「こんなハッピーなゾンビもの、なかなか見たことが無い」/Netflix『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』赤楚衛二、白石麻衣、栁俊太郎インタビュー
Netflix映画『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』は同名のマンガ(原作 麻生羽呂・高田康太郎/小学館「サンデーGXコミックス」刊)を原作に映像化された作品です。
2023年8月からNetflixにて絶賛配信中です。
『ゾン100』の舞台は東京都内。
キラキラした夢を抱いて就職した体育会系のアキラ(赤楚衛二)が入った企業は超絶ブラックの制作会社! 生気が吸い取られ社畜と化していく中、ある日、世界が一変します。未知のウィルスに感染した多くの人たちがゾンビへと変貌してしまうのです。
そんな絶望的状況ながら、アキラは「もう会社に行かなくていい!好きなことができる」と心機一転! 「ゾンビになるまでにしたいこと」リストを作り、道中で知り合ったシズカ(白石麻衣)や疎遠になっていた親友ケンチョ(栁俊太郎)とリスト実現の旅に繰り出します。
今回は、天道輝(テンドウアキラ)を演じた赤楚衛二さん、三日月閑(ミカヅキシズカ)役の白石麻衣さん、竜崎憲一朗(ケンチョ)役の栁俊太郎さんに、『ゾン100』撮影中のエピソードを中心にお話を伺いました。
“逃げる”アクション
──今回のお話しは、ゾンビモチーフということもあり、アクションシーンは様々なバリエーションがあり、多彩な演出でした。みなさん、それぞれにご自分のアクションがあったと思うんですけど、楽しめましたか?
白石麻衣さん:私、本格的なアクションは今回初めてだったんです。けれどおそらく私の演じたシズカは、とてもアクションシーンが多かったんですけれども、ゾンビと対峙するにあたって積極的に戦っていきますし、一つ一つの動きに迷いなく動かなきゃいけなかったんですね。
いろんなパターンのアクションを覚えるのは大変だったんですけど、実際に現場でそのアクションの動きをして納得のいく動きができた時は、すごくスッキリしましたし嬉しかったので、自分の自信の一つにもなりました。すごく楽しんでやらせていただきましたね。
赤楚衛二さん:僕はまず初日に一番最初のマンションだったんですけど、1カットで1階から4階、5階まで走るっていうシーンを4回~5回くらいやったんです。すごく大変でした。
(一同笑い)
「俺これ、無事走りきれるのかな?」って思いつつ。ただ今回、アキラはどう逃げるかっていうことを重視してたので、“逃げ方”っていうのをすごく勉強したんです。今までは戦うことが多かったので、それとは打って変わって新鮮なアクションだったな、って感じました。
栁俊太郎さん:自分も戦うアクションとかよりは逃げるアクション、よけるアクションが多かったですね。作品後半の逃げ方も、模型を使ってタイミングや迫力をイメージしながらのアクションが多かったんで、そこは難しかったですね。
作り込みのこだわり
──舞台の一つに新宿の歌舞伎町があったのですが、あれは歌舞伎町をまるまる貸し切って、あれだけのアクションを行ったんですか?
赤楚:どこでしたっけ。あれは確か横浜のセットとかだったと思います。
白石:全部作ってましたね。
──全然わからなかったです! ゾンビ映画って日本でやるのは難しい印象がすごくあるんですけど、今回、Netflixさんならではのスケールでした。『ゾン100』のここがすごいよ、というところを教えていただけますか?
赤楚:スケール感すごいですよね。
白石:すごいですね。
栁:はたからゾンビの人たちを見ててもすごかったですね。動きとか、倒れるときに手をついちゃいけないとか、壁にぶつかるときも思いっきり顔からぶつかってたりして。そういうのは見ててすごいなって思いました。
白石:確かに!
赤楚:そういうところ、要所要所、石田さん(石田雄介監督)がこだわっていましたね。それが気持ち悪さにすごくつながっていたというか。
白石:そうですね。カクカクした動きだったり、肩ひとつの動きとっても、監督が役者さんたちに結構こだわりを伝えてらっしゃるのを見ていたので、すごいな、って思いました。それがまた、すごくリアルに見えたので。
栁:スピード感をかなり繊細に指示されてたよね。
赤楚:3種類あるんですよね。めっちゃ走るゾンビと、そこそこと、歩くのと。
栁:感染してからの時間経過で違う。
赤楚:なりたての人は筋肉あるから早いんだけど、だんだん日にち立つと栄養が無いからだんだん普通のゾンビみたいになっちゃう。それを一人一人指示して決めていましたね。あとはラストのアレの気持ち悪さですよね!
白石:たしかにー!(笑)完成したの見てびっくりしました。気持ち悪くて(笑)。
赤楚:私も。あんな気持ち悪い脚だと思わなかった!
こんなハッピーなゾンビもの、なかなか見たことが無い
──パンデミックとか感染とかいった言葉が、現実の世界でもリアルでなじみのある世の中です。その一方でこの作品はさわやかな印象のあるものですが、脚本をいただいた時にどんな風に思われましたか?
白石:最初に読んだ時はやりたいことに向かってまっすぐに向き合うアキラのような考え方はすごくいいなって思いました。実際、アキラは一つ一つリストにやりたいことを挙げていって。
実際の私の中でも、普通にただ過ごしていくだけじゃなくて、やりたいことと向き合って、きちんと考えながら生きていける、そういう人になりたいなっていうのは思いましたね。
赤楚:台本もらった時はまだコロナがあって、マスクがあって、ごはんも食べに行っちゃいけないみたいな時でした。物事の捉え方として、悪いところばっかり見てたらそういう気持ちになるから、本当にこの中で何かできることはないのか、っていうことを探したりする前向きさは、その時期にぴったりだなって思いました。
ゾンビっていうパンデミックの中で「やりたいことをやっていこう」という前向きな気持ちになるところは本当に読んでてもすごく元気づけられましたし、楽しみだなって思いました。
栁:最初読んだ時は何も考えずにゾンビもので、こんなハッピーなゾンビものなかなか見たことがないから、シンプルに楽しんでいました。けど、よくよく考えていくと、ゾンビだらけの世界で明日会社に行かなくても良くなってスポーツしてるのって、めちゃくちゃ面白いし、やっぱ変なやつなんですよね、アキラ。
(一同笑い)
ただ、自分もそういう立場になったら、想像つかないような世界なんだろうな、と。リスト書いて自分のやりたいことを見つけるというのは、一つ何か自分を見失わないために必要なことでもあるし、周りとコミュニケーションをとることは大事だなぁと改めて思いました。
「目で表現したい」キャラクター
──みなさん、石田監督と今回お仕事ご一緒にされて、どんなオーダーをいただいてましたか?
赤楚:僕はその「アキラってキャラクターを目で表現したい」っていうことは言われました。「死んでいるようなところ」から「生きてるところ」と、(生きながらにして)死んでても、やっぱゾンビの死に方とは目が違っている。そのコントラストでこの世界の見方みたいなのを表現したいっていう話を一緒に、細かくやっていこうという話はしまして。
あとはあのアキラのテンションの高さっていうところを、もうどれだけ上げるか、どれだけキープするかっていうのは話し合いました。やっぱ一歩間違えると本当に頭がぶっ飛んだキャラクターで共感されてなくなってしまうので、いかに共感してもらいながら見てもらうようなキャラクターに仕上げられるか。そういうところをきちんとコントラストをつけて綺麗に描いて欲しいというような話はしました。
──おっしゃる通り、アキラもかなり危ういキャラクターです。シズカかもケンチョも結構不思議なキャラではあるんですけど、確かにそこの加減が難しそうですね
赤楚:そうなんです。
栁:ケンチョは本当にビビるとこはビビって、わりと分かりやすいキャラクターでした。感情の起伏もわかりやすいですし。「こう動いてくれ」っていうのもあったんですけど、基本的には感情のままに動いてほしいって言われましたね。
──自由に、って言ったら変ですけど
栁:そうですね。のびのびとやらせていただきました。
白石:シズカはクールで「私は一人で生きていける」っていうキャラでしたから、もう「笑顔は見せないで」ってずっと言われてましたね。でも、彼ら2人と一緒に旅してる中で少しずつ心が心開いてきて、表情が変わってくるんですが、「そこまでは笑わないでください」と言われたましたね……。一番覚えてます。
そこでようやく溶け込んで。
“あの世界”で自分だったらどうする?
──それを考えながら観ると、二周目も楽しいですね。『ゾン100』みたいな作品を観た時、ああいう世界になった時に自分だったらどうする? とかやっぱり考えちゃうんですけれども、みなさんはいかがでしたか? 『ゾン100』の世界で「自分だったらどうする?」というのを教えてください
赤楚:僕だったら多分部屋にずっとこもってしまうっていう選択をするかもしれないんですけど(笑)、今回『ゾン100』のおかげで、逆にどうやったら逃げれるのか?っていうのはちょっと学べた気がします。
演じたからこそ「なんとかなりそう!」みたいな気持ちですね。これまでにヒーローの役をやってた時は「車に轢かれても無敵だろう」みたいなマインドになってたんですけど、今回もゾンビに追われまくったことで、「なんか生きていけるんじゃないか」っていう、なんか根拠のない自信が今あるので、きっと生き延びられます(笑)。
──栁さんどうでした?
栁:僕だったら友達とか知ってるやつらとチームを組んで、たとえば20人とかで固まって対策するかも。
──コロニーを作って対抗するみたいな。まさにゾンビ映画!
栁:極端かもしれないですけど、ちょっとファンタジーな感覚がないと生きていけない気がしますね。
──生き残る確率が一番高そう、という話もあったと言われてる白石さんはどうですか?
白石:私、外に出ないかな。家の中に完全に閉じこもってると思います。でも飢え死にたくはないから、自粛生活の経験も踏まえて、しっかり食料とかは常日頃から常備しておきます。
あの時でも実際、2か月間くらい家の外に出なかったんですが、生活は苦もなく過ごせたので、意外と長期間いけるんじゃないかなって。食料さえあれば何とかなります。しっかり戸締りして生きまくりたいな、と思いますね。
『ゾン100』出演者から「ゾンビ世界の備え」
──コロナがあったからこそ『ゾン100』のストーリーは、現実と創作の不思議な境界の作品になっていると思います。お話の中では、アキラ、ケンチョ、シズカだったお三方から、「ゾンビ世界に備えてこんなことしといたらいいよ」っていうアドバイスをお願いします
赤楚:それで言ったらバケットリスト(やりたいことリスト)作るっていうのはすごくいいかもしれないですね。それこそ生きる目標にもなるし、糧になります。バケットリストおすすめですね。
栁:実は僕も実際にバケットリスト書いて、インスタでも公開してます。最初考えた時には、例えば「やりたいこと」として、旅行行きたいとか色々思いつくんですけど、まず最初に来るのが「やんなきゃいけないこと」なんですよね。
白石・赤楚:ああー
栁:例えば両親に会っとかなきゃ。例えば喧嘩してるやつがいたらそいつにまず謝んなきゃ。──後悔しちゃうからね。だから残すと後悔したくないことが優先的にくるな、と。じゃあ会いたい人に会ってないなとか、そういう気になってることの方からやってた方がいいな、っていう気持ちになりますね。
──めちゃめちゃ現実的。すごくいいですね。白石さんどうですかね?
白石:私は自分の命を守るために、音の出るものは持っておいた方がいいな、と思います(笑)。今回の作品の中でも、ゾンビは音に近寄って行くってのがありましたし、日常生活の中でも何か助けて欲しい時、声とか出ないと思うから、何か音の出る、引っ張ったら音が出る防犯ブザーみたいなものを一つでも持ってたほうが、自分を守るために役立つかなと思って。
──防犯ブザーお持ちになってますか?
白石:いや、持ってないんで(笑)
栁:買わないと!
白石:笛とか買わないといけないですね。
赤楚:でも、いざっていうとき、フーッ!フーッ!って音が出ないかも(笑)。
白石:だめだね! 防犯ブザー買います!(笑)
──防犯ブザー、ぜひ買ってください!(笑) 今日は楽しいお話ありがとうございました!
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終始、作品の中のテンションと変わらないお三方でした。まるでアキラ、ケンチョ、シズカそのままのようなインタビューでした。
筆者はこのお話を踏まえたうえで、また『ゾン100』観てみようかな、なんて思いました。初見の方はぜひご覧ください。スカッと抜ける青空のような不思議なゾンビ映画です。既に観た方も、もう一度どうぞ。
<撮影:たむらとも>
Netflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』
ストーリー
都内の大学を卒業し、制作会社に新卒入社した天道輝(テンドウアキラ。赤楚衛二)。大学時代にアメリカンフットボール部で培ったガッツを武器に「夢の社会人生活が始まる!」と意気込んでいたが、歓迎会の直後に帰社して連日徹夜という“洗礼”を受け、自分がブラック企業に入社してしまったと知る……。
有能だが部下をこき使うパワハラ上司・小杉(北村一輝)の下で地獄の日々が幕を開け、部屋は荒れ放題で自分の時間などまるでない。みるみる“社畜”と化していく中、ある朝重い気分でアパートのドアを開けると、世界は一変していた。感染するとゾンビのように意志を持たない捕食者へと化す未知のウイルスが蔓延していたのだ――。絶望的な状況だが、アキラは「これで会社に行かなくていい!好きなことを何でもできる!!」と有頂天に。これまでの人生で叶えられなかった「ゾンビになるまでにしたいこと」リストを作成し、道中で出会った三日月閑(ミカヅキシズカ。白石麻衣)や、疎遠になっていた親友・竜崎憲一朗(ケンチョ。栁俊太郎)を巻き込み、リストを実現する冒険に繰り出していく。
原作:麻生羽呂・高田康太郎「ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」(小学館「サンデーGXコミックス」刊)
出演:赤楚衛二、白石麻衣、栁俊太郎、市川由衣、川﨑麻世、早見あかり、筧美和子、中田クルミ、
ドロンズ石本、中村無何有、谷口翔太、佐戸井けん太、北村一輝
監督:石田雄介
脚本:三嶋龍朗
音楽:出羽良彰 主題歌・劇中歌プロデュース:Kanata Okajima KAY(96Savages) 音楽プロデューサー:千田耕平
撮影監督:河津太郎 美術:江口亮太 アクション監督:下村勇二 録音:田辺正晴
サウンドデザイン:石坂紘行 編集:臼杵恵理 撮影:田中悟 GAFFER:櫻井えみ
装飾統括:髙出裕介 装飾:高橋光 岩井健志 スクリプター:小林加苗
VFXスーパーバイザー:Jeffrey Dillinger VFXプロデューサー:髙玉亮 赤羽智史
スタイリスト:纐纈春樹 ヘアメイクディレクション:須田理恵 特殊メイクディレクター:梅沢壮一
テクニカルディレクター:石田記理 助監督:吉川祐太 制作担当:大熊敏之
製作:NETFLIX
エグゼクティブ・プロデューサー:高橋信一(Netflix)
プロデューサー:森井輝
ラインプロデューサー:中島勇樹
制作協力:Plus One Entertainment
企画・制作プロダクション:ROBOT
Netflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」
©麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT
8月3日(木)Netflixにて世界独占配信開始
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