アンディー・ウォーホルの「ピンク・マリリン」が出品。NEW AUCTIONが第6回目アートオークション 『NEW 006』を開催

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Andy WARHOL(アンディ・ウォーホル)
Marilyn Monroe (Marilyn) (F. & S. II.31), 1963



東京・原宿を拠点とするオークションハウス「NEW AUCTION」は、2024年4月27日(土)に第6回目となる公開型オークション『NEW 006』を開催。


『NEW 006』では、アンディー・ウォーホルの代表作である「マリリン・モンロー」シリーズの中で最も人気の高い「ピンク・マリリン」が出品される。世界中の数あるオークションの中でも数年に一度しか出品されることのない大変貴重な作品です。マリリン・モンローの死から5年後の1967年に制作された本シリーズは、シルクスクリーンという技法を用い、連続と差異を繰り返しみせる事で人々の持つイメージに対し疑問を投げかけたアメリカンポップアートの代名詞とも言える作品。


また、グラフィックデザイナー時代よりウォーホルから多大な影響を受け、1980年に画業に専念することを決めた横尾忠則が、画家宣言後、最初期に描いたとされる《灰塚輝三氏の肖像》や、現在、京都市京セラ美術館で大規模な展覧会を開催している村上隆の生と死を連想させる大型ペインティング作品《BlueSkull》、絵具の質感やストロークの痕跡など実際に作品と対峙する事でしか伝わらない表現を行う武田鉄平の《絵画のための絵画作品》など、時代や国籍を超えながら繋がる美術の系譜を感じる作品が多く取り揃っている。
渋谷MIYASHITA PARKにある「SAI」にて開催されるオークションプレビューでは、全ての出品作品を実際に鑑賞できる。 また、今回のオークションは、プレビューと同じく「SAI」にて開催。

●主な出品作品
Pablo PICASSO (パブロ・ピカソ) / Andy WARHOL (アンディ・ウォーホル)/
Joseph BEUYS (ヨーゼフ・ボイス) / Nicolas de STAËL (ニコラ・ド・スタール) / Ellsworth KELLY( エルズワース・ケリー)/ Donald JUDD (ドナルド・ジャッド)/ Kenneth NOLAND(ケネス・ノーランド)/ Christopher WOOL(クリストファー・ウール)/ Wolfgang TILLMANS (ヴォルフガング・ティルマンス) / 横尾 忠則 /
東松 照明 / 大谷工作室 / くらや えみ / ハロシ / KYNE / 花井祐介 etc…

「NEW 006」

●オークション情報

プレビュー
会期 : 2024年4月20日(土)- 4月26日(金)
時間 : 11:00 – 20:00
(最終日のみ17:00まで)
会場 : SAI
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 6-20-10
RAYARD MIYASHITA PARK South 3F


オークション
会期 : 2023年4月27日(土)
時間:START 14:00 – (OPEN 13:30- )
会場 : SAI
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 6-20-10
RAYARD MIYASHITA PARK South 3F


公式HP URL
NEWWWAUCTION.COM


Andy WARHOL, Marilyn Monroe (Marilyn) (F. & S. II.31), 1963


アンディ・ウォーホル (1928-1987) は、20世紀に最も影響を及ぼしたアメリカ人アーティストといっても過言ではないだろう。メディアを巻き込み、自身の名声を高めるというそのユニークな戦略は、アーティストの作品制作という概念を一変させた。商業イラストレーターとして活躍していた1960年代初頭までは、より抽象表現主義に近いスタイルを得意としていたが、1962年より、後に作家の象徴となるポストモダンのグラフィックを作風に取り入れ始める。以降、彼の代名詞となるスタイルを確立すると、大量消費社会や名声の虚飾性を表現したウォーホルのシルクスクリーン作品は、たちまち人気作となった。
彼の最も有名な作品に「マリリン・モンロー」シリーズが挙げられる。同作は、1953年の映画『ナイアガラ』の宣伝に使われたモンローの写真を加工したものである。制作にあたりウォーホルは、異なる色の部分を刷るための4版と輪郭用の1版の計5版を使用した。分離感と不規則性を与えるため、色の部分の4版は意図的にズレが生じるよう刷られており、元の写真の理想化されたイメージが覆されている。マリリンがアメリカン・ドリームや消費主義の華やかな世界を象徴する一方で、その華やかさとは裏腹に現実にはおとぎ話のような人生を送ることはなかった彼女の肖像からはどことなく哀愁と「死」が漂い、スリリングな対比と併存をなしている。鑑賞者は、現実とはかけ離れた作り上げられたイメージに気づかされ、本作品は、消費者である我々がいかに名声という産物に加担しているかを突きつける。

1967年に制作された同シリーズは、ウォーホルが自身の版画を販売するために設立した会社、ファクトリー・アディションズから初めて出版された。「マリリン」や「キャンベル・スープ」シリーズなど最も有名な版画作品の多くは、同社で制作され、そのすべてにウォーホル自身によるサインとエディションナンバーが記された。
本作品は、モンローのイメージを初めて用い、モンローの死後わずか数週間後に完成した1962年作の《Marilyn Diptych (マリリン・ディプティック)》を基に制作された。ウォーホルは、イメージの反復について「同じものを見れば見るほど、その意味はどんどん無くなってゆき、そしてより気持ちよく、より虚しい感覚をもたらす」とコメントしたことで有名である。



横尾 忠則 《灰塚輝三氏の肖像》1981/ Portrait of Mr.Haizuka Teruzo, 1981


日本を代表する現代美術家の一人である横尾忠則 (1936-) は、兵庫県西脇市に生まれ、1960年に上京後、グラフィックデザイナー、イラストレーターとして脚光を浴びる。そして、1980年にニューヨーク近代美術館で開催されたピカソの大回顧展に衝撃を受けたことを契機に、活動領域を絵画へと移すことになる。このいわゆる横尾の〈画家宣言〉後の1980年代、横尾は国際的な新表現主義の動向を同時代的に体感しつつ、自らの絵画表現を見出そうと試行錯誤を重ねてゆく。
1981年に描かれた本作品《灰塚輝三氏の肖像》は、〈画家宣言〉後の最初期の作品である。1980年代、京都の灰塚印刷の専務であった灰塚氏は、横尾のポスター制作などに携わる一方で、両者は家族ぐるみの付き合いを築き公私ともに近しい間柄だったという。灰塚氏をモチーフとした作品は複数点描かれており、その中の一つである本作品の灰塚氏は、スーツ姿で後ろ手を組んだいわゆる伝統的な肖像画の姿勢をとっているが、背景はオーラを身に纏う様に青白く、身体にはそれが浮かび上がっている。これは写生でありながら横尾の想像や私的な物語が加わることで、彼独自の特異な肖像画に昇華された作品と言えるだろう。

Achille Perilli

左: La rugiada del pellicano
(The pelican’s dew), 1960

右: Il privilegio dell’oscurita
(The privilege of darkness), 1983


ローマ出身の前衛抽象画家、アキッレ・ペリッリ (1927-2021) は、戦後イタリアの美術運動に活気をもたらした。文学を専攻し、かのジョルジュ・デ・キリコ (1888-1978) の作品ついて論文をまとめる。その後、ペリッリは美術の道へと進み、1947年には、波紋を呼んだイタリア美術運動〈Forma 1 (フォルマ・ウーノ)〉の創設メンバーの一人となる。ペリッリも署名者に名を連ねたそのマニュフェストの中で、フォルマ・ウーノは形式主義とマルクス主義の両側面を備えた運動であると宣言している。同グループは、具象画を通俗的で順応主義的であると否定することで、第二次世界大戦後のイタリアを革新し、活性化させようと試みた。同運動は成功し、1950年代になるとペリッリの作品はヨーロッパ中で広く展示されるようになった。
ペリッリが名高きテルモリ賞を受賞した1961年、フォルマ・ウーノは解散することになる。その前年の1960年に制作された《La rugiada del pellicano (ペリカンの露)》は、初期に代表されるペリッリらしい抽象的な作風を示している。淡い色調と切り込まれたマークは、芸術、階級、貧困、破壊、そして再建の関係をアーティスト達が模索、探究していった1950年代から60年代のイタリア美術を象徴している。
その後の20年間で、ペリッリはこの初期の自然主義的な形式から離れ、より抽象的で幾何学的な作品へと移行していく。この後期のスタイルは、鮮やかな色彩の平面の中に複雑なパターンを描いた長方形が印象的な《Il privilegio dell’oscurita (暗闇の特権)》に如実に現れており、1970年代には彫刻家や建築家としても活躍していた自身の他の作品に影響されたものと思われる。《Il privilegio dell’oscurita》の形式は、建築図面における形の相互作用に通ずるものがあり、同時期のイタリア都市の急激な発展についてのコメントとも見受けられる。このような抽象画への傾倒により、ペリッリは抽象画の巨匠として称賛されるようになり、1997年には名誉ある
「Premio Presidente della Repubblica (イタリア共和国大統領賞)」を受賞する。
この2つの作品は、自然主義的なスタイルの抽象画から活気に満ちた幾何学的な形式の抽象画まで、ペリッリの画業において極めて重要でありながら対照的な様式を表している。ペリッリは、常に躍進し続け、戦後イタリアの絵画、彫刻、詩、建築を独自のスタイルで活気づけた。これは、一人の巨匠の人生における2つの重要な瞬間の作品を手に入れることのできるとても貴重な機会と言えるだろう。

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