【調査報告】ISO認証は食品安全の保証に有効?食品トラブルが事業に与える影響とその対策とは

【調査報告】ISO認証は食品安全の保証に有効?食品トラブルが事業に与える影響とその対策とは

昨今、市場の厳しい規制や消費者の要求が高まる中、食品安全に関する新たな基準や認証取得が重要視されている。厳格化する食品安全の基準に適応しながら、コストを抑え、効率を高める方法を模索している食品製造業・流通業のオーナーも多いことだろう。だが食品安全対策は消費者の信頼を獲得し、事業の継続性を保証する上で欠かせないが、適切な対策の策定と実行は簡単ではない。現代の食品業界のオーナーたちはどのようにしてこれらの課題に対処しているのだろうか。また、認証を取得することは食品安全に対して有効なのだろうか?

そこで今回、フードチェーン(生産から消費者に届くまでのプロセス)において、食品事故発生のリスク低減と再発を防ぐためのISO・HACCPの新規取得・運用サポートサイト『ISOプロ』(https://activation-service.jp/iso/)を運営するNSSスマートコンサルティング株式会社は、食品製造業・流通業のオーナーを対象に「食品安全」に関する意識調査を実施した。

【食品安全対策の現状】食品トラブルによって9割以上が事業に“影響があった”と回答

はじめに「自社の食品安全対策は万全だと思いますか?」と質問したところ、8割以上が『非常に万全だと思う(37.5%)』『万全だと思う(51.0%)』と回答した。自社の食品安全対策について万全だと思わない人が少数いるが、非常に多くの人が万全だと考えていることが分かった。では、過去にトラブルが起きた経験などはあるのだろうか?

そこで「食品安全に関わる、過去に起きたトラブルがあれば教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『虫などの発生(33.8%)』と回答した人が最も多く、次いで『食中毒(27.3%)』『カビの発生(26.6%)』と続き、3割以上が虫などが発生するトラブルを経験したことがあることがわかった。また、食中毒やカビの発生といったトラブルが起きた人も多いことが示されたが、発生したトラブルによってどのような影響があったのだろうか?前の質問で『トラブルが発生したことはない』と回答した人以外に聞いてみた。

「トラブルによって、事業にどのような影響があったか教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『食品安全マニュアルの見直しの動き(37.3%)』と回答した人が最も多く、次いで『売上の低下(31.5%)』『関係者の懲戒処分(24.4%)』と続いた。『特に影響はなかった』と回答した人は3.2%と微少で、ほとんどの人が事業に何らかの影響があったと回答した。この結果から、マニュアルの見直しなど内部の動きが活発化されたほか、売上が低下したり、関係者の懲戒処分があったりと、食品安全に関するトラブルは事業にさまざまな影響を及ぼすことが明らかになった。では、現在は食品安全に関してどのような取り組みを行っているのだろうか?

「現在の食品安全に対する取り組みを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『食品安全マネジメントシステムの導入・実施(35.1%)』と回答した人が最も多く、次いで『食品安全チームの設置(31.3%)』『従業員教育の実施(31.3%)』『HACCPに則った衛生管理(29.4%)』と続き、食品安全マネジメントシステムの導入や実施、食品安全チームの設置、従業員の教育など、食品安全対策のために体制から整えようとしていることが明らかになった。

【食品安全マニュアル】策定している、策定予定の方は9割以上!導入に期待することとは!?

「食品安全マニュアルの策定の状況について教えてください」と質問したところ、『すでに策定・運用している(42.1%)』『策定中である(41.1%)』『今後策定する予定である(13.0%)』『策定する予定はない(3.8%)』という回答結果になった。食品安全マニュアルの策定については、『すでに策定・運用している』『策定中である』『今後策定する予定である』という人が非常に多いようだが、食品安全マニュアルの導入によってどのような効果を期待しているのだろうか?

前の質問で『すでに策定・運用している』『策定中である』『今後策定する予定である』と回答した人に、「食品安全マニュアルの導入に、どのような効果を期待していますか?(複数回答可)」と質問したところ、『従業員の食品安全に対する意識向上(53.7%)』と回答した人が最も多く、次いで『食品安全事故のリスク低減(45.2%)』『業務プロセスの標準化(45.1%)』と続いた。半数以上が、食品安全マニュアルの導入によって従業員の食品安全に対する意識向上を期待しているようだ。また、食品安全事故のリスク低減や業務プロセスの標準化などを期待していることが示された。

【認証について】約8割が納品先からISO認証を求められた経験あり

食品安全に関する新たな基準や認証取得が重要視されているなかで、納品先からISO認証を求められた経験がある方はどのくらいいるのだろうか?「納品先からISO認証を求められたことはありますか?」と質問したところ、8割以上が『ある(80.7%)』と回答。非常に多くの人が納品先からISO認証を求められた経験があるようだ。

また反対に、仕入先にISO認証を求めている企業はどのくらいいるのだろうか?「仕入先に対して、ISO認証を求めていますか?」と質問したところ、7割以上が『全てに対して求めている(33.6%)』『一部にのみ求めている(42.5%)』と回答し、7割以上が何らかの形でISO認証を求めていることが明らかになった。では、自身の企業で取得しているISO認証の規格は何なのだろうか?

「ご自身の企業で、取得している認証規格があれば教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『ISO22000(41.9%)』と回答した人が最も多く、次いで『ISO9001(41.3%)』『FSSC22000(25.9%)』と続いた。どうやら食品の安全な製造・取り扱いを保証するISO22000を取得している企業が最多のようだ。また、製品やサービスが顧客および適用される法的要求事項を満たしていることを保証するISO9001や、食品安全に特化した国際認証基準であるFSSC22000を取得している企業も多いことが示された。

9割以上の企業が何かしらの認証を取得していることがわかったが、ISO認証の取得は食品安全に対して有効だと思うのだろうか?最後に「認証の取得は食品安全に対して有効だと思いますか?」と質問したところ、8割以上が『はい(88.9%)』と回答。食品安全を保証する施策として、ISO認証の取得が有効だと思う人は非常に多いようだ。

【調査概要】「食品安全」に関する意識調査
調査期間/2024年3月14日(木)~ 2024年3月15日(金)
調査方法/リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
調査人数/1,013人
調査対象/調査回答時に食品製造業・流通業のオーナーであると回答したモニター
調査元/NSSスマートコンサルティング株式会社(https://www.nss-group.co.jp/)
モニター提供元/ゼネラルリサーチ

今回の調査結果で、非常に多くの人が自社の食品安全対策について万全だと思うものの、過去には虫の発生や食中毒といったトラブル経験があることが明らかになった。そのようなトラブル発生によって、食品安全マニュアルの見直しの動きや売上の低減といった影響があったことから、現在では食品安全マネジメントシステムの導入や実施、食品安全チームの設置といったさまざまな取り組みを行っているようだ。

また、食品安全マニュアルを策定している、もしくは今後策定する予定の人が非常に多く、従業員の意識向上や食品安全事故のリスク低減といったことを期待していることが示された。ISO認証に関しては、納品先に求められたことがある人、仕入先に求めている人が多く、ISO認証の取得は食品安全に対して有効だと考える人が非常に多い結果になった。

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