「ありきたりなアイデア」しか出ない人が知るべき常識の外に出る哲学的アプローチ

「ありきたりなアイデア」しか出ない人が知るべき常識の外に出る哲学的アプローチ

自分なりのアイデアを考えようと思っていても、最終的に出てくるのはどこかで聞いたことがあるようなものばかり、ということは多々ある。

「人とは違うアイデア」は「人とは違う着眼点」から生み出される。おもしろいアイデア、奇抜な発想、びっくりするような企画、周りが「おっ」と一目置くような発想をする人になるために「哲学」は一役買ってくれる。哲学とは、常識を超えて思考することであり、そのための思考法だからだ。

■偏見や常識にとらわれていた自分に気づく哲学的なアプローチ

『今までにない発想を生み出す アイデアの着眼点』(小川仁志著、フォレスト出版刊)では、哲学者・山口大学国際総合科学部教授の小川仁志氏が、イマヌエル・カントやエトムント・フッサールなど、小川氏が着眼点がユニークだと思う10人の哲学者の視点を紹介し、今までにないアイデアを生み出す方法を解説する。

哲学とは、物事に新たな意味を見出す部分にこそ意義がある。普通に捉えている何でもないものを、あえてその普通の枠を超えて異なると捉え方をしてみるのだ。哲学で思考するためには、3つのステップがある。

1.疑う

自分がその考える対象についてどう思っているのか、まず前提を確認する。そうして初めて、それ以外の見方をすることが可能になる。

2.視点を変える

人は自分の視点しか持ち合わせていないので、どうしても物事を一面的に捉える傾向がある。なので、できるだけさまざまな視点で捉えるようにする。

3.再構成する

自分の気づいていなかったような要素に着目して捉え直す。最後にそれを言語化する。

この一連のプロセスにおいて、どういう視点で捉えたいとか、どのようにまとめたいかというときに、どうしても無意識のうちに直観や感情、欲望といったものが、その判断を左右する。これによって哲学思考の結果は人それぞれとなる。こうして世界を新たな言葉で捉え直して、その新しい言葉を設計図として、世の中に新たな価値を生み出していくのだ。

欧米の企業では、かなり前から哲学者を雇っていたという。経営者たちは、さまざまな斬新な切り口を見出すきっかけを哲学者に期待してきたということだ。ビジネスパーソンが哲学を学ぶ理由は5つある。グローバル時代、お手本のない時代、AI時代、パンデミック時代、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字をとったVUCA時代だからだ。

本書を読むと、哲学がビジネスにも有効であることがわかる。人とは違う着眼点身につけ、斬新なアイデアを生み出すためにも、哲学のことをもっと理解してみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

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