「老人は記憶力が衰える」と思っている人ほど…加齢にまつわる真実
誰もが歳を重ね、老いていく。何歳になっても毎日を楽しく、イキイキと生きていきたいもの。では、どうすればよい歳のとり方をできるのか。
『老いを楽しむ心理学』(内藤誼人著、ワニブックス刊)では、心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長の内藤誼人氏が、米国最新研究など最新の心理学を参考にした何歳になってもイキイキと生きていくためのコツを紹介する。
◾️「老人は記憶力が衰える」と思っている人ほど…加齢にまつわる真実
たいていの人は歳をとることを嫌う。容姿は醜くなっていくし、体や頭の機能は衰えていく。ただ、これは考え方次第ともいえる。
「お年寄りは、自分で何もできない」
「お年寄りは、同じ話を何度もする」
こんなイメージを持っていると、自己暗示の効果が働いて、本当にそのような歳のとり方をしてしまう。
米国イェール大学のベッカ・レヴィは、平均68.54歳の52名を10年間にわたって調べた。調査開始の1年目に「お年寄りは記憶力が落ちると思うか?」など、加齢にどれくらいネガティブな思い込みを持っているのかを聞いた。それから毎年、核磁気共鳴画像法(MRI)という脳を調べる装置で、記憶を司る海馬の堆積を調べると、「お年寄りは記憶力が落ちる」と思っている人ほど、海馬の体積が減少していくことがわかった。ネガティブな思い込みは、本当にその通りになってしまうということだ。
年齢に関わらず、人間関係の悩みは皆が抱えてること。ただ、お年寄りは気の合う人としか付き合わないので、人付き合いのストレスはなくなる。なので、お年寄りのほうが若者よりも人生満足度は高い傾向にあるのだ。
米国スタンフォード大学のヘレン・ファンは、地元の電話帳でランダムで電話をかけ、中央値によって淮海ひと206名(平均30.1歳)と、年配者196名(平均62.0歳)にわけて、どれくらい気の合う人と付き合っているのかを比較してみた結果、年配者のほうが気の合う人とだけ付き合うという傾向が明らかになっている。
若いうちは人脈を広げるためにも、積極的にいろいろな人と付き合ってみるのもいいが、定年を迎え、ある程度の年齢になったら、付き合う人間を絞り込むことを考えるといい。嫌いな人とはなるべく付き合わないようにして、一緒にいて楽しい人とだけ付き合うことで、ストレスの大きな原因であった人間関係も解決するのだ。
老後に不安を抱えている人は多いだろう。けれど、歳をとっても幸せに生きていくことはいくらでも可能だ。そのためにも本書で紹介されている「ポジティブ心理学」や「老年心理学」と呼ばれている心理テクニックを活用してみてはどうだろう。歳を重ねることを楽しむヒントが見つかるはずだ。
(T ・N/新刊JP編集部)
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