真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

access_time create folderエンタメ

真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

真心ブラザーズが、2024年2月24日(土)東京・EX THEATER ROPPONGIにて、ライヴ・ツアー〈グレート CK Jr.〉東京公演を開催。代表曲、レア曲を織り交ぜた22曲でツアーファイナルに相応しい熱演を見せて満員の観客を魅了した。

このツアーは、YO-KING(Vo.Gt)と桜井秀俊(Gt. Vo)の2人に加えて、バンド・メンバーにサンコンJr.(Dr/ ウルフルズ)、グレートマエカワ(Ba/ フラワーカンパニーズ )を迎えた4人編成の“CRAZY BUFFALOES”で、2023年12月15日(金)神奈川・SUPERNOVA KAWASAKIを皮切りに全国11か所を回ってきたもの。“同世代のコクのあるグルーヴをお届けします!”との謳い文句に胸をときめかせているであろう、多くのファンが六本木に集結してチケットはソールドアウトとなった。

真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

今回のツアーでは、コラージュアーティスト/グラフィックデザイナーとして活躍する河村康輔氏デザインによる謎の覆面レスラー”グレート CK Jr.”をレイアウトしたTシャツなどのアイテムが販売されていることもあり、オープニングではかつてプロレス中継の「次期シリーズ予告」BGMに使用されていたザ・コモドアーズ「マシンガン」が流れる中、華やかなライティングに照らされて選手入場さながらにメンバーが登場。桜井、グレート、サンコンJr.がセッティングすると、暗闇の中から桜井がギターをかき鳴らし、サンコンJr.の「1、2、3!」のカウントから演奏が始まると、YO-KINGが両手を頭上で叩きながらステージに上がった。マイクスタンドに向かい歌い出したのは、「サティスファクション」。4人編成による骨太なアレンジが新鮮だ。〈不満はダサイ〉と言い切る歌詞に90年代から変わらない頼もしさを感じさせるYO-KINGのボーカルと、桜井とグレートによるコーラスが交互に繰り返されて、観客は体を揺らしながら両手を叩いてバンドに応える。続いて桜井のリフから「ふっきれてる」へ。激しく点滅する照明の下、ギターを弾きながらクールに歌うYO-KING。さらにどっしりと泥臭いアレンジによる「きいてる奴らがバカだから」へと続く。間奏では桜井とYO-KINGによるギターの掛け合いも披露。2曲続いた緊張感のあるシニカルな歌と演奏は、どこか寄せ付けないような雰囲気すらあった。

真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

「〈グレート CK Jr.〉最終日にみなさんようこそ!ソールドアウト、ありがとう!人気出てます!」と、MCではいつものYO-KING節で和ませると、「どうも!はりきっていきまーす!」(グレート)「俺もはりきってまーす!」(サンコンJr.)「俺もはりきってます!」(YO-KING)「僕だって!」(桜井)と、全員が意気込みを表明して会場は大喝采となった。爽やかなポップロック「放課後ギター」から、強烈なビートと賑やかなコーラスで客席を巻き込んだ「20の夏」の終盤では、桜井が激しくギターをかき鳴らして4人が一体となり加速してエンディングへ向かうバンドの瞬発力のあるアンサンブルを見せる。対照的にフォーキーな「不良」は、〈ぼくらはもっと正しくなくていいよ〉と、誰もが感じているであろうフレーズが心に沁みた。YO-KINGのギターから、最新アルバム『TODAY』の幕を明ける「一触即発」へ。緊張と緩和を織り交ぜた選曲の中に、しっかり現代社会の空気感を切り取ったメッセージのあるライヴは、真心ブラザーズの真骨頂だ。

真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

「どうもありがとう!いやあ、絶好調すぎてすいません(笑)。今年、おかげさまで35周年ということで。35年間、ずっと上手くなってるからね?どうなっちゃうんだろう」と、自分が怖いとばかりに語るYO-KING。演奏中、自ら「かっこいい~」と叫んでいたそうで、それに気づいたグレートは「“良かった、オフマイクで”と思った」そうだ。桜井曰く、CRAZY BUFFALOESとしてライヴを重ねる度にグルーヴが良くなると共に、「MCにおけるYO-KINGさんのフォローまでグレートにやってもらうようになった」とのこと。YO-KINGは、「ありがたい!両サイドからワッショイワッショイされて。お神輿乗るの大好きだから。それで振り返ったらサンコンが良い笑顔で返してくれるからさ。すごいバンドです」と、バンドについても自画自賛。「じゃあこのすごいバンドで、懐かしい曲を」と、初期代表曲の1つ「荒川土手」を軽快に歌い上げると、桜井がボーカルを取る「風が吹く時」へと、90年リリースの2ndアルバム『勝訴』からの曲が続けて披露された。2000年代の“別れの三部作”の続編的な「君がすべてだったよ」では、躍動感溢れる演奏と切ないメロディのコントラストが胸に響く。ミディアムテンポの「丘の上」でさらに自問自答するように歌い上げると、ストレートなロックチューン「かっこいいだろ」では、あっけらかんとした悩みなき歌で楽しませた。曲が終わると客席から飛んだ「かっこいいー!」の声援に「かっこいいよねえ!?」と応えて絶好調なステージが続く。

真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

MCを挟んで始まったのは「月面」。ダブ的なリバーブがかかったサンコンJr.のドラム、スペーシーな桜井のスライドギター、空間を縫うグレートのベース、YO-KINGのボーカルとハープで別世界に誘われる、レアな1曲となっていた。静まり返った会場に流れたギターのイントロは吉田拓郎のカバー「流星」。淡々とした演奏が熱唱を際立たせる。歌の世界にグッと引き込まれる名演だった。そんなしっとりとした空気感をかき消すように〈だるいかんじ〉と吐き出すように歌い出すYO-KING。すかさず始まった「スピード」で雰囲気は一変。桜井とグレートが向かい合って音をぶつけ合う。そのまま「アーカイビズム」へと雪崩込み、尖ったサウンドに乗って高速ラップでアジテーションするYO-KING。フォークソングからミクスチャーロックへと続いたこのスロットで感情を思いっきり揺さぶられて、真心がいかにオルタナティブなアーティストであるかを思い知らされた。

真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

「Oh, yeahー!!」と繰り返しコール&レスポンスしてからの「Let’s感動」では、緩やかなグルーヴを聴かせる4人。ギター、ベースがユニゾンのイントロを繰り出して「ENDLESS SUMMER NUDE」が始まると、ステージ前に乗り出して歌うYO-KINGに右手を振って応えるオーディエンス。間奏ではグレートのベースソロから桜井と再びユニゾンして最後のサビへと向かい、興奮を煽る。続く「愛」は紫のライティングも妖しくねっとりとヘヴィなファンクとなっていた。「おかげで最高のツアーになりました!もう一丁、ロックンロールやっていいですか!?」と桜井が呼び掛けて始まったのは「空にまいあがれ」。力強いロックンロールアレンジで大合唱となった。

真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

ツアーアイテムに身を包んでアンコールのステージに登場すると、桜井がフィードバックを轟かせてからの豪快なストロークで「拝啓、ジョン・レノン」が飛び出した。オリジナルの疾走感を残しつつも重たい16ビートで聴かせる、この4人ならではの鬼気迫る演奏が凄まじい。そんな白熱したパフォーマンスが繰り広げられる中、桜井が客席に向かいギターソロを弾いている後方でYO-KINGは着ていたジャケットを脱いで丁寧に畳むと、同じくツアーグッズのバッグにしまい肩にかけてポーズを取る余裕っぷり。曲が終わるとグレートが思わず、「真心ブラザーズ、ヤバイね!ギターソロがギンギンなところでリードボーカリストは服を畳んでいましたよ!?」と叫んで、会場は大爆笑。「思いついちゃったから(笑)きちんと畳んだらウケるんじゃないかなと思って」(YO-KING)「私の見せ場なんですから!どうも空気がおかしいなと思った(笑)」(桜井)と軽妙なやり取りを繰り広げて、ツアーファイナルの最後に相応しく会場全体が笑顔に包まれた。今後の活動についての発表では、恒例のMB’sでのライヴが今年は4月28日(日)LINE CUBE SHIBUYAで行われること、弾き語りライブ・ツアー〈真心道中歌栗毛2024〉が開催されることが告知された。最後に歌われたのは「明日はどっちだ!」。何度もコール&レスポンスして会場が1つになる盛り上がりとなって、ツアーファイナルを締めくくった。35周年の貫禄と余裕、遊び心でおおいに楽しませてくれた真心ブラザーズ。2024年も絶好調のまま突っ走っていくに違いない。

真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート

取材・文:岡本貴之
Photo:石川雄斗

ライヴ情報

真心ブラザーズ ライヴ・ツアー〈グレート CK Jr.〉
2024年2月24日(土) 東京・EX THEATER ROPPONGI
〈セットリスト〉
1. サティスファクション
2. ふっきれてる
3. きいてる奴らがバカだから
4. 放課後ギター
5. 20の夏
6. 不良
7. 一触即発
8. 荒川土手
9. 風が吹く時
10. 君がすべてだったよ
11. 丘の上
12. かっこいいだろ
13. 月面
14. 流星(吉田拓郎カバー)
15. スピード
16. アーカイビズム
17. Let’s感動
18. ENDLESS SUMMER NUDE
19. 愛
20. 空にまいあがれ
EN1. 拝啓、ジョン・レノン
EN2. 明日はどっちだ!

ツアー情報

〈真心ブラザーズ 弾き語りライブ・ツアー 『真心道中歌栗毛2024』開催決定〉
真心ブラザーズの原点、弾き語りでのライブ・ツアーが決定。6月15日大阪・あべのハルカス近鉄アート館を皮切りに、8月9日東京・なかのZEROまで全国15カ所を回る。本ツアーは、毎度風変りな会場での公演が話題となっているが、今回も能楽堂や美術館、中国式庭園など、ロケーションを含めての旅を是非お楽しみいただきたい。真心ブラザーズの会員サイトでは、2月25日10:00より各公演のチケット先行予約がスタートしている。
https://smam.jp/s/sma01/artist/68
受付期間:2024年2月25(日)10:00~3月3日(日)23:59

〈真心ブラザーズ 弾き語りライブ・ツアー『真心道中歌栗毛 2024』〉
2024年6月15日(土) 
大阪・近鉄アート館
開場17:00/開演17:30

2024年6月16日(日) 
京都・金剛能楽堂 
開場16:00/開演16:30

2024年6月22日(土) 
愛媛・松山 Monk
開場16:30/開演17:00

2024年6月23日(日) 
香川・高松市美術館 講堂
開場15:30/開演16:00

2024年6月28日(金) 
愛知・名古屋 千種文化小劇場
開場18:30/開演19:00

2024年7月6日(土) 
沖縄・福州園
開場18:15/開演19:00

2024年7月12日(金) 
埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
開場18:15/開演18:45

2024年7月14日(日) 
福岡・福岡市美術館 ミュージアムホール
開場16:30/開演17:00

2024年7月15日(月・祝) 
熊本・熊本白川教会
開場15:30/開演16:00

2024年7月20日(土) 
山形・文翔館 議場ホール
開場17:00/開演17:30

2024年7月21日(日) 
宮城・仙台 能-Box
開場16:00/開演16:30

2024年7月28日(日) 
北海道・EZOHUB SAPPORO
開場16:00/開演16:30

2024年8月3日(土) 
広島・日本福音ルーテル広島教会
開場16:30/開演17:00

2024年8月4日(日) 
山口・川棚の杜 コルトーホール
開場15:30/開演16:00

2024年8月9日(金) 
東京・なかのZERO 小ホール
開場18:30/開演19:00

チケット料金:前売¥6,000(税込)
※お一人様4枚まで
※未就学児童入場不可
チケット一般発売:3/30(土)10:00

アーティスト情報

・オフィシャル・ウェブサイト
https://www.magokorobros.com
・X
https://twitter.com/magokoro_bros
・YO-KING
https://www.instagram.com/yokinghonnin
・桜井秀俊
https://www.instagram.com/sakurai.hidetoshi/

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 真心ブラザーズ、〈グレート CK Jr.〉ツアーファイナルで見せた “35年目の絶好調”―OTOTOYライヴレポート
access_time create folderエンタメ
local_offer

OTOTOY

ハイレゾ音楽配信/メディア・サイト。記事も読めるようになったアプリもよろしくどうぞ。

ウェブサイト: http://ototoy.jp/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。