3割の親が気づけていない、“子の悩み”とは?科研製薬が「ワキ汗・多汗症 疾患啓発セミナー」を開催
春の訪れとともに、日を追うごとに暖かくなる今日この頃。これから薄着になるシーズンを迎えるが、「汗」で悩む中高生が多いことはご存知だろうか?
科研製薬はNPO法人多汗症サポートグループと共同で4月4日、「ワキ汗・多汗症疾患啓発セミナー『親子で語ろう!“多汗”な悩み』」を開催。若い世代が抱えるワキ汗・多汗症の悩みや最新の治療法などが伝えられた。
冒頭では多くの多汗症患者を診察する「池袋西口ふくろう皮膚科クリニック」の藤本智子院長が登壇。ワキの多汗症や親子の認識ギャップついて解説された。
本来、人の汗腺の数や大きさの個人差はない。一方で、精神的緊張などにより手の平や顔、頭部、脇、足の裏に、日常生活に困るほどの大量の汗をかく場合は「原発性局所多汗症」と診断されるケースが多い。
年齢別の原発性局所多汗症の有病率をみると、25~50歳の働き盛りの年代が最も高いが、若い世代においても有病率は高く、8人から16人に1人の割合とされる。
またワキ汗が特に気になり始める時期は、中学生が最も多く、次いで高校生であるという。これには制服を着用する機会が増え、また思春期という多感な時期も大きく関係すると考えることができる。
「多汗症」と一言で言っても症状や悩みはさまざまだ。例えば手の平に大量の汗をかくことによって、他人との握手をためらってしまうことがその一例だ。さらにパソコンの操作やピアノの演奏、ボールペンを握るのも困難になるというケースも珍しくないという。
また脇に大量の汗をかくことで手を挙げるのに抵抗を感じてしまうなど、原発性局所多汗症は若い世代の生活に大きく影響する。
また多汗症がある患者では、ない患者よりも不安障害やうつ病の有病率が有意に高いという報告もあるとのことだ。
藤本先生によると、ワキ汗(多汗症)が原因で学校行事に参加できないという中高生は少なくないが、医療機関への受診率は未だに低いとのこと。
中高生214名、母親215名を対象に「中高生と母親のワキの多汗症に対する認識調査」を行なったところ、子の多汗症は子(本人)よりも親の方が早い時期に気づいているという結果となった。
さらに、子・親ともに多汗症を「病気」と回答した割合は低く、治療選択肢があるにもかかわらず、疾患として正しく理解されていないことが判明したという。
また中高生の年代では、体や健康に関する悩み事の相談相手として、約6割が家族や親戚を挙げていることことがわかった。「多汗症患者にとっては家族の理解は極めて重要」と藤本先生は強調する。
なお、現在の治療法には多種多様な選択肢が登場しており、保険適用の外用剤や注射剤、内服剤などがあるという。
さらに中高生の患者が多汗症状について「かなり悩んでいる」「悩んでいる」と回答した割合が90.7%だったのに対し、「子供が悩んでいると思う」と回答した母親は65.6%であった。この結果から、ワキの多汗症に悩んでいる子供に気がついていない親が多くいることが読み取れる。
後半では、多汗症の患者による、本人にしかわからない悩みや治療時のエピソードを語る座談会が実施された。座談会には藤本先生、「NPO 法人多汗症サポートグループ」代表理事の黒澤希氏、中高生患者を代表して17 歳の女子高生・山形想さんと母親の淑恵さんが登壇した。
「テスト中に回答用紙が汗でやぶれたり、家庭科で針に糸が通せないなど、日常生活に小さな支障が積み重なっていました」と話す山形さん。
小学生の時、友達から指摘を受けたことで自身が汗かきであると気づいたとのこと。
「当初、病気とはわからず、インターネットで検索しました。その時はじめて“多汗症”という病気を知りました。母に打ち明け、16歳の時に病院を初めて受診しました」
座談会の後半では、多汗症にまつわる質問に〇×形式で答えるコーナーが実施された。
Q. 新生活の時期、ワキ汗が原因で憂鬱に感じることはありましたか?
想さん:「〇です。春は人前で話すことが増え、普通の人でも汗をかきやすいと想像しますが、多汗症の人はそれ以上に汗をかいてしまうんです。新しく友達になる人は、一から説明する必要があるので不安もあります」
黒澤さん「同じく〇です。スーツはブラウスの汗ジミが目立つうえ、普段着のように自宅で洗えないのが憂鬱です。“洗えない”ことを気にしすぎて余計に汗をかいてしまうこともあり、負のスパイラルに陥っていました」
Q. 初めての病院で診察しようと考えた時、ハードルを感じましたか?
想さん「×です。汗をかくことが病気なら、病院に行って治したいと思いました」
淑恵さん「〇です。娘から相談された時は多汗症という病気を知らなかったので、病院に行っていいのかなと不安に思う気持ちがありました」
藤本先生「多汗症の患者さんの中には、汗が原因で精神的に落ち込んで方もいらっしゃいます。最近は、保険治療を含め、治療の選択肢が増えているので、ぜひ前向きに治療を検討してみてほしいです」
科研製薬では2020年からワキ汗のサポートサイト「ワキ汗治療ナビ」を公開中。
ワキ汗の基礎知識から正しい治療方法、セルフチェックシート、病院検索といったコンテンツをそろえている。
毎年薄着になるこのシーズンに汗で悩む人は、ぜひ一度サイトをチェックしてみてはいかがだろうか?
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