Revo、Sound Horizonのオーケストラコンサート初日公演のオフィシャルレポート到着

Revo、Sound Horizonのオーケストラコンサート初日公演のオフィシャルレポート到着

 Revoが、6月29日および30日に【Revo’s Orchestra Concert】を東京・昭和女子大学人見記念講堂にて開催した。下記にて、同公演のオフィシャルレポートを掲載する。

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 6月29日、30日に【Revo’s Orchestra Concert】が開催された。

 本公演は、サウンドクリエイターのRevoが主宰するSound Horizonが、2024年にメジャーデビュー20周年を迎えることを記念したイベントの一つだ。ただ、Sound Horizonに限らずLinked Horizon名義の楽曲も含めて、Revoがこれまでに生み出してきた楽曲も、本人監修の元にオーケストレーションアレンジし、フルオーケストラによる完全生演奏でお送りする催しとなっている。演奏は東京フィルハーモニー交響楽団、指揮者は栗田博文が務めた。両者は数多くのクラシック音楽コンサートのみならず、『鬼滅の刃』オーケストラコンサートや【FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-】、『銀河鉄道999』シネマコンサートなど、現代音楽をオーケストレーションアレンジしたコンサートで数多くのファンを魅了してきた。

 Sound Horizonはその特異な音楽スタイルで知られるが、このオーケストラコンサートはRevoの作曲家としての才、エンターテイナーとしての矜持を感じさせる2夜でもあった。Revoが用意した、良質の音楽を楽しく味わえる時間について、まずは1日目となる6月29日の昼・夜公演を振り返る。

 【Revo’s Orchestra Concert】の公演は、二日間それぞれで昼夜2回ずつの計4公演が行われた。場所はその音響で定評のある昭和女子大学人見記念講堂。各公演はさらに2部構成となっており、1部は純粋なるオーケストラコンサートであり、オープニング楽曲はオーケストレーション向きな王道RPGを感じさせる楽曲「希望へ向う序曲」(『BRAVELY DEFAULT』)。だがそこからは、『Chronicle 2nd』といったインディーズ時代のアルバムなどの初期楽曲を経て、メジャーシーンで作り出してきた曲群へ移り変わり、その中でももいろクローバーZやアニメ『進撃の巨人』に提供した楽曲も演奏され、Revoが世に送り出していった時系列を感じられる流れに。

 MCでRevoは「一発屋にも歴史がある」と語ったが、事実、幻想的で神秘的な小曲が多かった初期に比べ、現代に近づくにつれて演奏時間は長く、クラシック楽曲のように一曲の中での起伏に富んだ構成へと楽曲は変貌していた。それでいてメロディのポップさは増していることにも気づかされ、作曲家Revoとしての進化と方向性を感じ取れるのもボーカルレスならではの妙味だ。

 無論、原曲ではボーカルが入っていたところをフルートやバイオリン、ハープなどさまざまな楽器で置き換えられ、そのアレンジも原曲を知っている者が聴くと思わず笑みがこぼれる巧みさ。知名度の高い曲でいえば、狂気のソプラノを雄大なホルンで表現という真逆のアプローチでありながらも変わらず威容な「暁の鎮魂歌」、ボーカルソロを各楽器にあてがう王道以外にも「ムーンライト伝説」のフロアタムを思い起こさせるカスタネットの三連符を交えた「MOON PRIDE」など、楽曲への愛情に満ちた遊び心は聴者に数限りない喜びを提供していく。

 遊び心の例を挙げれば、まず「暁光の唄」。曲の最後に「ムッティ ひかり あったかいね」という台詞から本を閉じる効果音が原曲に入っていたが、ステージ上にいる者が一斉に楽譜をめくり、その音で楽曲を締めた。しかも、指揮者と演奏者の楽譜にはその指示が書き込まれる入念さ。マウリシオ・カーゲルの「ティンパニとオーケストラのための協奏曲」は楽譜のラストに、パーカッショニストがティンパニに頭から突っ込む、と記載があることで有名だが、それを彷彿させる仕掛けだ。他にも、「神話-Μυθοs-」で鳥の囀りをバードコールで、「schwarzweis ~霧の向こうに繋がる世界~」で風の音をウインドマシーンで表現したが、両者共にクラシックコンサートでも使用されることがあり、耳を楽しませつつクラシックへの扉を開いてもいる。

 1部が終了し、指揮者とオーケストラの休憩時間を兼ねたトークコーナーでRevoは「ローラン」(=Sound Horizon愛好家)との細やかな交流を図ったあと、馴染みのあるボーカリストをゲストに迎え、かつRevoも加わって歌唱曲が演奏される2部へと突入する。

 29日昼公演のゲストはRIKKI。原曲では、RIKKIを含む4人の女性ボーカル&男性ボーカル一人で歌った「石畳の緋き悪魔」を、RIKKIとRevoが一人何役もこなして披露。Revoにいたってはファルセットと地声を瞬時に使い分ける妙技を見せた。同じく、原曲でRIKKIが歌唱した「11文字の伝言」では、当時から17年の歳月を経て母性に深みを増したボーカルで、交響楽団という最高に情緒を揺り動かす舞台で聴かせる。

 夜公演のゲストボーカルはFuki。数々の絶唱を見せてくれたが、曲中に「何故なの?」という台詞が入る「Star Dust」では、該当箇所で指揮者の栗田に向かって問いかける場面も。実はこれはRevoが指示したアドリブ。栗田は「それは私が知りたい。何故なの?」と巧みに返したが、ライブとは自由奔放さをはらむものというRevoのエンタテインメント精神に心打たれる。ラストには、競技用ピストルを使用して銃声を再現、原曲を知る観客の口角を上げもした。

 アンコールでも「オーケストラで歌ったことある人ー?」という会場への問いかけを前振りに、会場全体での合唱という機会を設ける心意気。終始変わらず、良質の音楽が耳をくすぐると同時に、楽曲内外に用意された仕掛けは緊張した聴き手の心を解きほぐした。栗田も、手のひらの色が変わるくらいに拍手を、と観客に感情を正直に表現しても良いと促したが、芸道の探求者であるRevoの意気を感じたものではなかったか。2公演のどこを切りとってもRevoというクリエイターの才知に感服させられる一日であった。

Text by 清水耕司(セブンデイズウォー)
Photo by 江隈麗志(C-LOVe CREATORS/YAT)、藤村聖那

◎公演情報
【Revo’s Orchestra Concert】
2024年6月29日(土)、30日(日)東京・昭和女子大学人見記念講堂

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