SoffosとNavigant Learningが提携、人材開発分野でのAI活用効果を証明
Soffos(テキサス州オースティン)およびNavigant Learning(デラウェア州ミドルタウン)は、共同取り組みの第一段階として実験を行い、5月29日に結果を発表した。L&D(人材開発)の在り方変革するAIのポテンシャルが証明されたとしている。
2018年設立のSoffosは直感的なインターフェースを備えた生成AIプラットフォームを提供している。「学習素材の制作を生成AIでより簡単・効率的に」をミッションとして掲げ、企業のL&D強化を支援する。
Navigant Learningは2022年設立のスタートアップ。柔軟なアプローチによる学習ソリューションの創出を目指し、「価値ある学習体験の提供による人材の活性化」をミッションに掲げている。学習に対する戦略立案やアドバイスのほか、カリキュラムデザインやコンテンツ開発も行う。
36時間かかっていた開発工程が22時間に
取り組みの第一段階である実験で利用したSoffosの生成AIプラットフォームは、ミニレッスンの作成、Q&A生成、AIアシスタント作成といったL&Dに特化したモジュールセットを提供するもの。このプラットフォームでILT(インストラクター主導トレーニング)コースにおけるAI効果を観測した。
1時間のILTコースのコンテンツを作成するには、IDデザイナーの開発業務や関係者との会議などを含め36時間が必要とされる(これを「36:1」と表記する)。
AIを活用した結果、36:1という数字が22:1となり、全体で40%以上の短縮促進効果が確認された。この数値が開発アセスメント段階では80%を記録、最高値は高レベルの設計文書作成時の90%だった。
AIが人間のL&D活動を強力に補完し、学習開発におけるほぼすべての段階を加速させることが証明された形だ。学習ソリューションへのニーズを満たすうえで企業にとって力強いツールとなるとされる。
人材開発分野での生成AI活用効果を数値で示す取り組み
生成AIは2500億ドル規模のL&Dセクターにも影響を及ぼしているが、影響力を明確な数字で示すデータは少ない。人員配置を最適化するうえで数値を必要とするL&D部門長や経営層のニーズが満たされていない状況だ。
両社は共同での取り組みにより、ID(インストラクショナルデザイン:効果的かつ魅力的な研修・学習内容を設計するアプローチ)業務にAIが与える影響を数値で測定する。より効果的かつ魅力的な学習機会の提供、進化し続ける多様なニーズへの対応を目指すという。
AI活用による学習プログラムの加速・拡大を支援、クリエイティビティの強化、世界的なスキルギャップへの対処を実現し、最終的には学習ニーズを満たすうえで組織が直面する困難を解消していく。
Navigant LearningのパートナーであるRic Garner氏は、「学習サイクル全体でAIを活用することで、L&D専門家は進化を続けるニーズに包括的に対応し、迅速かつ大規模、低価格でトレーニング体験の質を改善できるでしょう」と語った。
AIはあくまで人間の能力を補強する「ツール」
日本では、特にエンタメ分野における生成AI活用に否定的な反応が目立つが、「勤務先での生成AI活用に対して肯定的な人は否定的な人の2倍以上」というリサーチ結果(GMOリサーチ&AI)もある。
この点について、SoffosおよびNavigant Learningは共に「AIは人間の仕事を奪うものではなく、人間をサポートするツール」であると強調した。
Soffos社のCEOであるKen Hubbell氏は「AIはL&D分野で人間の仕事を奪うものではありません。人間の能力と補強しクリエイティビティを強化するツールです」と述べている。Navigant Learning側のGarner氏も「AIツールは人間の代用品ではなく、人間の能力を補強するものとみなすべき」とした。
両社の取り組みは現時点では初期段階だが、学習の作成工程におけるさらなる統合と自動化により、新たな可能性が次々と解放されるだろう。
参考・引用元:
PressRelease
Soffos
Navigant Learning
(文・せな)
ウェブサイト: https://techable.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。