【オフィシャルレポ】monje、斬新なステージと上質なパフォーマンスで叶えた初ワンマンライヴ〈monje第一公園〉

【オフィシャルレポ】monje、斬新なステージと上質なパフォーマンスで叶えた初ワンマンライヴ〈monje第一公園〉

東京藝大発のクリエイティブチーム monjeが、初ワンマンライヴ〈monje第一公園〉を2024年5月18日に南青山BAROOMで開催した。

芝を敷き詰めた円形ホールにmonje自身が作ったジャングルジムを設え、その周りを楽器が囲む斬新なステージは、まさしくライヴタイトルそのままの光景。何の予習も目的も必要とせず、ただ、集える公園のような場所にしたいという願いを、ピアノ一本のバラードからバンドと盛り上がるアッパー曲まで幅広く、上質なパフォーマンスに乗せ、そこから生まれるオーガニックな空気感で叶えてみせた。

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独自のグルーヴで空間を彩るボーカル&作詞担当のKananと、「遊び心」ある全楽曲の作曲とアレンジを担当する森山瞬から成り、2022年にデビューしたmonje。配信EP『衣』『食』『住』を3ヶ月連続で発表した昨年に続き、今年4月には2ndEP『遊歩道』をリリースして、日常から派生する想いを豊かな創造性と音楽性で表現し続けている。そんな彼らの待望の1stワンマンは、公園で遊ぶ子供たちの声と小鳥のさえずりをバックに、森山のギターとMPCトラックに合わせてKananが柔らかく歌う「Fragrance」で幕開けた。昨秋配信され、ドラマ『沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call 〜寝不足の原因は自分にある。〜』の第4話EDテーマにも起用された本作は、“終わり”に気づかぬ振りをする心情を歌ったmonjeには数少ないラブソング。苦悩を纏わせながらKananが芝生の上を歩き回る円形ステージは階段状のソファ客席にグルリと取り囲まれ、オーディエンスからすると曲世界への没入感も半端ない。

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1曲目を歌い終え「みなさんこんばんは、monjeです。今日は一緒に楽しみましょう!」というKananの言葉から「Dekoboko」がスタート。気の置けない何気ない会話を交わすように、はたまた舞うように歌い、ジャングルジムに連結したお立ち台に立つKananの頭上ではミラーボールが。濃厚な夜のムードを纏わせる照明と陽の光が似合う公園が、現実にはありえない非日常なコラボレーションを果たして、愛しい日常を歌うというギャップある構図も楽しい。

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対して「Spice」では森山がジャングルジムによじ登り、コーヒーミルを回してアブストラクトな電子音をプレイ。その傍らで“まだ足りない”と日常からの脱却を望み、貪欲に非日常を追い求めるKananのパンチのある伸びやかなボーカルが、背筋をゾクリとさせるようなスリルを感じさせていく。

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そんな風に本来は相いれない二者が軽やかに入り交じり、時に境界を失くして溶け合っていくのがmonjeの個性で、森山のピアノ演奏から始まったバラード「mi」はその最たるもの。世界との曖昧な境界の上で危うい綱渡りをする自身を受け入れながらも、“mi=わたし”を自分の手でしっかりと抱きしめるようなKananのボーカルは力強さと儚さを併せ持ち、血のにじむようなロングトーンは圧巻。曲の主人公と完全に同一化した挙動は森山のドラマティックな演奏とも相まって、時間と空間が溶け合っていくような極上の“曖昧”を味わわせる。

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そして、ここから場内の空気を一変させる展開が。公園のざわめきが遠くに聞こえるなかでKananはジャングルジムに遊び、森山は芝生の上に座り込んで幼き日々のノスタルジーを掻き立てるように鍵盤ハーモニカを鳴らす。その音色は本公演のテーマ曲「あつまれ」のサビメロをたどり、ギターとピアノが順に加わると、最後にドラムとベースが入って「あつまれ」を華やかにプレイ。Kananと森山はマイクを握り、バンドメンバーと目を合わせながら“あつまれ ただ あつまれ”とにぎやかに謳い上げる。ミラーボールが投げかける光の下、Kananの顔には今日初めての笑みも浮かび、“あつまれ”のリフレインの中でバンドメンバーを紹介してからは“uno, dos, tres!”というスペイン語のカウントでシームレスに「Sangría」へ。森山がカシシを振ってサルサのムードを醸し、日本語、英語、スペイン語が交錯するラテン風ナンバーで歌うのは、大好きな人たちと集って時間を共有することの歓びだ。はしゃぐような動きと演奏で「あつまれ」にも通じる世界観を繰り広げ、最後は“There’s no difference between us!(=私たちに違いはない)”と締めくくり。monjeというグループ自体のテーマにも思えるメッセージを投げかけていく。

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一転“目を離さないで”というKananのアカペラから「madobe」に「瞳」と、詞先で制作されたナンバーでは、切ない執着を甘やかに表現。黄昏からマジックアワー、星夜と2曲通して時間が経過していくようなライティングも見どころで、続いて「Heya」ではKananの透明に突き抜けるファルセットとジャジーなバンド演奏で夜明けを迎えていく。そこから人々のざわめきをSEに「ippo」へ。動き出す朝の世界を表すような軽やかなサウンドに、自分も一歩を踏みだそうという爽やかな決意がシンクロして、夕暮れ時から始まった物語は清々しい旅立ちへと昇華する。アウトロではスタンディングでのギターソロもあり、拍手を受けてからは再び2人でマイクを握って、4月にリリースしたEP『遊歩道』より「きれい」を披露。2本のボーカルは“きれい”と“きれいじゃない”の狭間で惑う心象風景をひとさじのアイロニーを交えて映し出し、monjeの新たなポテンシャルを提示してみせる。

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「皆さま今日はお越しいただきありがとうございます。とても早いのですが次の曲で最後になります。最後まで楽しんでください」と告げたKananが“ワンツースリーフォー!”と力を込めてカウントアップし、始まったのはEPの1曲目「MUTEKI」。ミラーボールの煌びやかな光が似合うmonje初のアッパーチューンで、今度は2人でハモリも入れながら”フレッシュなままで 新しい自分知る”と飛び跳ねる彼らから伝わってきたのは、自身の人生を主役として生きる自分は“無敵”だということ。常に遊び心を忘れず、リスクを恐れず挑戦し続けていこうという気概はmonjeとしての決意表明でもあり、リスナーを励ますメッセージでもある。曲が終わった瞬間に暗転して「ありがとうございました」とKananの声が響いても、アンコールを求める拍手が鳴りやまなかったのは、そのせいなのだろう。「なんとアンコールが!」と嬉しそうに再登場して2度目の「あつまれ」を披露すると、Kananはクラップを贈る客席に駆け寄り、森山もフェイクを轟かせ、最後は2人で互いをコールして感無量げに顔を見合わせる。満面の笑顔で投げキスしたKananに満場の拍手が湧き、全13曲1時間にわたる1stワンマンは幕を閉じた。

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珈琲のように芳醇でコーラのように刺激的、かつ、毎日の食卓に乗る日本茶のように身近。monjeのステージを形容するなら、そんな言葉が似合うように思う。表現力も独創性もズバ抜けたものはあるが、決して難解はものではない。気軽に、ただ楽しむために集まれる次の“公園”情報を知るには、各種SNSのチェックをお忘れなく。

文:清水素子
写真:Yujiro Kawashima

ライヴ情報

monje
〈monje第一公園〉2024年5月18日(土)南青山BAROOM
〈セットリスト〉
1. Fragrance
2. Dekoboko
3. Spice
4. mi
5. あつまれ
6. Sangría
7. madobe
8. 瞳
9. Heya
10. ippo
11. きれい
12. MUTEKI

13. あつまれ

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