アカデミー最多7部門受賞の話題作をレビュー「変なシーンなのになぜか泣ける…という摩訶不思議さ」（十束おとは）

2023/03/14 09:00 ガジェ通ウェブライター

皆さん、こんにちは。十束おとはです！

あっという間に3月ですね。段々と暖かくなってきたり、お店に桜味のものが増えてきたりと春を感じる今日この頃です。お元気でしょうか？
ここ数年、わいわいとお花見をしていない気がするのですが今年こそ綺麗な桜を観に行きたいな、と意気込んでいる今日この頃。
今月のコラムも、最後までお付き合いいただけると嬉しいです！

さて、今回は最近観た映画中で特に印象深かった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(通称:エブエブ)をご紹介します。
（編集部注：第95回アカデミー賞にて、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞と最多7部門受賞を果たしました！）

私がこの作品を知ったきっかけは、ミシェル・ヨーがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたというニュースでした。私はMARVELが大好きなのでミシェル・ヨー＝イン・ナンのイメージなのですが、そんな彼女がカンフーのポーズをしているエブエブのメインビジュアルを見て「これは絶対観ねば！！」と思い公開をずっと楽しみにしていたんです。
※ちなみにこのコラムは大きなネタバレは無しでお届けします。まだ映画を観ていない方も安心して最後まで読んでいただけますので、ご安心ください。

私は予告をチラッと観た程度にしか予習はしておらず、内容はマルチバースをテーマにしたコメディアクション系なのかな…と想像しながら映画館に向かったのですがいざ鑑賞し始めると「あれ、様子がおかしいぞ」と心がざわざわ…。
暫くして

「「「これは…最狂のエンタメ映画だ…おとは！考えるな！感じろ！！！！！！！」」」

と自分で自分の脳に語りかけるに至りました。
まだ処理しきれていませんが、私なりにこの映画の好きだった点を3つ挙げてみようと思います！

【1】凄まじい情報量と溢れくるカオス

想像の斜め上をいくカオス！カオス！またカオス。ウエストポーチでカンフーしたり、指がソーセージになったり、下半身裸のおじさんが出てきたり…1つ1つを挙げていくと可笑しいのですが、アクションはとことんかっこいいので最終的にスタイリッシュで芸術的な戦闘シーンになってます。不思議。
私はこのドタバタ感や少しお下品なギャグも好きなので、1人で観に行っていたことを途中忘れて思わずフヒッwと笑ってしまいました。
そして隣の隣にいた知らないお兄さんはなぜか途中、頭を抱えてました。笑
皆さんにもこの情報量の多さをぜひ感じてほしいです。

【2】話の本筋や伝えたいことはシンプル

情報量がとにかく多い今作ですが、話の本筋や私たちに伝えたいであろうテーマは至ってシンプルであり真っ直ぐに胸に刺さります。
主人公のエヴリンとその家族を軸に物語が進んでいくのですが彼女達の心はバラバラ、問題も山積という所から物語は始まります。
その問題というのも、税金・夫婦関係・娘の恋人・介護・人種(具体的に書くとネタバレに繋がってしまうのでアバウトに記載します)。ヘビーなものばかり。その問題に対してエヴリンはしっかりと向き合っていきます。
カオスな映画なはずなのに、エヴリンの心の移り変わりや、家族の心境の変化が繊細なほどにこちらに伝わってくるのは俳優の皆さんの演技の素晴らしさでしょうか。
変なシーンなのになぜか泣ける…という摩訶不思議な現象が起きました。

【3】衣装が最高すぎる

マルチバースがテーマ。ということは、きっと想像を絶するほどの衣装が必要だったことと思います。
目まぐるしくバースが変わりゆく中、ぱっと見ただけでその人の職業や歩んできた道・好みや性格が分かる場面が多く感動していました。私は専門的な知識がないのでここでは深く語ることができませんが、きっと細部まで考えてこの衣装を選んでいるんだなぁ…。最後、春節のパーティーをする場面でエヴリンが着ているニットが最高すぎるんですよね。
特にジョブ・トゥパキの衣装は可愛い上にオリジナリティがあり、数々の素敵な衣装が更に彼女を輝かせているのでぜひ劇場の大きいスクリーンで観ていただきたいです。

以上が私なりのエブエブ感想となります！少しは魅力が伝わったでしょうか？
鑑賞し終わった後の素直な感想は「面白かったけど、これは好き嫌い別れそうだな…」でした。私は楽しめましたが、同時に受け付けない人もいるでしょう。どんな作品でもその評価はつきものではありますが、この作品は恐らくそれが顕著で普通という方があまりおらず好きor嫌いに分かれるのではないかと思っています。
多くの人に刺さるような誰も傷つけないようマイルドな内容の作品が多い中で、エブエブを作り世に出してくれたことが私は嬉しいし全力で受け止めました。
ぜひ、皆さんもその目にカオスを焼きつけてください！