春闘シーズンを目前に控え、政府の強い要望により従業員の賃上げを行うといった機運が大企業を中心に高まっています。反面、中小企業にとっては、内部留保を多く抱える大企業とは事情が異なり、賃上げが難しく、戦々恐々としている経営者も少なくないでしょう。
そんな中、『#第3の賃上げアクション』なるプロジェクトが2024年2月、株式会社エデンレッドジャパン、フリー株式会社を発起人として立ち上がりました。春闘に向け、賃上げの切り札となる「#第3の賃上げアクション」とは、どのようなプロジェクトなのでしょうか。
福利厚生サービスを活用して従業員の実質手取りを増やす
東京商工リサーチの調査によると、2024年の賃上げが前年を超えそうと回答した企業は1割程度で、「賃上げできそうにない」と回答した中小企業は大企業の約2倍にも上ります。その要因として、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した物価上昇や、原材料費の高騰などが挙げられますが、そもそも日本社会が抱える賃金据え置きの企業体質がバブル崩壊以降、ずっと続いている状況が常態化しているともいえます。
そこで、特に中小企業にとって賃上げの“秘策”ともいうべきアクションが「福利厚生の活用」になるといいます。
なぜ福利厚生の活用が賃上げの秘策となるのか。今回、「#第3の賃上げアクション」プロジェクトを立ち上げた発起人の2社、エデンレッドジャパンとfreeeによると、一定の要件のもとで支給された福利厚生費は非課税で処理でき、従業員の手取りを実質増やすことができるのと同時に、企業の負担軽減にもつながると強調します。
エデンレッドジャパンの天野総太郎代表取締役社長は「第3の賃上げアクションとして福利厚生の活用を導入することで、従業員は手取りがアップし、経営者は税負担を抑えることができる。福利厚生を賢く、上手に活用して従業員の賃上げを実現すれば、賃金よりも強いメッセージ性となり、定着率アップも見込める」と説明しました。
またfreeeのHR事業部 社宅事業責任者・相澤茂さんは、同社が福利厚生として展開する「借り上げ社宅サービス」について「転職経験者が入社の決定に大きく影響した労働条件以外の条件で、福利厚生が整っていることを挙げている。特に20、30代に顕著。賃貸物件を法人契約で借り、従業員に貸し出すといったシステムで、可処分所得を増やすことができる。スモールビジネスで働く人が、こういった待遇を理由に諦めることがないよう、経営者の皆さんに参画していただきたい」とコメントしました。
プロジェクト賛同各社も「覚悟を持って」賃上げ実現に対応していく決意
「#第3の賃上げアクション」プロジェクトのローンチ発表会では、引き続き同サービスに賛同した3社の担当者がトークセッションに参加しました。プロジェクト参画について抱負を聞かれた3名は、それぞれ「希望を持とう」(アイシーティーリンク株式会社 取締役副社長 吉野真吾氏)、「覚悟」(株式会社ハートコーポレーション 常務取締役 岡嵜将志氏)、「日本の“モメンタム”を上げる」(株式会社YOUTRUST 経営企画部人事労務Gリーダー 加藤マキ氏)と回答。それぞれ「#第3の賃上げアクション」への期待感を口にしました。
福利厚生を活用することで、従業員満足度の向上をはかりつつ、実質的な賃上げと負担軽減を行える「#第3の賃上げアクション」。今後ますます戦略的に福利厚生を導入することは、企業にとって重要な施策となるのかもしれません。