絶品ご当地鍋5選。鍋好きフードライター・白央篤司がおすすめ!

絶品ご当地鍋5選。鍋好きフードライター・白央篤司がおすすめ!

冬になると食べたくなる料理の代表格、鍋。家で楽しむのもいいけれど、日本にはそこでしか食べられない郷土の鍋、旬の味がたくさんあります。ローカルフードを愛するライターとして活動してきました私、白央篤司が「旅して食べたいご当地の鍋」5つを選びました。食いしん坊のあなた、食旅に出ませんか?

【目次】

①かっけ(青森県)

青森県のかっけ(写真提供:青森のうまいものたち)

写真提供:青森のうまいものたち

「かっけ」は青森県の八戸市を旅した時に出合いました。そば粉や小麦粉でつくった生地を三角形に切り、昆布や煮干しのだしで軽く煮て、にんにく味噌でいただくというシンプル極まりない鍋ものですが、蕎麦の香りがよく、にんにく味噌と合わさった時に生まれる素朴で力強いおいしさが忘れられません。

青森県の八戸周辺は昔からよく蕎麦が食べられてきた地域。不思議と食べ飽きず、日本酒にもよく合うんです。冬の青森で「かっけ」をつまみにお燗酒を楽しむ……なんて時間の楽しかったこと!

お店によってはねぎ味噌、くるみを砕いて合わせた味噌などを使うこともあり、また大根やにんじん、白菜などの野菜や豆腐も一緒に煮られます。印象的な名前の由来は説もさまざまですが、蕎麦生地の「かけら」から来ている、なんて説も。和食店や小料理店、居酒屋さんなどで食べられるので、ぜひチェックしてみてください。

②だまこ鍋(秋田県)

秋田の鍋といえばきりたんぽ鍋が有名ですが、より気軽に県民が楽しんでいるのがこちらの「だまこ鍋」。鶏肉、まいたけ、ささがきごぼう、せり、ねぎを入れて煮たスープに、ごはんを軽くつぶして丸めたものを入れた醤油仕立てのお鍋です。

まいたけ、ごぼう、せりという香りのしっかりある食材をうまみたっぷりの鶏だしで煮た鍋つゆは、日本の鍋ものでもトップクラスのおいしさと私は思っています。そのおいしいおつゆを存分に吸ったごはん玉がまたうまいんだ……。秋は新米でつくられることが多いので、味わいもまた格別ですよ。ちなみに「だまこ」とは玉っこ、ごはんを丸めた玉から来ているようです。だまこ鍋、秋田の和食店や居酒屋でチェックしてみてください!

③あんこう鍋(福島県)

福島県のあんこう鍋(写真提供:(一社)いわき観光まちづくりビューロー)

写真提供:(一社)いわき観光まちづくりビューロー

福島県のいわき市といえば新鮮な魚介が楽しめる地として名高いところ。魚を使った名物や特産品もいろいろあるんですが、いわきで冬に鍋といえば「あんこう鍋」なんです。あんこうって見かけはちょっと強烈ですが、実際はとても繊細な味わい。ぷりっとした身質は柔らかくて弾力に富み、上品なうまみが楽しめますよ。

また皮やひれ、えらといった部分に独特の味わいと食感があり、鍋の具になるのもあんこうならではの面白さ。一度経験するとクセになる人、多いんです。あんきも、つまり肝はクリーミーなおいしさでファンも多いですね。それらを煮込んでつくるあんこう鍋、シメの雑炊がまた最高なんです……! 味つけはお店によって味噌味のところあり、醤油味のところあり。旅館から居酒屋まで、市内では広く楽しまれています。

④ほうとう(山梨県)

「ほうとう」とは小麦粉を練り平たい麺状に切ったものを具材とともに味噌仕立ての汁で煮込んだ鍋のことで、山梨県内では昔から各家庭でよくつくられてきました。現在では専門店が県内各地にあり、趣向をこらしたほうとうが観光客に人気です。

なんといっても、おすすめはかぼちゃ入り。季節の野菜ときのこなどから出たうまみたっぷりの味噌味のおつゆに、煮えたかぼちゃがほどよいとろみを加え、それらをまとったほうとう麺が実においしい。昨今では小麦粉の香りがしっかり楽しめ、弾力もいい、いわば生パスタ的なほうとう麺を楽しめるお店も増えています。アレンジもいろいろ、牡蠣やイノシシ肉などを入れる進化系のほうとうもあるんですよ。お酒が好きな方は山梨産のワインと一緒に楽しんでほしい。日本ワインって、和食によく合うんです。

⑤越前がに鍋(福井県)

福井県の越前がに鍋(写真提供:越前町観光連盟)

越前町の越前漁港は、越前がにの水揚げ量No.1。
写真提供:越前町観光連盟

冬の北陸はおいしい魚介類の宝庫なんですが、王者といえばやっぱりかにではないでしょうか。福井県沖、寒流と暖流がぶつかる厳しい環境で育つ越前がには、身がしまって濃厚なうまみに富んでいます。越前がにに余計な味つけや工夫は不要! シンプルにだしで煮た「越前がに鍋」で、そのおいしさを存分に味わいたいものです。

また、生の身をだしでしゃぶしゃぶするバージョンの鍋も最高においしい。かに味噌入りのだしでしゃぶしゃぶを楽しめる店もあり、これまた至高のおいしさでした。冷凍ものでは味わえない、現地ならではの美味といえましょう。シメの雑炊は奪い合いになること間違いなし。福井の冬の宿でかに鍋を楽しんで、気持ちよく酔って、そのまま布団にイン……なんて贅沢、一生に一度は楽しみたいものですね。

旅先で味わう鍋って格別のおいしさ。寒い外から店に入って、鍋の湯気にあたると心も体もホッとします。郷土の味とは、その地の空気や雰囲気と一緒に味わってこそ神髄を体験できるものと思っています。ぜひ旅に出て、日本ならではのおいしさを体験してください!

この記事を執筆された白央さんが、お鍋に関する本を出版! 現代の日本に暮らす人々の「何気ない、日常の鍋」と個人史を追った本です。おいしいハレの鍋とはまた別の、リアルな生活における鍋の形の18編。ぜひ、お手に取ってみてください。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334101015

掲載情報は2023年12月26日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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