タクシー業界のハラスメント問題をAIで解決。Uberと競合するブラジル発の配車アプリ「99」の取り組み
ブラジルでは、サンパウロをはじめとする都市部の人口過密が課題となっている。近年、同国では公共交通手段を補う“配車サービス”が登場。とくにUberの配車サービスは、これまでの「タクシーは高いサービス」という印象を一新するものとして、多くの人々に愛用されている。
そんななか、2012年にブラジルで設立された99(ノビノビ)は、Uberに対抗する配車サービス「99」を展開。2018年には中国の大手ライドシェア企業DiDi Chuxingに買収され、ブラジル初のユニコーン企業となった。
タクシーの手配・決済を完結できるアプリ「99」
99は、数回タップするだけで車やタクシーの手配、現金やアプリ決済などの支払い方法の決定を完結できる配車アプリ。
使い方は簡単で、アプリを開いてカテゴリー(タクシーやバイク、配送など)や目的地を選択するだけ。乗客に最適なドライバーを見つけるテクノロジーにより、数分で車が玄関先に到着する。
アプリ内の新機能チャットを使用して、ドライバーとテキストまたは音声で無料で会話することも可能だ。
なお、99のパートナードライバーは厳しい選考プロセスを通過した人物で、対面およびオンラインのトレーニングを受けている。そのほか99ではリアルタイム監視、車両の点検整備、24時間サポートなども行い、あらゆる旅行で乗客の安全を確保する。
クーポンの配布、キャッシュバックキャンペーンも実施
「コストパフォーマンスの高さ」も、99の強みの1つだ。同アプリでは車をリクエストする前に必ず支払い額の見積りを提供する。
乗客はさまざまなカテゴリの中から、節約や品質に妥協することなく、予算やニーズに最も適したカテゴリを選択することが可能だ。
そのほか、99では割引クーポンの配布や、99アプリ内のデジタルウォレット「99ペイ」によるキャッシュバックといったお得なサービスも実施している。
こうした取り組みは、従来の「タクシーサービスは高い」という常識を覆すものといえるだろう。
AIを活用しハラスメント事件を削減
近年、タクシー業界ではハラスメント問題の解決に向け、さまざまな取り組みを行っている。そんななか99はAIを活用し、2020年7月から2021年7月にかけてハラスメント事件を13%削減した。
同社が実装したPythia、Athena、ArtemisなどのAIテクノロジーは、攻撃者の報告とブロックを容易にするほか、リスクの高い状況にあるユーザーを特定して事件を防止するというもの。Pythiaは危険な状況にある乗客の電話を、より質の高いサービスを提供するドライバーまたは女性ドライバーのみに振り向ける。
一方Athenaは、乗客が乗車する前にプロ意識と敬意を維持することの重要性を説いたメッセージをドライバーに送信。乗車終了時に、Artemisがコメントに残されたハラスメントに関連する可能性のある単語や文脈を自動的に追跡および特定し、加害者を追放する。
コストパフォーマンスや利便性だけでなく、安全性の高さが評価されている99の影響は、ブラジル国内に留まらず、世界のスタートアップ業界からも注目されている。今後も99の成長と革新は、都市移動の未来を形作る上で重要な役割を果たすだろう。
参考・引用元:
99 公式サイト
99 App Store/Google Play
文・Alley(有吉隆浩)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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