<ライブレポート>WANDS、演奏から感じた“バンドの前進”「5年間続けさせてもらったのは、みなさんの功績だと思います」

<ライブレポート>WANDS、演奏から感じた“バンドの前進”「5年間続けさせてもらったのは、みなさんの功績だと思います」

 WANDSが、7月8日に東京・東京ガーデンシアターで【WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~】を開催した。

 2024年、劇場版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』のテーマソングとして書き下ろした新曲「大胆」のシングルリリースや、『THE FIRST TAKE』で披露した「世界が終るまでは…」が話題を呼んでいるWANDS。本公演は、第5期として初となる東名阪ホールツアーで、6月25日の愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、7月2日の大阪・大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホールと本公演の3公演が開催された。“大胆”━危険を恐れず勇敢であることを表す“BOLD”というワードをタイトルに込めたWANDSが見せたライブとは。ここでは東京公演をレポートしていく。

 WANDSの楽曲がミックスされたSEと共に、多彩なライトが会場を照らす幕開け。お立ち台に柴崎浩(Gt.)が登場し、「We Will Never Give Up」のイントロをかき鳴らす。上原大史(Vo.)の歌声と、前回のツアー【WANDS Live Tour 2023 ~SHOUT OUT!~】に引き続きバンドメンバーに選ばれた二家本亮介(Ba.)と神田リョウ(Dr.)の音が歯切れよく共鳴していく。「やれるよな、東京!!」と上原は声を張り上げて、クールなスタートを迎え、軽快なギターリフから始まる「GET CHANCE GET GROW」へ突入していく。柴崎のギター(Ernie Ball Music Man John Petrucci JP6)の重厚感と上原の中音域の均衡が気持ち良い。そして<抜け出して>、<GET CHANCE GET GROW>などで披露された上原のロングビブラートは、やはり圧倒的な迫力を持っている。演奏後、しばらく続いた静寂から「David Bowieのように」を披露。現在のWANDSが秘めている何かが顕現され、どこか原曲とは違った雰囲気を醸し出しているように感じる。だが、ここではまだその形を読み取ることができずにいた。

 「こんばんは! 楽しんでますか!? WANDSです! 大史です!」「浩です!」と笑顔で挨拶すると、上原は「今日まで不安もありましたが、無事ファイナルを迎えることができて良かったです」と、暑さの中、足を運んでくれたオーディエンスに感謝を伝える。「そんなみなさんに共通しているのはこの“WANDSのライブを楽しみにしてきたこと”でしょ!」と勢いよく、裏のビートが楽曲にスパイスを与えている横ノリチューン「賞味期限切れ I love you」が披露された。

 WANDS第2期のセルフカバー「FLOWER」では、お立ち台に足を乗せ、膝に肘をつきながら気だるそうに歌う上原の姿が。そのまま途切れることなく「Secret Night ~It’s My Treat~」「空へ向かう木のように」へ。多種多様な歌い方を巧みに使いこなす上原と、そんなメロディーラインをカバーする柴崎が意気投合する様が、この5年間の賜物だと感じる。

 ツアータイトル“BOLD”のことに触れだした上原。「みなさんストレス溜まってますか? ストレス発散には声を出すのがいいみたいですよ! BOLDのように勇敢になってもらいましょう! 大人らしくなってもらいましょう!」と、徐々に会場のボルテージを上げていく。そして、ライブで盛り上がる楽曲として定番化している「SHOUT OUT!!」を披露。上原と柴崎は会場全体を見渡してオーディエンスを奮い立たせ、演奏が進むに連れて、オーディエンスの声が大きくなっていく。白熱する中、ベースとギターのダンサブルな最新曲「honey」では、自然と起こった手拍子が楽曲を惹き立てていく。<止まらない>と何度も上原が叫び、声色に合わせて、柴崎が感情の乗ったギターソロを繰り広げていった。

 中盤戦、「真っ赤なLip」「RAISE INSIGHT」とギアを上げていくWANDS。続く「Burning Free」では、柴崎のカッティングと神田のタムが会場を振動させる中、上原はステージに横たわって視点を天井へ。しかしパワフルな歌声はそのままに、「恒例のやついきますよ!」とオーディエンスに耳を傾かせると、「WANDSのライブは最高!」という歓声が返ってくる。

 「第5期始動してから、みんながちょっとずつWANDSいいねと言ってくれてね。どの時期から好きになったかそれぞれだと思いますが、みなさんありがとうございます」と開口一番に語る柴崎。ただただ感謝を伝えたい思いが強く伝わってきた。そして、「もっと強く抱きしめたなら」「時の扉」「愛を語るより口づけをかわそう」いった名曲をロック全開で畳み掛けていくWANDS。すると「みなさん、大切な人はいますか? 家族、恋人といった人たちは普段から身近にいて、大切と分かっていても気持ちを伝えるのが難しいと思います。でも『あなたのことが大切です』とうまく伝えられたらいいなと思って作りました」という上原の紹介から「愛を叫びたい」へ。<愛を叫びたい 愛 I love…>―――うまく伝えられない不器用なところも上原の良さであり、アウトロで目を閉じて下を向く姿が、もどかしさを体現しているようだった。

 ツアー初披露となる「大胆」をエネルギッシュに決め、ラストの「WONDER STORY」に進んでいく。「みなさんの人生が幸せなものになりますように」という願いに寄り添うような煌びやかな照明が、素敵な空間を生み出す。<あなたと出逢えたこの「命」愛して>とオーディエンスに手を伸ばして歌い終わると、秒針の音と共にステージを後にした。

 ツアーTシャツを着て再びステージに現れたWANDSは、「MILLION MILES AWAY」を披露。先ほどまでの空気感を引き継ぎながら、しっとり、優しく歌い上げていく。最後のMCでは、この5年のWANDSの歩みに対して、二家本は「進化の幅というか。高みに行っている気がする!」と大絶賛。神田も「ライブの後も反省会をやるのですが、仕事の付き合いとかではなく、バンド感があります」と、サポートという枠でなくチーム全体で音楽を追及していることが伺える場面も。「90年代、俺がWANDSいる頃って1回しかツアーやっていなくて。今回、第5期3回目のツアーは前回より前進している気持ちもあって」と柴崎も語る。「みなさんがいてくれたからこそです。活動最初はくじけそうなこともたくさんありました。だけど、スタッフやメンバーが励ましてくれて。そしてライブのみなさんの表情を見て、頑張ろうと思えました。だからWANDSに留まることができた。5年間続けさせてもらったのは、みなさんの功績だと思います」と胸中を告白する上原。その後披露された「カナリア鳴いた頃に」は、主人公がWANDSと捉えることもできたし、感情の起伏も歌声の強弱から読み取ることができた。ライブ序盤で感じた“何か”も、進化の片鱗だったと気付かされる。そんな上原と柴崎は肩を寄せ合って、時々目を合わせながら「世界が終るまでは…」でライブは締め括られた。

 今回のツアーは、WANDSにとって一つの節目だったのかもしれない。上原と柴崎が自由に演奏する姿から、第5期としての安定感をひしひしと感じることができた。一つの壁を乗り越えたWANDS第5期の6年目はどんな活動があるのか、期待したい。

Text by Tatsuya Tanami
Photo by Nagisa Yamaguchi

◎公演情報
【WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~】
2024年7月8日(月)東京・東京ガーデンシアター

◎放送情報
スペースシャワーTV『WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~』
放送時間:2024年8月26日(月)22:00~23:30

※記事初出時に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

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