人流予測と気象予報のAI解析を用いた空調制御サービス登場。約2年間の実証でコスト削減など確認

脱炭素経営を推進する企業では、SBT*などの認定取得を目指すうえでビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)導入などによるエネルギー消費量の可視化が進行中。次の一手として、エネルギー削減の具体策が求められています。

そこで、株式会社NTTデータと株式会社ハレックスは、2023年9月よりAIを用いた空調制御サービスの提供を開始します。なお両社は、同サービスを2025年までに50施設へ提供する構えです。

AIを活用したフィードフォワード型制御

この空調制御サービスでは、室温に最も影響を与える人流と外気温の変化をAI解析し、最適な空調制御シナリオを自動生成してビル管理システムに提供。室温の変化を未然に防ぐフィードフォワード型の空調コントロールを実現します。 従来のフィードバック型の空調制御は、季節ごとに設定温度を決め、室温に問題があれば空調を操作する仕組みです。

これには、短時間での一時的な温度調整や過剰冷房(過剰暖房)による大量のエネルギー浪費や快適性を維持できないという問題がありました。

同サービスのフィードフォワード型制御により、フィードバック型制御の問題を解消します。

実フィールドでの検証結果

2019年1月~2023年3月にJR新宿ミライナタワーをはじめ、複数のオフィスビルや商業施設、複合ビルにおいて行われた空調制御サービスの検証では、空調機が用いる消費エネルギー量(冷水熱量)を最大約50%削減できることが確認されました。

これは、一般的な大型ビルの年間のエネルギーコストで換算すると、約1億円相当の削減額になります。

初期投資を抑えて導入可能

同サービスは、応用性の高いNTT研究所のAIモデル、コンパクトな人流センサー、クラウド型のサービス設計により初期投資を抑制可能。サービス導入面積10,000㎡でも十分な費用対効果を実現できるといいます。

また、既設のビルでも3か月程度で後付け導入ができるのもポイントでしょう。なお、一部機能を試せるトライアルプランもあります。

参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000112894.html

(文・Higuchi)

*SBT:パリ協定が求める水準と整合した、5年~10年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標

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