テラシマユウカ(GANG PARADE)が映画『コット、はじまりの夏』を語る「すごく透明感のある物語」「希望と想像が膨れ上がります」
2023年の第95回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートをはじめ、第72回ベルリン国際映画祭 グランプリ受賞(国際ジェネレーション部門/Kplus)ほか世界の映画賞で42受賞、60超ノミネートの快挙を果たした「The Quiet Girl(英題)」が、『コット、はじまりの夏』として1月26日(金)より全国公開となります。
1981年、夏のアイルランドを舞台に、9歳の少女・コットが親戚夫婦と過ごしたひと夏限りの思い出と、3人の愛おしい絆を描いた本作は、海外で「この数年で最も胸を打つ映画」(Rolling Stone)、「映像は歌うように美しいだけでなく、息を吹き込んでいる」(New Statesman)、「なんとも優しい宝石のような映画。絶妙な小津風の映像と演技に感動し最後に涙する」(マーク・カズンズ/映画監督)と、海外で多くの映画人や映画ファンを魅了。
1月11日(木)には、る先行上映イベントを開催。13人組アイドルグループGANG PARADEのメンバーで、映画好きとして知られるテラシマユウカさんが登壇し、主人公コットと親戚夫婦の3人が過ごした愛おしい時間について、また主人公の魅力など、本作の感動ポイントをたっぷりと語りました。
テラシマさんは、本作について「すごく透明感のある物語。素朴だけど、絵本を読んでいるかのような、丁寧に丁寧にページをめくっているような感覚」と表現。また、本作が初演技かつ映画初出演ながら、史上最年少の12歳でアイランドのアカデミー賞と呼ばれるIFTA賞(アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞)主演女優賞を獲得したコット役のキャサリン・クリンチについて、「本当にすごかったです!全然初演技には見えなくて、この年頃の女の子は1日ずつどんどん大人になっていくけど、そういう表現も上手で、はじめは口数が少なかったのが心境も変化していくうちに表情もだんだん明るくなっていくのを繊細に表現していて」と絶賛!
コットと親戚夫婦、ひと夏の愛おしい絆について
自分を表現するのが苦手なコットと、彼女を預かることになった親戚のキンセラ夫婦3人が絆を深めていく本作。またコットがキンセラ夫婦から愛情をもらう描写について「お風呂に入れてもらったり、髪をとかしてもらったり、そういう小さな一つも丁寧に描かれていて、コットの心がどんどん温まっていく過程が愛おしいなと思いました」としみじみと語る。続けて「キンセラ家で描かれる生活は自分から見たら普通の家庭だけど、コットにとっては全部が初めての経験。自分が子ども時代に当たり前と思っていたことは本当に特別なものだったんだなと思いました」と振り返ります。
テラシマユウカがお気に入りのシーン
本作のお気に入りのシーンについては、「リビングでの食事のシーン。構図がフェルメールっぽい感じがしたのもよかったです。手前にドアやカーテンがあって、テーブルの奥にある窓から光が射しこんでというのが印象的に何度も出てきて、すごくいいなと思いました」と挙げる。さらに「牛の搾乳を手伝うコットが『人間が粉ミルクを飲んで、牛が牛乳を飲めばいいのに』というセリフは大人にはない視点。子どもならではの発想に胸を掴まれました!」と語る。また本作はアイルランドの作家クレア・キーガンの短編小説「Foster」を映画化。小説でも描かれる田舎の農場や景色も見どころというテラシマは「ずっと映像がきれいで!緑の青々とした感じや風の音も心地よくて、アイルランドのならではの風景が本当に美しかったです」とアピール。
スタッフから認められたことが今も残っている、テラシマ自身の経験
本作のコルム・バレード監督は「コットが自分を一人の人間として認められたのはあの夏が初めて。その実感で彼女は自分自身を大切にし、新しい生き方を信じることができた」と語っている。テラシマも自分を認めてもらった経験を挙げ、「GANG PARADEというアイドルになった最初のころ、お客さんの前で自分自身を表現するのに、コンプレックスが多くて自分の良さを見つけられなかった。そんなときにスタッフから『あなたはここが素敵だから』と言ってもらえた。自分が欠点だと思っていた部分を長所と言ってもらえて、それはすごく残っています」と振り返った。さらに所属事務所のWACKについて、「割と変な会社なのでそこまで褒めて伸ばす、という感じではないのですが、こうして素敵なスタッフもいて恵まれていますね」と笑顔。
大切に愛されたコットコットがこの後どう生きていくのか、すごくワクワクする物語
コットがキンセラ夫婦と絆を深めたひと夏の経験について、自身の経験と照らしつつ「大人になるほど自分が変われないというジレンマも感じているんですが、コットは9歳で、貴重な夏休みに自分を認めてもらって愛されるという経験をしました。切なくもあるのですが、ここから始まるコットの人生がどうなっていくのか、すごくワクワクする物語だなと思います」とし、さらに「夏が終われる寂しさもあるのですが、3人で一緒に過ごして大切にされたことでコットは自分の気持ちや意思を表現できるようになった。コットがこの後どう生きていくのか、希望と想像が膨れ上がります」と、未来のコットへも想いを馳せていた。最後に「コットの繊細な表情の変化もすごく素敵なので何度も観てください」と伝え、イベントは終了。会場からは大きな拍手が贈られました。
<STORY>
1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす9歳の少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを、親戚夫婦のもとで過ごすことに。優しく迎え入れるアイリンに髪をとかしてもらったり、口下手で不器用なショーンと子牛の世話をしたり。2人の温かな愛情をたっぷりと受けたコットは、今まで経験したことのなかった生きる喜びに包まれ、自分自身を解放していく。いつしか本当の家族のようにかけがえのない時間を重ねていた3人だったが、やがて夏が終わりに近づき、コットの帰宅の日も迫っていた――。
【監督・脚本】コルム・バレード 【プロデューサー】クリオナ・ニ・クルーリー 【撮影】ケイト・マッカラ 【音楽】スティーブン・レニックス
【出演】キャリー・クロウリー、アンドリュー・ベネット、キャサリン・クリンチ、マイケル・パトリック
【原題】「An Cailín Ciúin」/英題:「The Quiet Girl」 【原作】クレア・キーガン「Foster」|2022年|アイルランド|アイルランド語、英語
カラー|スタンダード|5.1ch|95分|字幕:北村広子|後援:駐日アイルランド大使館|G|配給・宣伝:フラッグ
(C)Inscéal 2022
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