【1kgで800万円!?】海外では超高額で取引されているのに日本人は知らずに捨ててしまっているアレ、教えます
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今回は日本ではあまり知られていないけど、実は海外で超高額取引されている例のアレをご紹介したいと思います。
魚肚(ユイトウ)
乾燥させた魚の浮き袋や胃袋を魚肚(ぎょと=ユイトウ)と言い、中国ではふかひれ、なまこ、あわびと並んで四大乾貨(ガンフォ)の1つとされています。※乾貨は乾物類を意味します。
中華圏では魚肚は健康増進、若返り効果のある漢方の薬膳として需要が高く珍重されています。
魚肚は主にチョウザメやニベ科の魚の浮き袋を乾燥させて作ります。大型でゼラチン質が多いものほど高値で取引されているそうです。
海のコカイン
ニベ科の魚の浮き袋は中華料理の超高級食材・漢方の原料として高額取引されており、過去にはニベ科大型魚のトトアバの浮き袋が1つ約100万円、カースーバン(Ca su vang)の浮き袋が1kg約660万~800万円の値をつけました。
中国で巨大オオニベが約870万円で取り引きされた事例もあります。
高く売れるので大型のニベ科の魚は乱獲されて生息数が少なくなり、トトアバなどは絶滅危惧種に指定されて漁が違法になっています。しかし、闇ルートでは密漁取引が横行しているため、浮き袋は「海のコカイン」と呼ばれるようになりました。
また、トトアバを密漁する際の違法な刺し網漁に小型のイルカ「コガシラネズミイルカ」がかかって混獲されてしまい、コガシラネズミイルカは急速に数を減らし、深刻な絶滅の危機に瀕しています。
このような二次被害も甚大です。
これほど珍重されているニベ科の浮き袋ですが、おそらく日本ではニベ科の魚は身だけをカマボコの原料に使われたり調理され、浮き袋の大半は破棄されていると思われます。
野食ハンターの茸本朗氏もおっしゃっていますが、小型のニベ科の魚の浮き袋はそこまで高値はつかないかもしれませんが、もし廃棄されるだけなのであれば、需要のある国に輸出できればいいのにと思います。
魚肚の作り方
さて今回はオオニベを入手できましたので、魚肚を作ってみたいと思います。
(オオニベの捌き方や食レポについての記事はコチラです)
まずはオオニベの浮き袋をハサミで開いてよく洗い、
汚れや血液を落とします。
そして塩分濃度10%の塩水に1時間ほど漬けた後、ラップをかけずに一晩冷蔵庫で乾燥させて水分を抜きます。
オオニベの浮き袋は脂が非常に多くてプルプルしてます!
冷蔵庫である程度乾燥させたら、
天日干しします(干物乾燥機かネットが欲しい今日この頃)。
干しているとゼラチン質のところがプルプルになり、脂がめちゃくちゃ出てきます!
匂いは酸化した油、もしくは、機械オイルを塗りたくったエンガワといった感じです。
浸み出た脂はサラサラしていて指につく分には水で簡単に落ちるのですが、床に浸みこむと油染みになって洗剤でもとれなくなるので、干す時は下に牛乳パックなどを敷いた方が良いです!
夜や雨の日は冷蔵庫にしまい、カチカチになるまで干したら完成です! 酸化しまくった油にまみれた干物のような匂いがします!
※プルプル部分は猫に泥棒猫されてしまいました。
魚肚の戻し方
中国での乾物の戻し方には油発(ヨウファー。油で揚げて戻す方法)と、水発(シュエイファー。冷水や熱湯につけて戻す方法)があります。
油発で戻すと揚げることで材料に気泡ができ、ソースやスープの味がよく染みこみ、食感はプリプリしつつもコシがあるものになるそうです。
今回は油発に挑戦してみたいと思います!
まずは魚肚をぬるま湯でよく洗ってから水気を切り、油に30分ほど浸します。
その間に別の鍋に水、酒、生姜スライス、ネギを入れて沸かしておきます(こちらは揚げた後に使います)。
ごく低温で絶えずかき混ぜながら魚肚を揚げていきます。気泡ができてスポンジ状になったら火からおろします。
▲カリっとは揚がったものの、全然スポンジ状になってないし、大きさも変わってない……。ちゃんと戻っているのだろうか……大丈夫だろうか……。
先ほど沸かせておいた鍋に揚げた魚肚を入れて5分ほど沸騰させて茹でます。その後火を止めてそのまま冷めるまで1時間ほど置いてから、ザルにあけて水気をよく切ります。
茹でたら元の3分の2ぐらいの大きさに戻りました! 酸化した油のような匂いはすっかり抜けて、干物を焼いた匂いがします。これだけで食べてみると、羊羹のようなミッチリした食感で、魚の脂で作った羊羹みたいな感じです。
魚肚を使った料理
魚肚を使った料理を調べてみると、魚肚にエビのミンチを詰めた蒸し物が有名みたいだったので、今回はそれを作ってみようと思います。
<材料>
■エビミンチ材料
生エビ 200g
乾燥魚肚 40g
脂身の多い豚肉 大さじ2
飾り用にんじんorとびこ 少量
卵白 2分の1個
塩 小さじ4分の1
片栗粉 小さじ1
■タレ材料
チキンスープ(スープの素をお湯で溶かしたものでOK) 100ml
砂糖 小さじ4分の1
オイスターソース、塩コショウ、ごま油 少々
<下準備>
エビは殻をむいて背ワタをとり、片栗粉(分量外)と(ミンチ材料では使わず余った)卵白に漬けてよく揉んで汚れを落としておきます。
飾り用のニンジンはみじん切りにしておきます。
<作り方>
エビを刻んでミンチにし、塩小さじ4分の1、コショウ少々、卵白半分、片栗粉小さじ1を加えて粘り気がでるまで混ぜ、ミンチにした豚肉大さじ2を加えてこねてから、冷蔵庫で30分以上休ませます。
魚肚の表面に少し片栗粉(分量外)をつけてはたき、エビミンチを詰め、飾りとして刻んだニンジンをのせて10分ほど蒸します。
蒸している間にタレの材料を混ぜてレンジでチンしてソースを作っておきます。
ミンチが蒸しあがったらソースをかけて完成です!(おまけの汁ものとして、細切りにした魚肚を加えた中華スープも作りました)
魚肚料理実食
▲箸でつかんでいる細切り肉が魚肚です。
まずはスープからいただきます!(´~`)ズズズ
魚肚はクニュクニュしていて、歯切れのよい鶏皮を食べているような食感です。でも単体で食べると魚臭い……(´・ω・`)古くなったサバなど青魚の脂をギュッと固めたような匂いがします……。
他の具やスープと一緒に食べると香りに紛れて匂いは分からなくなります!
ミンチ詰めの蒸し物をいただきます!(´~`)モグモグ
魚肚は中華スープのものよりもさらに柔らかく、よく煮込んでトロトロになった鶏皮のような食感と硬さです。
こちらは魚肚単体で食べても青魚の脂のような匂いはありません! 無味・無臭で、トロトロプリプリした食感を与えるだけになっています!
……と思いきや飲み込んでからひと息つくと、余韻で古くなった青魚の脂臭さが駆けのぼってきて鼻を抜けていきました( ̄д ̄;)この匂いが苦手な人は間髪入れずに違うものを食べた方がよさそうです。
味はエビ団子とタレがかなり美味しいです!! 普通に今後のレシピレパートリーに加えたいぐらい美味しい!!!!
ただ、個人的には魚肚を詰め物の皮として使うと、食感が分離してミンチと馴染まない気がします。なので、魚肚もミンチにして餡の具材としたほうが、トロプリ食感がアクセントになって美味しいんじゃないかなぁ? と思いました。
以上、日本ではあまり知られていませんが、海外では珍重されている浮き袋についてご紹介しました。ニベ科の魚を調理する際はぜひ浮き袋も食べてみてください(・∀・)
※画像は全て筆者撮影
<参考>
https://www.outdoorfoodgathering.jp/fish/ukibukuro/[リンク]
https://www.viet-jo.com/news/social/230829074123.html[リンク]
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9589/[リンク]
https://nichigopress.jp/news-item/66703/#google_vignette[リンク]
https://youtu.be/NbqkkVYLAIE?feature=shared[リンク]
(執筆者: ゆずくん)
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