“若い女性のやせ”と“小中学生の栄養不足”をテーマに「Jミルク」がメディアミルクセミナーを開催

“若い女性のやせ”と“小中学生の栄養不足”をテーマに「Jミルク」がメディアミルクセミナーを開催

一般社団法人 Jミルクは、現代の日本人が抱える低栄養問題として「若い女性のやせ」「小中学生の栄養不足」をテーマに、女子栄養大学 栄養学部 教授の上西一弘先生を招き、第55回メディアミルクセミナーを都内で開催しました。

 

Jミルクが第55回メディアミルクセミナーを開催!

 

若年女性・小中学生の栄養不足が深刻化

若年女性の「やせ」は、近年研究・報道されるなど注目されている現代の日本人が抱える健康課題の1つ。

政府が展開する、21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」(第三次)でも「若年女性のやせ(BMI18.5未満)の減少」が目標の1つに掲げられています。

若い女性のやせ問題は過度なダイエットなどによる「低栄養」に起因するものと考えられており、これが「骨・筋肉量の減少」「貧血」といったリスクに加え、出産した子供が「低出生体重児(旧:未熟児)」となる割合が高くなり、次世代にも健康上の影響が出てしまう可能性があるのだそう。

また小中学生の栄養不足問題についても近年新たな調査研究結果が報告されており、土日や長期休暇など「学校給食が出ない休日」などにカルシウム不足となっている傾向が強いことが指摘されています。

骨の中にあるカルシウムを含めたミネラル量を指す「骨量」は、20代にピークを迎えた後はどんどん低下していくため、青少年期のカルシウム不足は成年期以降、特に高齢世代となった時に「骨密度の不足」による骨粗鬆症・骨折といったリスクの要因となり得るのだとか。

Jミルクは第55回メディアミルクセミナーを都内で開催。これらの最新実態や牛乳・乳製品の役割について解説を行いました。

 

若年女性のやせ問題

「第55回メディアミルクセミナー」は牛乳や乳製品が持つ価値などを、社会的関心を背景となる基礎的な知識なども踏まえ、分かりやすく伝えるべく開催される報道関係者向けの勉強会で、2002年より開催されています。

本セミナーに登壇したJミルク 専務理事を務める内橋政敏さんは、

「近年“若い女性のやせ問題”は、日本人にとって解決するべき問題です。高齢者の低栄養問題と並ぶ栄養課題として、政府でも重要視されています。“小中学生の栄養不足”についても、給食の無い日の牛乳摂取量とカルシウム不足の関連が明らかになってきています。」

と、セミナーのテーマとなっている課題について言及。Jミルクではファクトブックの制作や「土日ミルク」等の啓発活動を行っており、課題解決のため牛乳や乳製品について改めて注目して欲しいとコメントしました。

その後上西先生が登壇すると、若年女性のやせ問題について「過度なダイエット」などの痩身願望が原因となっている可能性があると指摘します。

「現代は飽食の時代で、一時期は日本で“メタボ”つまり過栄養が問題となっていました。現代日本ではこれに加えて“低栄養”の方も増加傾向にあるんです。低栄養ということはエネルギーが不足してしまっている状態で、それによってその他の栄養も不足することに。例えばカルシウム不足になれば、将来的に骨粗鬆症などに繋がってしまう可能性があります。」

と、低栄養について言及。

また、エネルギーはある程度摂れているものの、その他の栄養素が不足している状態を指す「新型栄養失調」という新しい言葉・健康課題が生まれていることも教えてくれました。

20〜30代女性のBMI18.5未満の割合は年々高まっており、この割合を15%未満にしようと健康日本21(第三次)では目標としています。

しかし現代女性のエネルギー摂取量は年々減少傾向にあり、20〜29歳までの若年女性のエネルギー摂取量は、1995年と2019年を比較すると200〜250kcalほど減少しています。

さらに、カルシウム・ビタミンDの摂取量もエネルギー摂取量と比例するように減少傾向にあり、平均摂取量に全く届いていないと説明。

「カルシウムの吸収量は大体25%程度。カルシウムの吸収率を高めるためにはビタミンDが必要なんですが、そのビタミンDも8.5μg(マイクログラム)が目安量のところ、2019年時点で4.5μgしか取れていない。目安の半分程度しか摂取出来ていないんです。」

と驚きのデータを公開。

ビタミンDは紫外線に当たることで体内で生成されるほか、魚から主に摂れるビタミン。しかし現代女性の魚離れ、そして紫外線対策の徹底によってビタミンDの生成量が圧倒的に不足しているのだと述べました。

これによって、表面上は健康そうでも50〜60年後に骨粗鬆症などになりやすくなってしまう可能性があると、上西先生は予測グラフを見せ警鐘を鳴らします。

「私たちの骨は、20歳くらいに最大骨量となります。しかし(このデータに当てはまる)彼女たちは、本来達成すべき最大値を達成出来ず最大骨量を迎えることに。そうすると、そのツケは50〜60年後に回ってくることになってしまうんです。」

とコメントしました。

さらに、生まれてくる子供の体重が2500gを下回ってしまう「低出生体重児」の割合も、昭和50年の約4.5%に比べて、平成17年(2005年)頃にはおよそ倍となる8%にまで増加しており、現在までその数字が続いていることも説明。

低出生体重児は将来的な生活習慣病のリスクが非常に高いことも分かっており、これによって生まれてくる次世代に大きな影響を与えてしまうのだとか。

「低出生体重児が増加した理由として、お母さん(妊婦)が痩せていることや、妊娠中の体重増加を抑えていることが原因となっているのかもしれません。」

と説明。

自分の子供を守るためにも、そして自分のためにもしっかりと栄養を摂るべきだと話しました。

 

小中学生の栄養不足も深刻!焦点は「給食の無い日」

続けて小中学生の栄養不足問題に話題は移り、上西先生は学校給食が子供たちの栄養に大きな影響を与えていると話します。

「学校給食を提供する日数は、大体180日程度です。つまり1年のおよそ半分は給食が無い日ということになりますね。実は給食が無い日に、カルシウムの摂取量が不足傾向にあります。これは家庭で牛乳を飲む習慣があまり無いことが原因なんです。」

カルシウムの摂取量は小学校低学年くらいまではそれなりに摂れているものの。男女共に中・高学年を過ぎた辺りから不足気味に。そして高校卒業以降の18〜29歳では、推奨量の約半分程度しか摂れていないという驚きのデータが出ています。

小中学生の牛乳を飲んだ平均回数を調べたデータでは、朝・夕食時に大きな差はないものの「昼食時」に圧倒的な差があることがよく分かります。

確かに昼食の際に牛乳を飲むことは少ない気がする、と思い当たる方は多いでしょう。

学校給食がなければ牛乳を飲む頻度は圧倒的に少なくなり、人によっては全く飲まないという方も多いのではないでしょうか。

子供の時に1年間のおよそ半分は給食に伴って牛乳を飲んでいることになりますが、それでもカルシウム摂取量は推奨量に届いていないのが現実。

学校給食が無くなり、牛乳を飲む頻度が下がってしまう高校生(15歳〜19歳)以降で一気にカルシウム摂取量が減ってしまうのも納得です。

上西先生は、牛乳や乳製品の摂取を推奨するべく「土日ミルク」や「牛乳でスマイルプロジェクト」など様々な情報発信や施策を行い、これらの課題を解決するべくJミルクが活動を行なっているとコメント。

しかし、現代は子供の自主性や自由が尊ばれ、先生が給食を完食させるということも難しい時代となってきたと話します。

また各地域で「学校給食に牛乳は不要」「和食に合わない」として廃止を促す活動が行われている点にも警鐘を鳴らしています。

また「牛乳を飲むと太るのではないか?」という疑問についても、

「牛乳を飲むと太るんじゃ無いか?という声がありますが、女子栄養大学が調査した高校3年生の女子を牛乳摂取量で比較したデータを見ると、牛乳を飲んでいる方はエネルギー摂取量は多いものの、体脂肪率は低くなる傾向にあります。もちろん飲めば飲む程やせていく薬のようなものではありませんが、生活習慣として運動をしたり無駄な食事をしていなかったり、健康度が高かったりと総合的な効果が出ているのではないかと考えています。」

と持論を展開されていました。

 

若い女性のやせ、そして小中学生の栄養不足問題はどちらも必要な栄養素を摂取出来ていないことにより起こります。

カルシウムだけでなくタンパク質やミネラルといった、様々な栄養を補うことが出来る牛乳。「しばらく飲んでないな」と思った方も多いのではないでしょうか。

牛乳を少なくとも毎日1本、そのまま飲むのが苦手な方でも「シチュー」「チーズ」といった調理・加工食品で摂取することでも補えるので、毎日意識的に乳製品を摂るよう心がけましょう。

Jミルク:https://www.j-milk.jp/index.html

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