原典にあたらずポストをする人たち 井上尚弥世界戦での小さな珍事

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原典にあたらずポストをする人たち 井上尚弥世界戦での小さな珍事
指先ひとつで人を貶めてしまう事もある。

34年ぶりでのボクシング東京ドーム開催は、劇的な試合ばかりで未だにSNS、YouTubeで話題になっている。メインの「モンスター」井上尚弥選手vsルイス・ネリ(メキシコ)では井上選手がプロ(おそらくアマも)戦績で初のダウン。34年前のマイク・タイソンのダウンシーンを思い返してしまった人も多いのではないか。

が、そのあとの井上選手のスイッチの入れ方が凄かった。

冷静に、いつも通りストレートに近い強いジャブを繰り出し、時にはトリッキーな動きでネリ選手を翻弄。2Rでは、ショートフックでダウンをさせる。ポイントを取り返し、最後はいつも通りのラッシュにて右ボディ→右ストレートフックで完勝。今まで強すぎて「名勝負」がないと言われていた井上選手だが、この東京ドーム大会では4万人プラス配信での視聴者含めれば10万人くらいの人は誰もが感動したであろう。惜しむらくは地上波でこのような試合を放送してほしかったものである。視聴率20%はいったとしたら2000万人の人が見る訳である。

ネットではよく「同時接続100万人」といった言葉が使われるが、地上波でその言葉を重ねると「同時接続2000万人」という表現になる。いかに地上波の影響が大きいかわかるというものだ。

結果ボクシングを、井上尚弥選手を知らなかった人も認知する事になり、文字通り格闘技全体の裾野がより、広がるはずだったに違いない。いつの日か、地上波復活を願ってやまない。井上選手のクリーンなイメージは貴重である。20年前、無理やりボクシングブームを作り出そうと亀田兄弟のパフォーマンスがあった。一時期は視聴率が上がったであろうが、一般視聴者は「ボクシングってやはり怖い」というイメージつき離れていったことは想像に難くない。そのマイナスイメージを、井上選手がひっくり返したと言っても過言ではないだろう。

その証拠に井上選手にはNTTをはじめ、ナショナルスポンサーが付いている。同世代で大活躍中の大谷翔平選手(ロサンジェルスドジャース)も三菱UFJ銀行をはじめ、公共性が極めて高い会社がスポンサードをしている事を考えると、井上尚弥という存在は、ともすればグレーのイメージがある格闘技業界全体の底上げにつながる(ボクシングのみならず、キック、MMAなども)。貴重である。

ところでこのイベントで一つの「珍事」が起きていた。井上尚弥選手の弟・井上拓真選手(現WBA世界バンタム級チャンピオン)の試合後インタビューである。試合は石田匠選手との激闘を制し、井上拓真選手が判定勝利。挑戦者の石田匠選手の得意の「長いジャブ」をかいくぐって接近戦に持ち込む拓真選手のテクニックと気持ちが見られ、申し分のない試合だった。

チャンピオンになっての初防衛。しかも東京ドーム興行である。テンションが高かったのだろうか。あるいはドームという会場で聞き取りにくかったのだろうか。

アナウンサーがインタビューの最後に「チャンピオンの井上拓真選手でした!」とアナウンスした後、拓真選手が「あ、たくまです」と苦笑しながら訂正したのだ。アナウンサーは「失礼しました『いのうえたくま』選手でした」と再アナウンスした。

 

これにX(旧ツイッター)がプチ炎上した。

「選手の名前を間違えるなんて失礼」「アナウンサーの名前は何て言うんだ」といった抗議のポストが散見された。

が、プライムビデオで視聴していた筆者は、「名前、言い間違えたのか?」と当初から疑問に感じていた。聞き返してみたが「いのうえたくませんしゅです」と、アナウンサーは何回聞いても言っているではないか、と。

Xでは、誰かの「名前を間違えるのは失礼」というものに対して「そうだ失礼だ」という声がこだまのように飛び交い、それを見た人がまた「失礼なアナウンサーだ」的なポストをする(その後すぐにセミ、メインの試合へと続いたのでこの件はプチ炎上で済んだ)。そして、同時に筆者のような考えを持つ人がいて、「アナウンサー、間違っていいない」というポストもあった。

9日には井上拓真選手がXで「聞き間違いでした」というポストを投稿。自分の勘違いを率直に認めている。さすがチャンピオンである。人格もチャンピオンという所を見せてくれた。

ここで考えたいのが、「アナウンサーがよりによってチャンピオンの名前を間違えた。けしからん」ということをよく確認もせずに投稿した事。そして、おそらく動画を見ずに「アナウンサー=叩きやすい」という人たちが(ボクシングファンでない人もいただろう)、原典にあたらずに軽はずみにポストをするという「現象」である。

 

批判する時は、まずは「原典」あるいは「原典に近い動画、文章を探し出し」「確認し」投稿することが必要だと思う。原典も一見、ニュースサイトのように見せた,おそらく個人でやっているであろうアカウントが散見される。

 

それは原典ではない。報道ペースのサイトやポストをソースにすべきである。もちろん、そのニュースを盲目的に信じろと言っている訳ではないが。簡単に見分け方法は運営会社が明記されている事である。責任の所在がはっきりしているのかどうか。ここが原典でありソースとして取り上げてもよいかの境界線だ。

このような現象によって大事故につながった例としてスマイリーキクチさんや小山田圭吾さんらの例を挙げておく。X(Instagramも)は便利だが、ある襲撃目標が決まったとたん、原典に当たっていない人々の攻撃が始まる。「ちょっと待てよ」といういったん立ち止まって自分を疑うことのできる良識派の人もいるが、勢いに押されヒステリックに大きな声で叫ぶ人たちの声の方が、世論を形成してしまうケースがある。くれぐれも自重したい。(@久田将義)

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TABLOとは アメリカが生んだ、偉大な古典ミステリーの大家レイモンド・チャンドラー作品の主人公フィリップ・マーロウの有名なセリフがあります。 「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」 人が生きていく上で、「優しさ」こそ最も大切なものであることを端的に表現した言葉です。優しさとは「人を思いやる気持ち」であり「想像力を働かせること」です。弱者の立場に立つ想像力。 「人に優しく」 これは報道する側にも言えることだと思います。 現在、ヘイトニュース、ヘイト発言、フェイクニュースがネットの普及に従い、増大しており、報道関係者の間では深刻な問題となっています。そこには「人に優しく」という考えが存在していません。 なぜ、ヘイト(差別)ニュースがはびこるのか。「相手はどういう感情を抱くのか」という想像力の欠如がなせる業です。ヘイトによって、人は人に憎悪し、戦争が起き、傷ましい結果をもたらし、人類は反省し、「差別をしてはならない」ということを学んだはずです。 しかし、またもヘイトニュースがはびこる世の中になっています。人種差別だけではありません、LGBT差別、女性差別、職業差別等々、依然としてなくなっていないのだな、ということは心ある人ならネットの言論にはびこっていることに気づいているはずです。本サイトはこのヘイトに対して徹頭徹尾、対峙するものです。

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