「生きた化石」と聞いて思い浮かぶ生物は?実は全然珍しくないアイツも生きた化石だった!!
みなさんは生きた化石と聞いて、どのような生物を思い浮かべるでしょうか。
カブトガニやシーラカンスでしょうか?それともオウムガイでしょうか?
そこで今回は生きた化石と呼ばれる生き物の中でも、よく知られているものについてご紹介します!
生きた化石とは?

「生きた化石」とは、地層から発見される化石と同じ姿のまま、現代まで生き延びてきた生き物のことです。
本来、生き物は時代の変化に合わせてその姿形を変えながら進化し、環境に適応して種を存続させるものです。
元に、人間だって現代人とアウストラロピテクスでは姿や特徴が大きく違います。
しかし、生きた化石はその姿形が昔から変わっていないのです。
そのままの姿で、変化してきた地球の環境に適応して生きてきたということになります。
絶滅している種も多いことから遺存種と混合されてしまうこともありますが、生きた化石はそもそも定義が違うため注意が必要です。
遺存種は祖先種の形状を残していないものも含むのですが、生きた化石は基本的に数億年前から姿形を変えずに存続している種を指します。
黒いアイツも生きた化石
今も昔も人間の生活を脅かしてきた存在であるゴキブリ。
あの黒い生き物の名を口にするだけで、背筋がゾッとする人もいるかもしれませんね。
とはいえ、このゴキブリが非常に優れた性能を持っている生き物であることも確か。
その生命力もあって、何億年という地球の歴史を生き延びてきた種なのです。
ゴキブリは約3憶年前の古生代石炭紀に生まれたと考えられている生きた化石です。
一説によると約2.6億年前という説もありますが、とにかくどちらにしても大昔からゴキブリは地球にいたといわれています。
人類の誕生が約200万年前とされているため、それに比べるとゴキブリが非常に長い歴史を持つ生き物であることが分かります。
化石の代名詞である恐竜たちが生まれるずっと前から地球におり、昆虫の中で最も長い歴史を持っています。
実は、ゴキブリってすごい生き物なんですよね。
最初に言い出した人はダーウィン

「生きた化石」という言葉は、進化論を提唱する自然科学者、チャールズ・ダーウィンが著書である『種の起源』の中で用いられたのが始まりとされています。
「種の起源」は1859年に出版された進化論についての著作であり、この本では生き物は環境に適応するように変化していくことについて書かれています。
この本の中では生存競争や適者生存について説明しており、生きた化石との関連についても書かれています。
カモノハシ・ハイギョに言及
「種の起源」ではカモノハシ・ハイギョに言及した際に使われ、英語では『living fossil』と表記されています。
この『living fossil』を直訳したのが「生きた化石」となります。
この生きた化石、「太古に繁栄したものが何らかの形で生き残っている」「他では失われた太古の特徴を未だに持っている」などの特徴を持つと説明されているものの、具体的な定義はありません。
そこは太古から変わらないという共通の点があれば、ゴキブリなどの虫はもちろん、カブトガニやシーラカンスなど海の生き物も「生きた化石」になりうるということになります。
生きた化石の区分

生きた化石の区分に関しては、ジョージ・ゲイロード・シンプソンが明文化した5種類の区分があります。
ここからはそれぞれの区分についてご紹介しますので、どんな区別があるのかをチェックしましょう!
数量的遺存種
太古の世界ではとても多くの個体数を誇っていたものの、現代では少数しか生き残っていないものを数量的依存種と呼びます。
例:ゾウ、バイソンなど
地理的遺存種
大昔に広い地域に分布していたものの、今では狭い地域に限定して生き残っているものは地理的依存種と言います。
例:日本のライチョウ・メタセコイアなど
系統的遺存種
数億年前からその姿形だけではなく、特性や特徴がほとんど変化せずに生き残っているものを系統的依存種と区分します。
例:シャミセンガイ・ゴキブリなど
分類的遺存種
ずっと昔には同じ分類をされていて多くの近縁種が存在していたものの、今は少数になってしまったものを分類的依存種と言います。
また、単一の近縁種しか生き残っていないものもそう呼びます。
例:サイ・バク・コセミクジラなど
環境的遺存種
過酷な地球環境に適応する生態を持ち、新しい生活環境に取り残されてしまった状態であってもその生態を保持しているものを環境的依存種と呼びます。
例:カスピ海のニシン・バイカルアザラシなど
覚えておきたい生きた化石達

世界で知られているだけでも無数の生きた化石がいます。
恐竜は絶滅してしまいましたが、恐竜の時代やそれよりも遥か昔から地球にいながらほとんど変わっていない生きた化石は多々いるのです。
この項目では、その中でも覚えておきたいものをピックアップしてご紹介します!
カブトガニ(4.5億年前)

カブトガニは4.5億年前から海岸付近で暮らしている生き物です。
カニという名前が付けられていますが、クモやサソリが含まれている鋏角類に分類されています。
そのため、甲殻類であるカニとは別の生き物です。
日本でも瀬戸内海などで見られることがあったようですが、近年は大気汚染や埋め立てなどの環境破壊によって激減しています。
シーラカンス(3.6億年前)

数々の化石から白亜紀に大量絶滅したと考えられていたシーラカンス。
ところが、1938年に南アフリカ沿岸で発見された他、その後も1952年にはインド洋のコモロ諸島、1997年にはインドネシアのスラウェシ島近海で生きている姿が確認されています。
その姿から生きた化石と呼ばれています。
化石種と現生種の違いがほとんどないため、ずっとその姿形を保ってきた生き物だと言えます。
ただし、発見例が少ないこともあってまだまだ生態については不明な部分も多いです。
オウムガイ(5億年前)

オウムガイは、5億年前から姿形が変わっていない生きた化石です。
現代では、6種のみがインド太平洋に生息しているそうです。
深海にいるイメージがありますが、実は水深800mよりも深いところでは水圧に耐え切れなくなって殻が割れてしまうのだとか。
その姿は、中生代のアンモナイトにもよく似ているのですが、オウムガイはそれらよりも古い古生代のチョッカクガイなどと共通の祖先を持つため、これまたかなり古い生きた化石と言えます。
クラゲ(5億年前)

クラゲも5億年前から地球に存在する生き物です。
ほとんどが水分で構成されているために化石になることは困難だと考えられていたのですが、実際に近年はいくつかの化石も発見されています。
なお、ベニクラゲという種類は不老不死ともいわれる特性があることから、もしかするととんでもなく昔から途切れずに生き続けている個体もいるかもしれません。
・・・ロマンを感じますねぇ!
イチョウ(2億年前)

植物の中でも太古から変わってない裸子植物となるイチョウ。
2億年前から地球に存在し、枝や種の化石も発見されています。
古生代〜中生代の頃には世界中に分布していたことが化石の情報からわかっていますが、現代では限られた地域でのみしか生き残っていないそうです。
まとめ
生きた化石は海の生き物だけでなく、ゴキブリなどの虫はもちろん、イチョウなどの植物もいます。
遥か昔から、地球は環境を変えながら生命の楽園として多くの生き物が命を繋いできました。
そんな中には、姿形を変えずに生きてこられたものもいます。
そんな生き物は、生きた化石と呼ばれることがあります。

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