「RoboCup 2024 世界大会」@Home DSPLで準優勝!玉川大学チームの強さに迫る
2024年7月にオランダ・アイントホーフェンにて開催された、自律移動型ロボットによる競技会「RoboCup 2024 世界大会」の@Home DSPL(Domestic Standard Platform League)部門で準優勝に輝いたeR@sers(イレイサーズ)の4人の学生メンバーと、現地に同行した水地講師、堀講師にインタビューを実施した。
eR@sersは玉川大学工学部情報通信工学科の学生を中心に結成されているロボット開発チームである。「ロボットラボ」というロボットの研究・開発を目的として設けられたオープンスペースで、メンバーたちはホームサービスロボットの実現、課題解決を目指し、日夜活動している。ロボットラボには、人間の生活支援を目的とした様々なロボットだけでなく、実際に動かしながら開発やテストをするためのキッチンやリビングのソファー、棚なども設置されている。
「RoboCup 2024 世界大会」@Home DSPLでは、世界的にも有名な強豪大学をはじめ出場資格得た9チームが参加。日本からは九州工業大学、東京大学、そして玉川大学チームが参加し、eR@sersは国内唯一の私立大学のチームだ。eR@sersチームは、ステージ1では4位と出遅れたものの、ステージ2ではRestaurantのタスクでeR@sersが最も得点するなど順位を上げ、上位3チームによる決勝に進出した。デモンストレーション形式で技術力や自分たちの強みをアピールする決勝の結果、準優勝となった。
また合わせて、特別賞 “Soul of the Party”(バーティ会場のような様々な人がいる場面で活躍できるロボットに与えられる賞)も受賞した。
「大学院博士課程の学生や研究員を中心としたチームが多い中で、我々は学部生を主体としたチーム編成だったにもかかわらず、準優勝できたことには大きな価値があると思います。」と指導教員が語った。
また、「eR@sers」のメンバーは、少人数で大会に出場している。ロボカップでは、部屋の間取りやどの物体を利用するかなどの情報が競技直前になって知らされるため、現地で対応しなくてはならない作業が多くある。9つもある競技タスクをたった4人で準備するため、他のチームと比べて一人ひとりの負担がとても大きくなる。
「チームの人数が少ないのでその差を埋めるために、日頃から最先端の論文を読んで開発に活かしたりして、小人数のチームでも他のチームに負けないよう結果を出せるように意欲的に取り組んでいます。世界大会に出場することで世界トップレベルの技術に直接触れる機会があり、他チームの技術も参考にして自分たちの開発や研究に活かすこともできます。決勝戦でも高成績を獲得できるように、ひたすら手を動かして取り組ました」と学生の中心メンバーは語る。
国際大会に出場したことで「日本と違い、しっかり自分の主張をしないと自分が損をすることがあると気づけた」と話すメンバーたち。ロボットの動作確認をするスペースを待っていても順番が来ないため、積極的に交渉する必要があったり、海外のチームはジャッジ等に対して疑問があればはっきりと意見を主張していたりなど、日本人との違いを感じたという。はじめは、できなかったことなどの課題もあったが経験を通して克服したようだ。
「eR@sers」の強みについて聞くと「ロボットを自由に動かして実験できる環境が整っていること。スペースが広く、様々な家具やキッチンが常設されており、家に近い環境で常に本番を想定したロボットの開発や動作テストをできることです」と説明した。また、層の厚さにも定評があり、「学部一年生から大学院生までがロボットラボで活動しており、年々所属メンバーが入れ替わっていく中で、メンバーの経験が縦に長く受け継がれていることも大きな魅力だと思います。先輩にノウハウを教わることができ、先輩の背中を見て自分にもできるのではないかとモチベーションの維持や向上にもつながっています」と話した。チームでは先輩が主催する勉強会が定期的に開催されて、ロボットに関する知識を学生が主体的に学んでいる。また工学部のロボット研究者である教員も熱心に指導にあたり学生をサポートしている。
続いて、eR@sersに興味のある学生が勉強しておいた方が良いことがあるか問うと「プログラミングはいつでもできるし、ネットでも勉強できるので、しっかりと高校での勉強をしておくことが大切だと思います。ロボット開発や国際大会において数学や英語などは実際に使うことが多いからです」と教えてくれた。
最後に、メッセージを求めると「玉川大学のロボットラボには、能力を問わず好きなだけロボット開発に挑戦できる環境が整っています。大学というのは、授業ももちろん大事ですが、授業の空き時間に何を学ぶか、どれだけスキルを伸ばせるかも大事であり、そこに価値があると思います」とコメントした。
続けて、「ここのメンバーはその価値に気づいて、率先してロボットの開発研究に取り組んでいると感じます。本来なら卒業研究で研究室に入って気づくことが多いですが、入学後早い段階でその価値に気づいてチャレンジできているのではないでしょうか」と先生方もエールを送った。
○世界大会 出場メンバー
竹中 直哉、永田 陽也、望月 颯(工学部 情報通信工学科 3年)
坂巻 新(脳科学研究科 博士後期課程1年)
○関連情報:
「RoboCup 2024世界大会」@ホームリーグで玉川大学チームが2位に輝く!
https://www.tamagawa.jp/university/news/detail_23551.html
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