「ryugon(龍言)」新潟の古民家宿に宿泊。雪国を感じる食と街並み
古いまちなみとホテル、建物が好きな偏愛はな子です。
おいしいものを食べて、温泉に浸かって、次の予定を考えず、ひたすらゆっくりしたい……。できれば、自然や素敵な建物もあって、ちょっとお散歩もしてみたい……。そんな欲張りな旅を叶えるべく、新幹線で2時間ちょっと、日本有数の米どころ・新潟県南魚沼市にある宿「ryugon(龍言)」に行ってきました。
東京駅を出発
東京駅から約2時間「ryugon(龍言)」へ
休みの日こそ、時間を気にせず遅くまで寝たい……。しっかりと二度寝をしてから、JR東京駅へ向かいます。東京駅から上越新幹線「とき」に乗って、JR越後湯沢駅へ。車窓から流れる景色をぼーっと見たり、音楽を聞いたりと久々のゆったりとした時間を過ごしていると、あっという間に越後湯沢駅に到着。
越後湯沢駅西口から宿の無料送迎バス(事前予約制)に乗って、宿まで約30分。豊かな田園地帯をゆったりと走り抜けます。
ryugon 1日目
豊かな自然と雪国文化に触れる癒やしの滞在
「ryugon(龍言)」に到着。立派な長屋門をくぐったとたんに広がる別世界。奥に見える坂戸山との調和が取れるよう斜めに設計された玄関。雪に負けないしっかりとした建物と山々の美しさの調和。ため息が出るほど美しい景色に思わずうっとり……。
1万6千坪の広大な敷地内にある建物は、約200年前の庄屋や豪農の館などが移築されたもの。登録有形文化財の母屋は「中門造(ちゅうもんづくり)」と呼ばれる、雪国によくみられる建築だそう。
創業は1969年。「りゅうごん」という名前の由来は、坂戸城の菩提寺であった龍言寺が、現在宿が立つ場所にあったことからだそう。将棋の王座戦が開催されたり、皇族の方も訪れたりする由緒正しい宿「龍言」として長年愛され、2019年に日本一の豪雪地帯の風土を体感してもらうための宿「ryugon」へリニューアル。2020年には、ミシュランガイド新潟でレッドパビリオンを取得しています。
玄関に一歩足を踏み入れ見上げると、大提灯が。創業当時につくられたものを補修して受け継がれているそう。吹き抜けの天井には、太い梁が渡され、伝統的な建築美に心奪われます。
チェックインを済ませ、いざお部屋まで。「人の上に人を寝かせるのは良くない」との教えにより、創業から平屋を守り通した贅沢な空間使い……。あたりを見回すと、ぐっと調光を抑えた照明やインテリアが。ラウンジやダイニングなどは照明デザイナーの手により、日本の伝統家屋に昔から馴染んできたロウソクの明るさに調光されているそう。
本日泊まるお部屋は、長岡にあった米屋敷を移築した建物だそうで、欅(けやき)の木で造られた差鴨居(さしかもい)が特徴的な空間。
このあとの予定を急かされることもない、そんな贅沢な時間に身を置く幸福感。部屋にこもって過ごすだけでなく、ドリンクを片手にラウンジやバーで、中庭を眺めたり、ライブラリーでのんびり読書したり、館内での楽しみ方は自由です。
さっそく散策へ。まず訪れたのは、長屋門を入ってすぐの土間を再現したスペース。地元のおばあちゃんが、夕食の食材を仕込みながら、やさしく「いらっしゃい」と出迎えてくれます。
この日は、夕食のけんちん汁に入れるお麩を調理中。お麩の活用法などについてしばし歓談。予約制で毎日開催されている「土間クッキング」もあるようなので、次回こそは、おばあちゃんの料理の秘訣を習得したいところ。
次は、気になっていたラウンジへ。17時~19時30分はアペリティフ(食前酒)タイム! 地酒や梅酒などを無料で楽しめるので見逃せません。
ドリンク片手に、ライブラリーの本を眺めたり、アウトドアラウンジで坂戸山をぼんやりと眺めたり……。お気に入りのスペースを探すのも楽しいものです。
ryugon 温泉と雪国ガストロノミー
疲れを癒やす温泉と美食で幸せなひととき
夕食前にゆったり温泉へ。六日町温泉は、今から半世紀前に地元の農家の方々の疲れを癒やす温泉として効果が認められ、国民保養温泉地として指定を受けている実力派。
土や漆喰で塗った木造平屋建「土蔵造」をそのまま生かした内湯や、豊かな自然を感じられる露天風呂など、時間を変えて何度も訪れたくなる素敵な温泉。無色透明の柔らかな湯に浸かると、聞こえてくるのは温泉の流れる音と風の音。忙しい日々を忘れてしまうような、ゆったりとした時間が流れます。
温泉のあとは、いよいよお待ちかねのお夕食! ダイニングに足を踏み入れると、太い梁が印象的な広々とした空間。
オープンキッチンでは調理している様子、中央の囲炉裏ではコース内の魚料理が焼かれている様子を見ることができて、味覚だけでなく五感で料理を楽しめる工夫が。
お料理は、地元雪国で食べられてきた山菜や発酵食品、伝統料理などをコース仕立てで楽しめる「雪国ガストロノミー」。もちろん、土鍋で炊き上げられたつやつやの魚沼産コシヒカリも。どれも味わい深く、お腹も心も優しく満たされるお料理の数々……。
ダイニング中央の囲炉裏で香ばしく焼かれた、日本海の天然鱸を一口。柚子と上に添えた山うどの葉のほんのりとした香りが、なんとも言えないおいしさ。
コクがありまろやかな味わいの、A5ランクにいがた和牛低温ロースト。
お米は、魚沼産のコシヒカリのなかでも更に評価の高い塩沢地区のコシヒカリを使用しています。
ryugonではこちらのダイニングでの食事のほかにも、姉妹店のレストランを利用したり、地元の飲食店との提携でケータリング料理をお部屋でいただけたり、さまざまな選択肢が用意されているそうです。(詳しくはこちら)
料理で満たされると、あとは寝るだけという最高の贅沢。部屋に戻り、ふかふかの布団に包まれながら、借りた本を読んだり、うとうとしたり……。
ryugon 2日目
一日のスタートは魚沼産コシヒカリと朝の光
朝の光と心地よい空腹感で自然と目を覚ます穏やかな朝。チェックアウトが12時までなのもうれしいポイント。
お楽しみの朝食は、和洋あり、チェックイン時に和食を選択。つやつやの炊きたての魚沼産コシヒカリに、山菜のきんぴらや魚沼きのこ鍋、お漬物など朝からご飯が進むラインナップ!
柔らかな朝日に照らされる庭を臨みながら、普段よりゆったりとした朝の時間が流れます。
8時~10時は、ラウンジでパティスリータイム! クッキーや小ぶりのパンが、あたたかいコーヒーと一緒に好きな場所で楽しめます。もちろん、甘いものは別腹……。
天気がよかったので、野外にある坂戸山テラスで食後のひととき。刻一刻と変わる景色、小鳥のさえずり、日々の疲れがすーっと解けていくような、時を忘れたくなるような穏やかさ。
ryugon まちぶら散歩
六日町の魅力に出会う散策ツアーへ
そろそろチェックアウトの時間ですが、お楽しみはまだまだ続きます。チェックアウト後は、ryugonのアクティビティ「まちぶら散歩」(有料・要予約)に参加。まちぶら散歩は、地元六日町を知り尽くした地域のガイドさんと、宿から駅までの街並みをゆったり散歩しながら巡る素敵なツアーです。
旅をすると通り過ぎてしまいがちな、地域の魅力。せっかく訪れたなら、宿のある六日町の魅力やおすすめのお店などを逃さず訪れたいものです。
六日町は、上杉謙信の片腕とされていた長尾政景の坂戸城の城下町として、また三国街道と清水街道の分岐点の宿場町として栄えてきた歴史あるまち。随所に、当時の豊かな歴史を感じられるスポットが。
100年前まで活躍した川舟が展示されている「こうりんぼうの館」も、ツアーでは見学させてもらえます。
まちぶら散歩・金城酒販
地元の銘酒を飲み比べ「金城酒販」
まちぶら散歩、1店舗目は、南魚沼の銘酒「八海山」の直営店「金城酒販」。
元蔵造りのお店に入ると、迎えてくれたのは店主の南雲さん。ここでは、地元の銘酒の飲み比べを体験。おいしいお水とお米があるこの地域だからこそつくり上げられる銘酒に舌鼓。六日町限定のお酒や、市場にあまり出回らない新酒、数年間雪室で熟成させた雪室貯蔵酒など、ここを訪れたからこそ味わいたいお酒の数々に心躍ります。
まちぶら散歩・今成漬物店
100年以上愛される「今成漬物店」
まちぶら散歩2店舗目は、六日町商店街に佇む「今成漬物店」。
八海山の酒粕で漬けた山家漬は、錦糸瓜やなす、わらびなど、地域の厳選された食材のみを使用し職人さんが丁寧に漬けた贅沢な逸品。添加物は一切使用しておらず、芳醇な香りと濃厚な味わいで、古くから多くの文人や著名人にも愛され続ける漬物です。ご飯との相性がよいのはもちろん、お酒のおつまみとしてもおすすめ。お土産にすれば、自宅に帰っても六日町の旅の思い出を振り返れますね。
1時間半のまちぶらツアーはJR六日町駅でゴール(ryugonを最終地点にすることも可能)。帰路は六日町駅から上越線で越後湯沢駅に向かい、新幹線に乗り換えて東京駅へ。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」では、往路の降車駅と復路の乗車駅が別でも予約可能。宿とセットでお得に利用できます。
個人だとついつい見過ごしがちな、まちの魅力や地域の名店、銘品もガイドさんの案内があるからこそ。宿での温泉と美食、今まで知らなかった六日町の魅力や温かさ、まち全体で非日常を体験できる、癒やしのスポット。忙しない日々にふと疲れを感じたら、ふらっと訪れてはいかがでしょうか?
東京駅に到着
掲載情報は2023年10月26日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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