被曝と再軍備の論理(中部大学教授 武田邦彦)

被曝と再軍備の論理(中部大学教授 武田邦彦)

今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦 (中部大学)』からご寄稿いただきました。

被曝と再軍備の論理(中部大学教授 武田邦彦)

わたしは「日本にアメリカ軍が駐留している日本の現状は認められない。日本は独立したい。それには軍隊がいる」という考えだったが、最近の政府発言などや、低線量被曝に関する指導層の言動などを見ると、日本はまだ軍隊を持つ資格がないと思うようになった。

何かがあると「法令は無視する」という社会では軍隊は危険だ。軍隊を持つためには「非常時でも法令を守る」ということが前提だからだ。明治天皇も国家の危機に瀕しても「国際法は守れ」と命令されておられた。

戦前の「軍部の暴走」というけれど、軍部だけではなく、原発事故と同じように国民もマスコミを凍り付いて、「戦争は良い」と言う以外のことができなくなって暴走した。

2年前に厚労省大臣が「1年1ミリは法令」と言っているのに、今でも福島市危機管理課で「1年1ミリというのは法令ではない」と発言する役人がいる。

朝日新聞は戦争の時には「必要があれば法令は無し」と言い、原発事故が起こると同じ論理を使って世論を誘導した。リサイクルも同じだった。世論が凍り付く社会では軍備は危険だ。

先日、戦後、GHQが焚書した書籍の解説を聞いていたら、江戸時代に海外で「正義のために戦った日本人」を幕府が「外国との関係を配慮して」簡単に切り捨てたという事件を学んだが、日本人は「全体のために個人を切り捨てる」のに痛みを感じないのかとゾッとしたものだ。

最近の裁判はまさに「国民全体に裁判官が良いと思うことなら、個人を不当に罰しても良い」との確信を感じる。

執筆:この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦 (中部大学)』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年5月23日時点のものです。

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