疲れたときは休んだって逃げたって大丈夫! 精神科医が教える、自分を大切に生きるコツ

疲れたときは休んだって逃げたって大丈夫! 精神科医が教える、自分を大切に生きるコツ

 仕事、子育て、介護、人づきあいなど、ついついがんばりすぎてしまう人は多いものです。周囲のことは気遣えるのに、自身の疲れやしんどさには気づかなかったり、自分のことは後回しになってしまったり……。そうやって無理をしているうちに、ある日、心がポキンと折れてしまうことだってありえます。それってとっても悲しいことです。

 精神科医の藤野智哉さんは、著書『「誰かのため」に生きすぎない』のなかで以下のように語りかけます。

「あなたは別に『誰か』の期待に応えるために生まれてきたわけじゃないでしょう? 『自分』よりも『誰か』の価値観やルールに合わせなくていいんですよ」

 同書は、自分なりの幸せを知って、それを大事にしながら力を抜いてラクに生きるコツを教えてくれる一冊です。

 まず大事なのは、ときどき自分に「無理してない?」「疲れてない?」と尋ねてあげること。「しんどいときは休む」は基本中の基本ですが、「しんどいときほど、焦りや不安で休めなくなる人、めっちゃいます」(同書より)と藤野さん。疲れているときは、「成功のハードル」をぐぐっと下げて、「今日も朝起きられた、えらい~」「今日は歯が磨けたから大成功!」ぐらい自分に甘くしてよいそうです。

 なかには、なんだかさぼっているようで罪悪感が湧く、なんて人もいるかもしれません。けれど、「人は前向きじゃないといけない」とは誰が決めたのでしょうか。いったん進むのをやめたって、寄り道したっていいし、逃げ出すほうに足が向いているならその道が前だっていい。同書にある「何が前向きかは自分で決めるもの」という言葉のとおり、「自分の人生に必要なものだけを大事にしていく」という心構えや腹のくくり方を身につけることが、自身の幸せへの第一歩なのかもしれません。

 「自分の人生に必要なものだけを大事にする」というのは、「嫌な人のために自分の時間を浪費しない」ということでもあります。もしみなさんの余命があと少しだとしたら、嫌な人のことを考えるなんて一秒たりとも無駄だと思わないでしょうか。藤野さんがこのように伝えるのは、自身が小さいころに川崎病という心臓病になった影響も大きいといいます。「人より人生が短いかもしれない」と切実に感じた経験があるからこそ、自分のやりたいことをやり、自分が「幸せ」と感じるものを大切にしたいと言います。

「あなたはあなたのために生きていい。誰かに振り回されたり、搾取されないよう、繰り返し自分に言い聞かせてください。あなたはあなたのために生きていい」(同書より)

 「私ってあれも、これも、こんなことすらできない」と自分に足りない部分にばかり目を向けてしまいがちですが、「何もできなくて、ただ生きているだけ。それがどんなに素晴らしいことかを知ってほしい」と藤野さんは言います。「ただ、今ここにいる、ありのままの自分を愛する」――そんな感覚が自然と持てるようになる言葉の数々が同書にはふんだんに詰まっています。

[文・鷺ノ宮やよい]

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