『海外みたいにセンスのある部屋のつくり方』著者・早さんに初心者もできるおしゃれインテリアのコツを聞いてみた! マンションリノベのエピソードも
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中野区にある約75平米の中古マンションを購入し、リノベーションした早(さき)さん。海外のインテリアを中心に自宅をコーディネートしてInstagramやブログを中心に発信しています。2022 年には書籍『海外みたいにセンスのある部屋のつくり方』(大和出版)を出版。インテリアコーディネーターの資格を持つ早さんならではの空間作りを伺います。
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(写真提供/早さん)
リノベーション前の情報収集はPinterestで
IT企業に勤務する早さん。夫の岑(みね)康貴さんと2022年8月に生まれたお子さんの3人で暮らしています。夫婦ともに在宅勤務のため、ワークスペースはそれぞれが集中して過ごせるよう、2カ所設置。室内窓のある部屋を康貴さん、リビングの一角を早さんが仕事場所として使っています。
海外のインテリアを参考にコーディネートした色鮮やかな空間で、仕事をしながらもお互いの気配を感じられる家になっています。
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康貴さんの仕事部屋(写真提供/早さん)
一口に「海外インテリア」と言っても幅広く、ネット検索しようにも自分好みの検索ワードがわからないもの。早さんはまず、自分の方向性を確かめるために写真を中心としたSNS「Pinterest」を使ったそう。
「はじめはPinterestで『海外』『インテリア』など普通のワードで検索していました。そこからハッシュタグやソース元を辿るうちに、『こういうテイストはボヘミアンっていうんだ』など、スタイルごとのキーワードがだんだんわかってきたんです。そのうちに英語で書かれた情報も読むようになり、自分好みの検索ワードを少しずつ増やしながら知識を固めていきました」
Pinterestで集めた情報は、部屋のコーナーごとに仕分けし、リノベーション会社にテイストを相談する際に利用しました。
リノベーションは「苦手な事例がない」会社へ依頼
物件探しでは、もともと注文住宅を検討していた早さん。金銭面や立地条件などから戸建ての中古物件、中古マンション……と、徐々に切り替えて探していきました。
「家の広さや交通の便も大切ですが、何よりも自分たちが好きになれる街に住みたいという希望がありました。そして、家の中は風通しや日当たり、抜け感のある居心地のよさを重視することに。最初は『自分の好きなように作れる注文住宅がいい』と思っていましたが、調べていくうちに『私たちはまだ、そのフェーズじゃないのかも』と思い直して、中古マンションをリノベーションすることに決めました」
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夫妻ともに在宅勤務で家にいる時間も長いため、縦に大きくワンフロアが狭い戸建てよりもマンションで横の開放感を重視しました(写真提供/早さん)
リノベーション会社は物件を探している途中に決めたそうです。「過去の施工例を見たときに、『すごく好きな事例がひとつある』よりも、『事例の中に苦手なところがない』方が大事だと思いました。デフォルトの仕様が気に入るところだと、オプションをつけなくても話し合いがスムーズに進みます」
物件購入時は、希望通りの施工が可能かリノベーション会社に同行してもらう方法がありますが、都心のように人気があって物件の動きが多い場合、日程調整をしている間に別の人に決まってしまうこともあります。
早さんはリノベーションに関わる本を事前に読み、「この物件ならこういう改装ができそう」と自分である程度見極めてからリノベーション会社に確認したと言います。
理想の内装を実現する鍵は、コストをかける場所の優先順位を明確にすること
「リノベーション予算の中で、一番奮発したのが格子の室内窓です。ずっと憧れでした」
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リビングと康貴さんの仕事部屋を仕切る大きな室内窓(写真提供/早さん)
室内窓はガラス製で、開放感と光をよく通すことを重視したそうです。「防音性には欠けるため、互いに会議が重なるとちょっと大変です。今回は空間の広がりを優先させたので満足していますが、もしまたリノベーションをする機会があれば、別の区切り方を考えるかもしれません」
一方、浴室などはシンプルに、メーカー既存品のユニットバスを選択しました。「自分たちのライフスタイルとの相性を考えて、浴室乾燥機はつけませんでした。壁もただのシンプルな白にして、いらない機能を省いたら、結果的に見積もりよりもコストは下がりました」
都心の中古物件ではリセールを意識して万人に受けるリノベーションをすることも多いですが、早さんはあまり気にしていないそう。「何年か暮らしたら、住み替えも検討する予定。でも家を買う理由の一つが『自分の好きな空間をつくりたい』だったので、リセールを気にしすぎると方向性が変わってしまうんですよね。だから趣味費と割り切ることにしています」
海外風インテリアのカラーコーディネートはコーナーごとに2~3色以上を取り入れるのがコツ
インテリアで多くの方が悩むのが、部屋全体の色味とバランスです。早さんは、写真を撮って考えることが多いのだとか。「全部一つの色で統一するとスッキリ見えますが、異物が混ざりにくくなり、逆に難しいんです。我が家は各コーナーをなるべく2~3色のテーマカラーで合わせながらも、あまりきっちり揃えすぎずに複数の色が散らばるようにしています。実は色や柄を多く取り入れたほうがモノが多くてもあまり散らかって見えないし、カラフルな雑貨などを置いても馴染みやすいですね」
また、インテリアは部屋ごとではなく、コーナーごとでコーディネートを考えているそう。
「同じ画角に入らないところは違うテイストでも大丈夫。部屋には写真映えするコーナーをいくつもつくるイメージで広げていきます。
インテリアに悩んでしまう方は、まず憧れる部屋の写真を見つけて、そのコーナーだけ真似してみるのが簡単です。お気に入りスペースを1カ所つくると、別の場所も飾りたくなって、そのうちに気に入ったテイストが部屋全体に広がっていく。初心者は、まずは色柄のラグから挑戦してみるのがおすすめです。部屋の雰囲気がガラッと変わりますよ」
インテリアの金具類はゴールドかアイアンで統一している早さん。色や素材がひとりぼっちにならないように、小物などで色を拾って部屋のいろいろな場所に配置することで、ものがたくさんある状態でも馴染むようにしています。
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アトリエスペースは糸を見せる収納。「糸がカラフルなので、部屋で何色使ってもなんとなく馴染むようになっています」(写真提供/早さん)
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ゴールドとアイアンの金具を使った洗面台(写真提供/早さん)
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ぬいぐるみのモンチッチも、よだれかけの赤が壁の色となじんでいます(写真提供/早さん)
お気に入りのポイントは、あらゆる場所を後から塗装できるようにしたことです。「『これ!』というイメージがわかない状態であれば、とりあえず白に塗ってもらう。後からでも、壁や枠、扉は自分で塗れますから」
一方、収納に関してはもっと気を配るべきだったと反省しているそう。「都内のマンションは狭いから、収納はもっと必要だったかな。でも、それとトレードオフで開放感をつくったので、結局は何を優先させるかですね。あんばいは難しいです」
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フローリングは、リノベーション会社からの提案でパイン材を塗装した素材を選択。「おしゃれな人がラフに住んでいるような部屋が理想なので、リラックス感や手づくり感を出したかった」とのこと(写真提供/早さん)
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窓際のスペースは、ひとりがけの椅子を置くように意識。「窓際って日本は通り道にしがちですが、くつろぐスペースにすることで海外っぽい配置に」(写真提供/早さん)
後悔しないリノベーションの秘訣は「水回りと照明を妥協しない」
「室内窓のほかにこだわったのは、水回りと照明です」と語る早さん。「部屋の壁紙などは後からでも簡単に変えられるけれど、洗面台やタイル、壁付けの照明は後からどうにもできない部分です。リノベーションする時に理想を追求するしかありません」
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キッチンはIKEAでそろえました。水栓はタッチすれば水が出てくるタッチレス水栓。タイルは白のサブウェイタイルに黒い目地。早さんのやりたかったデザインです(写真提供/早さん)
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洗面台のスツールは、蓋を開けると中に収納スペースが(写真提供/早さん)
「椅子を置いたのは、メイクをするときに座りたいからです。その分、収納スペースは減ったので、洗剤などの買い置きは最小限にしています」
生活感をできるだけ削ぎ落とす工夫も
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白の塗装を施した木の扉。色を変えたくなったら塗装できるようにしています(写真提供/早さん)
扉にも注目を。「日本の扉は表面にシートを張った仕上げのものが一般的。扉の種類はたくさんあるけれど、シートの扉は日本っぽいテイストに部屋が引っ張られてしまいます。海外っぽい部屋づくりがしたかったら、扉だけは天然の素材をセレクトしたほうがいいと思いました」
また、部屋の内装で現実感が出やすいのがインターホンまわりです。早さんは、海外のサイトでアートポスターを購入して、IKEAのフレームに入れて飾りました。複数のアートがセットで売っているものもあるので、そういうものを選ぶと初心者でもバランスを考えやすいそうです。
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アートの額縁でインターホンが馴染みます。照明は海外のデザイン。「日本のインテリアは四角が主流ですが、海外インテリアは丸いフォルムが最近のトレンド。意識して取り入れています」(写真提供/早さん)
ピアノの置き方も工夫が凝らされています。Pinterestで検索して、本棚にピアノが収納されている写真を見た早さん。リノベーション会社に相談して、つくってもらいました。「設計の途中でピアノの調律のために余白が必要であることに気が付き、あわてて棚の高さを変更してもらいました(笑)」
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当初はピアノと棚の間がもっと狭い予定でした(写真提供/早さん)
理想の家を目指し続ける、余白のある家
お子さんが動き回るようになると、床に置いている植物や小物類は一時的に撤去する必要がありそうとのこと。「今はまだ寝てばかりなのでそのままにしていますが、今後は低い位置にものを置きにくくなるかもしれませんね。でも、子どもがいても自分好みの空間はつくれると思うんです。壁などの高いところは飾り放題ですし。工夫をしながらインテリアと向き合っていきたいです」
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子どもの遊び道具を入れるカゴは、赤ちゃん時代のクーファン(写真提供/早さん)
今後はダイニングにL字ソファーをDIYで作りたいと語る早さん。「自宅はまだ、未完成です。私にとって家作りのテーマは、『つくり続けられる家』だったのかもしれません」と、笑顔で振り返ります。自分好みの空間で過ごす理想の家づくりはこれからも続くようです。
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早[SAKI]
10年間で7回の引っ越しを経て、海外みたいにカラフルモダンポップなインテリアを日本で再現する方法を試行錯誤するインテリアオタク。2020年インテリアコーディネーター資格を独学で取得。本業はIT企業勤務の会社員、たまにドレスもつくる人。毎週土曜日に海外インテリア情報をお送りするニュースレターを配信中。
Instagram @sakihaya515
著書『カラフル&モダンポップ 海外みたいにセンスのある部屋のつくり方』(大和出版)
<取材・編集:小沢あや(ピース株式会社) 構成:結井ゆき江>
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