナーノーツ※本人コメント
▼井上花月(ボーカル)
小さい頃から海にあまり縁がなく、家族との旅行に出かけてみても行先は山ばかりだった。10歳の頃に妹をおぶったまま深い川で溺れてしまったことで、自然の力への恐怖が増したことも関係しているかもしれない。
加えて海のない県で育ったこともあり、自分と海は今後も縁遠いものだと思っていたのに、渚で会いましょうが次のシングルに決まった。レコーディングの前にどういう想いを浮かべて歌うのがいいか、ちょっと考えたものの、杞憂だった。
出来上がったアレンジや歌詞を新しい気持ちで聴いてみると、本当の海の手触りはわからないのに、なぜだかわかる。心のなかに、湿り気を含んだ日本の海がぶわっと入り込んで、切なさだけ残した波は曲の終わりと同時に引いてゆく。イメージが絶えなかった。何回歌ってもいい曲だった。
あなたの記憶や匂いや味や手触りと混ざり合い、各々のための曲に育っていったら素敵なことだと思うし、それができる曲だと思う。聴いてもらうのが楽しみです。
▼鈴木迅(ギター)
いつまでも消えない記憶の中の風景やイメージがある。それは繰り返し夢に見たり、新たな経験とつながっていくことで僕の中にいっそう強く残り続けている。
18歳曲を作り始めた頃から、それらの心象世界は僕の曲にも顔を出したり出さなかったりした。押さえつける時もあったが、そんなことは自分と作品との距離を深めるだけだと作る中で学んできた。
そして僕の新たな挑戦として心の中にあるイメージにどこまでも忠実に書いたのが「渚で会いましょう」になる。
「渚で会いましょう」の物語は断片的だし、共感を誘うような言葉もない。
ただサウンドと歌詞とメロディの中に今までのどの曲よりも鮮烈なイメージがある。それは聞き手の物語と共鳴していく可能性であり、エネルギーだと思う。フルアルバムに向けてのバンドの新たな挑戦として、今回はそこに賭けたかった。
何を言っても聴いてもらわないと始まらない。僕らが大きな可能性を見出したこの曲をどうか聴いてください。
▼礒本雄太(ドラムス)
ローラズのドラマーとして新しい試み。
初めて曲に触れた時はフレーズの断片がそこらじゅうに散らばっていて、一つ一つが其々の良さを放っているものだから途方に暮れたような。
各パーツがパズルのように横並ぶマスロックっぽいドラムフレーズに水面を揺蕩うような大らかなリズムセクション。
緩急のついたフレーズやスリリングな演奏は、
実はコンポーザーの「こんな感じ」が一つ一つ積み上がったものでもあります。
ただひたすら直感のやり取り。
楽曲が完成に近づいていくにしたがって、
点と点だったフレーズは次第に色付き、大きく柔らかな景色となりました。
その時その時の直感を無造作にも美しく積み上げられた一曲だと思っています。
ライナーノーツ(テキスト:石角由香)
「究極は奇跡的に老若男女にわかってほしいんですよ。そこは諦めない」――ソングライターアレンジャーでもある鈴木迅が本作「渚で会いましょう」のインタビューで話してくれた中で、この曲のスタンスについて最も芯を食った発言がこれだと思う。イギリスのフォークミュージックやアメリカのオルタナカントリー、もちろん海外のインディポップと共振する部分もあるし、ルーツミュージックへの造詣も深い。そうしたバックグラウンドを現代日本のポップミュージックとして成立させうる主旋律をクリエイトできることも相まって、Laura day romanceはそれこそ奇跡的なバンドたりえている。それだけでも稀有なことなのに、本作ではさらに聴き手の感性を信じて一歩踏み込んだ楽曲に着手した印象が強いのだ。
2024年に入り、バンドは早々にシングル「Young life / brighter brighter」をリリース。特に「Young life」はすでに春フェスなどのライブで重要な位置を担う曲になっている。そして4月リリースの「透明 / リグレットベイビーズ」収録の「透明」は全国のFM局でパワープレイを獲得し、最近ローラズを聴き始めたリスナーにとっても親しみ深い曲だろう。2曲とも一筋縄では行かない曲ではあるものの、井上花月が歌うメロディの美しさや、風通しのいいアンサンブルが生み出すグルーヴに自然と乗っていけるポピュラリティを纏っている。今のローラズを明快に代表する2曲に続くのが今回の「渚で会いましょう」なのが面白い。以前も鈴木は前作に対するカウンターを打っていくことに曲作りのモチベーションがあるとは言っていたが、今回もその傾向に当てはまる。
なんと言ってもこの曲、いわゆるドラムパターンの基本のキックとスネア、みたいなビートではない。イントロに続いて歌が入ると同時に特定のリズムが刻まれることで安心して乗っていけるものだと思うが、この曲ではギターリフの方がむしろ雄弁だ。少し進むとマスロック的な刻みでキックとスネアが歌メロとは別軸で刻まれている。でも、ユニゾンする歌メロとギターリフがキャッチーで、しかも井上のボーカルは低めの地声とオクターブ上のハモリが交互に現れる構成。これがすごく気持ちをざわつかせるのだ。歌詞の意味は一旦おいておくとしても、人間が一人で歌ったり二人になったりする感覚とでも言っておこう。そしてスッとビートが抜け、ベースの生な聴き心地が自ずと耳をとらえるサビが際立つ。さらにそこに接続するサイケデリックな聴感のCセクション。もうなんだか眩暈がしそうだ。
と、主に曲の構造とアレンジにフォーカスして聴くと、ものすごくアバンギャルドな曲なように意識が働くけれど、歌メロはすごく強い。J-ポップ的な強さじゃなく、イメージはフレンチポップや、それを自然と消化してきたインディポップのニュアンス。まあ音そのものが美味しいギターリフとユニゾンしていることが歌メロをより印象的にしているのだけれど。と、同時にこんなに変則的なリズムでどうやって歌入れをしたのか?という素朴な疑問が浮上したのだが、井上には鈴木の弾き語りが、ドラムの礒本雄太にはトラックの断片が渡され、二段階にわたるレコーディングが行われたのだという。なるほどである。しかしそれは実現のための手法だ。鈴木は実験のための実験をしていない。
まるでオケと歌詞を切り離した聴き方になってしまったが、この謎を含んだリズムは物語や想いを平易に綴っていない歌詞とも共振して、リスナー各々の記憶や感情を予期しないところで呼び起こすはずだ。一行単位では感情移入できる歌詞が、次の一行ではもう違う文脈にあったりする。これは鈴木がこれまで書いてきた日常的な光景の中に毒や違和感を忍ばせる手法とも違う気がする。だけれども、この曲の中で、私は忘れかけていた誰かに会う直前の感覚を覚えた。そして矛盾するけれど、聴き終えた時、もう会えないのかもしれないとも思った。ただ、舞台は夏だ。こんな感想にあまり意味がないぐらい、おそらく聴き手一人ひとりの「渚で会いましょう」がある。同じ方向を見て手を挙げるようなライブをしていないローラズの真骨頂っぽい場面が、次のライブで見られそうでワクワクする。
リリース情報
Laura day romance
「渚で会いましょう」
OTOTOY配信中
ハイレゾ
https://ototoy.jp/_/default/p/2269732
ロスレス
https://ototoy.jp/_/default/p/2269639
ツアー情報
〈Laura day romance tour 2024 crash landing〉
2024年10月6日(日)北海道・札幌cube garden
2024年10月17日(木)愛知・名古屋THE BOTTOM LINE
2024年10月18日(金)大阪・BIGCAT
2024年10月25日(金)福岡・BEAT STATION
2024年11月3日(日)宮城・仙台darwin
2024年11月7日(木)東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)
出演:Laura day romance
チケット代:前売り 一般 ¥4,800 / U-22割 ¥3,800
※U-22割は2002年4月2日以後に生まれた方対象
チケット情報:
・プリセール:8/20(火)21:00~9/1(日)23:59 ※先着での受付です
・一般発売:9/7(土)10:00~
チケット受付はこちら:https://w.pia.jp/t/lauradayromance-tour24/
アーティスト情報
・オフィシャル・ウェブサイト
https://lauradayromance.fanpla.jp/
・X
https://twitter.com/lauradayromance
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